「付き合う前にヤッてしまうと付き合えない。」 以上、終了。
気付いた時には、どうしようもないくらい好きになっていた。24年間生きてきて、はじめて誰にも渡したくないと思った、人生でいちばん好きになった人。
同い年の彼とは、社会人1年目の夏にマッチングアプリを通して出会った。
初めて会った時の印象は「なんかいい友達になれそう」。それだけ。
仕事終わりにご飯に行ったり、映画を観たり、私の車で朝からドライブに出かけたこともあった。変に緊張することも、気を遣うこともなく、一緒に過ごす時間が単純に楽しい。いい友達ができたなあと思っていた。
ドライブに出かけた日、私たちは車を停めて、アイスコーヒーを飲みながら近くの堤防に腰かけた。秋の心地よい風が吹いている。ずっとこのままが続けばいいね、なんて笑いながら話していると、彼が私の名前を呼んだ。
振り返ると、彼の唇が触れた。
お互いに何も言わなかった。私は、わかっていたようなわかりたくなかったようなこの瞬間がショックで恥ずかしくて、海を見つめたまま彼のほうを見られなかった。
セフレになりたくなかった。
少しずつ彼に惹かれていくのがわかっていたから。
彼とは、“ちゃんと段階を踏んで”、特別な関係になりたかった。
そう思っていながら、結局私はその日の夜に彼と体を重ねてしまった。
「付き合う前にヤッてしまうと付き合えない。」
以上、終了。
そんな夜から約2週間後、私は転職のために新幹線で1時間くらい離れた県外に引っ越してしまい、彼とは会えなくなった。
会えない間も数回電話をしたりして関係が途切れたわけではなく、なんなら彼への気持ちは大きくなる一方だった。
でも、地元も違う、共通の友達もいない、住んでる場所は遠い、ましては恋人でもない。そんな関係性で、わざわざ会う理由がなかった。
そして、会わなくなってから約半年が経った頃、その時よりさらに遠い場所へ彼の転勤が決まった。
彼に告白するしかなかった。
これ以上この関係が続くのがつらくて、ケリをつけようと思った。
フラれるか付き合えるかのどっちか。0か100。
話したいことがあるとLINEを送ってもはぐらかされていたから、もう結論には気づいていたけど、曖昧な関係を終わらせたい思いで「好き」と伝えた。
彼の返事は、”50”だった。
「俺も好き。でもさすがに遠すぎる。お互い幸せになれないよ」
答えはそんな感じだった。
なんだそれ。幸せかどうかは私が決めることなんだけど。
「ありがとう。でも俺なんかよりもっといいひと見つかるよ」
なんだそれ。私にとってはあなたが世界でいちばん“いいひと”なんだよ。
そうして、私の恋は終わった。
と、思っていた。
それからもしばらくの間、彼とは”50”の関係が続いた。
彼が私に電話をかけてくるのは決まって夜中の、お酒を飲んでいるときだった。
「俺のこと好き?」
呂律のまわっていない彼は平気でそんなことを聞いてきた。
悔しかった。どうせ朝になったらこの電話のことなんて忘れているから。
なのに『大好きだよ』としか返す言葉が見つからなかったから。
たとえ嘘でもいいから、俺も好きだよ、と言ってほしかったから。
あんなに人を好きになったのは初めてだ。
誰にも取られたくない、誰にも触れさせたくないと、エゴを全開にして自分から告白をしたのも初めてだった。
考えれば考えるほどに彼のことが好きで、彼のどこが好きなのかすらもわからないくらいに、想いが溢れて止まらなかった。
結局、解決してくれたのは時間だった。今思えば彼が冷静でいてくれてよかったと思う。あの時は距離よりも彼への気持ちの方が大きすぎて、遠距離なんか乗り越えられると信じていた。
彼が私の気持ちを無理やり受け止めていたら、耐えられなくて悲しいことのほうが増えていたかもしれない。結果論だけど。
彼とは、なんだかんだで“いい友達”に戻れた。(と、私は思っている)
今、万が一彼に告白されても、私の答えは”0”だと思う。
人生でいちばん好きになったことも伝えた。
初めて会った時の印象も今更聞いたし、なんならなんであの時セックスしたのかも聞いた。
シンプルに「男の本能」だったらしい。
そんなことを笑いながら話せる日が来た。
地元も、住んでいる場所も違う、共通の友達もいない。
二人だけの世界が、やっと思い出になった。
同い年の彼とは、社会人1年目の夏にマッチングアプリを通して出会った。
初めて会った時の印象は「なんかいい友達になれそう」。それだけ。
仕事終わりにご飯に行ったり、映画を観たり、私の車で朝からドライブに出かけたこともあった。変に緊張することも、気を遣うこともなく、一緒に過ごす時間が単純に楽しい。いい友達ができたなあと思っていた。
ドライブに出かけた日、私たちは車を停めて、アイスコーヒーを飲みながら近くの堤防に腰かけた。秋の心地よい風が吹いている。ずっとこのままが続けばいいね、なんて笑いながら話していると、彼が私の名前を呼んだ。
振り返ると、彼の唇が触れた。
お互いに何も言わなかった。私は、わかっていたようなわかりたくなかったようなこの瞬間がショックで恥ずかしくて、海を見つめたまま彼のほうを見られなかった。
セフレになりたくなかった。
少しずつ彼に惹かれていくのがわかっていたから。
彼とは、“ちゃんと段階を踏んで”、特別な関係になりたかった。
そう思っていながら、結局私はその日の夜に彼と体を重ねてしまった。
「付き合う前にヤッてしまうと付き合えない。」
以上、終了。
そんな夜から約2週間後、私は転職のために新幹線で1時間くらい離れた県外に引っ越してしまい、彼とは会えなくなった。
会えない間も数回電話をしたりして関係が途切れたわけではなく、なんなら彼への気持ちは大きくなる一方だった。
でも、地元も違う、共通の友達もいない、住んでる場所は遠い、ましては恋人でもない。そんな関係性で、わざわざ会う理由がなかった。
そして、会わなくなってから約半年が経った頃、その時よりさらに遠い場所へ彼の転勤が決まった。
彼に告白するしかなかった。
これ以上この関係が続くのがつらくて、ケリをつけようと思った。
フラれるか付き合えるかのどっちか。0か100。
話したいことがあるとLINEを送ってもはぐらかされていたから、もう結論には気づいていたけど、曖昧な関係を終わらせたい思いで「好き」と伝えた。
彼の返事は、”50”だった。
「俺も好き。でもさすがに遠すぎる。お互い幸せになれないよ」
答えはそんな感じだった。
なんだそれ。幸せかどうかは私が決めることなんだけど。
「ありがとう。でも俺なんかよりもっといいひと見つかるよ」
なんだそれ。私にとってはあなたが世界でいちばん“いいひと”なんだよ。
そうして、私の恋は終わった。
と、思っていた。
それからもしばらくの間、彼とは”50”の関係が続いた。
彼が私に電話をかけてくるのは決まって夜中の、お酒を飲んでいるときだった。
「俺のこと好き?」
呂律のまわっていない彼は平気でそんなことを聞いてきた。
悔しかった。どうせ朝になったらこの電話のことなんて忘れているから。
なのに『大好きだよ』としか返す言葉が見つからなかったから。
たとえ嘘でもいいから、俺も好きだよ、と言ってほしかったから。
あんなに人を好きになったのは初めてだ。
誰にも取られたくない、誰にも触れさせたくないと、エゴを全開にして自分から告白をしたのも初めてだった。
考えれば考えるほどに彼のことが好きで、彼のどこが好きなのかすらもわからないくらいに、想いが溢れて止まらなかった。
結局、解決してくれたのは時間だった。今思えば彼が冷静でいてくれてよかったと思う。あの時は距離よりも彼への気持ちの方が大きすぎて、遠距離なんか乗り越えられると信じていた。
彼が私の気持ちを無理やり受け止めていたら、耐えられなくて悲しいことのほうが増えていたかもしれない。結果論だけど。
彼とは、なんだかんだで“いい友達”に戻れた。(と、私は思っている)
今、万が一彼に告白されても、私の答えは”0”だと思う。
人生でいちばん好きになったことも伝えた。
初めて会った時の印象も今更聞いたし、なんならなんであの時セックスしたのかも聞いた。
シンプルに「男の本能」だったらしい。
そんなことを笑いながら話せる日が来た。
地元も、住んでいる場所も違う、共通の友達もいない。
二人だけの世界が、やっと思い出になった。