助演のわたし
⚠この純猥談は浮気表現を含みます。
彼には4年付き合っている彼女がいる。

黒髪で、秀才で、わたしよりも地味な女の子。
会えるのは2週に1度だという。
遠距離恋愛だった。だからって、何とは言わないけど。
ただ一つ言えるのは、わたしと彼の関係はたかが知れている。
それ以上でもそれ以下でもなく、私たちはセックスフレンドだ。


2回目のサシ飲みの帰り道に、酔った勢いでキスしたのが罪の始まりだった。
とろけた頭の奥は意外と冷静で、あんまり気持ちよくないなあなんて最低なことを思ったっけ。

その夜を皮切りに、私たちは仕事帰りに落ち合って、彼の車の中でキスをする仲になった。舌を入れたり耳を触ったりする彼をなんとなく受け流しては、受け入れて。
キスはいまいちだったけど、キスをしている事実が気持ち良いから、わたしは彼に付き合った。


セックスをしたのはキスから二週間後。
酔った勢いじゃなかったから、わたしたちは確信犯だった。

「抱いたら戻れなくなるよ」って彼女のことをちらつかせるわたしに対して、
彼は「僕が全部悪いから」と言った。
その言葉の割に、反省の色がない顔をしてたのがやけに印象的で、この男、見かけによらずゲスなんだなあなんて思ったっけ。
でも言質をとったらもうわたしには関係のない話だったから、そのままベッドに縺れ込んだ。


セックスは65点。
身体の相性は悪くはなかったし、最中に耳元で「好き」って囁いてくれるのは気持ちが良かった。
笑顔でわたしを攻め立てる彼を見上げながら、ああ、この人は彼女にもこうなのかな、なんて思ったりして、ちょっと興奮した。
彼は平気でわたしにキスマークをつけたから、困らせてやろうと思ってわたしも首筋に噛み付いてみた。
「見えるとこはダメです」って笑う彼に、内心そうじゃないだろと悪態をつく。
ふつう、彼女にバレる心配とかするんじゃないのって言ったら、それもそうかなんて笑ってた。
よくわかんないね、君って。


2回目のセックスのとき、彼はわたしと彼女との間で揺れていると言った。
信憑性がなさ過ぎて彼はわたしをつなぎとめたようにしか思えなかったけど、どちらにせよ感情論に根拠なんてないから、すぐに思考を放棄した。
どっちだって良かったの。

深入りして傷つくのは、わたしの方だって分かってたから。


セックスの回数を重ねるたびに身体は気持ち良くなった。
裏腹に、だんだん心が乖離していった。
何度わたしを抱いても彼が彼女と別れることはなかったし、最中に好きと言われるたびに、嘘をつけという気持ちになったから。

ていうか、わたしを次点にしてまで側に置く女って、どんな子?


この好奇心が多分、わたしを殺したんだと思う。
わたしは彼のインスタグラムの友達欄から、彼女らしき人を探し出した。
出身と所属大学、名前が一致した女のインスタのアイコンは、自分とキャラのぬいぐるみのツーショット。

簡単に言えばわたしとは真逆の女だった。
その時ふと思ったの、きっと彼はわたしを選ぶことはないだろうなって。

そうなったら全部うざったくなった。
助演女優なんてまっぴらごめんだよ。
わたしのこと、そんなふうに消費しないで欲しかったのにな。


これを書いている今も、わたしと彼はセックスフレンドだ。
わたしが3月に職場を辞めるまでこの関係は爛れながらも続くだろう。

きっとわたしたちは寂しいだけなの。
心の穴の形が一緒だっただけ。薄々気付いてたの。
それでもいいよ、満たしてくれるなら。


ごめんね、彼女。
わたし、悪い女なの。

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