時間は気持ちを消化してくれない
大学3年の冬、どうしようもない人にどうしようもない恋をしてしまった。
サークルの1つ上の先輩で、サークル内でも有名なヤリチン。
その人と距離が近くなったのは3年生の夏が終わった頃。飲み会がきっかけのありがちな始まり。
顔も整っていて、話がうまくて私に興味を持ってくれる。一緒にいて楽しかった。
先輩も明らかに私のことを気に入っていて、それが私も満更ではなかった。サークル内でニコイチ扱いを受けるのも心地が良かった。
直感的に今後私が彼に恋に落ちるであろうことが分かった。
そんな人好きになっても私が幸せになれる可能性なんてないことを分かっていても、だ。
デートに行ったり、2人で宅飲みをする様な関係になった。
毎晩私の家に来ては2、3本のチューハイを飲んで就職の話なんかをして一緒のベッドで抱き合いながら眠りにつく日々。
けれど、先輩はなかなか手を出してこなかった。
手が早いことで有名なのに、なんで?
もしかしたら私のことを本当に大事に思ってくれてるのだろうか。
そんな淡い期待が胸の中で膨らんでいく。
接触頻度と好感度には正の相関があるらしい。単純接触効果。
もうその頃には好きで好きでしょうがなくなっていた。
そんなもどかしい日々が1ヶ月くらい続いた頃、私は先輩と初めてセックスした。
事後、付き合おうとかそういった言葉はなかった。
それからは先輩の「飲もう」はセックスの合図になった。
自信家な彼のセックスは自分本位で、私をモノの様に扱った。
馬鹿な私はそんな扱いでも求められることが嬉しかったし、そのうち彼女になれるんじゃないかなんて考えていた。
「あいつお前と寝たこと”間違いだった”って言ってたよ」
先輩の同期から聞かされた彼の言葉。それは容赦なく私の心を抉った。
本当に、本当に馬鹿だった。
その時期を境に先輩からの連絡が減った。
噂で色んな女性と遊んでいることも聞いた。
なにがダメだった?
なにか癪に触ること言った?
間違いって、何。
いくら考えても答えは私の中にはない。
先輩の前では常に笑顔を心がけて、たまに悩みも打ち明けて、夜は従順で、、、
けれど気の弱い私は”間違い”の意味を聞けなかった。
次第に私から連絡することも減った。
固執して嫌われることの方が怖かった。
そして先輩が卒業するタイミングで、この恋は終わりにしようと無理やり気持ちに蓋をした。
先輩が社会人になって2ヶ月くらいが経った。
久しぶりに飲み会があり、そこで先輩に彼女が出来たことを知った。
正直胸が痛かった。
この人が人を好きになることってあるんだ。
気持ちは殺したはずなのに、素直に喜べない私はまだ彼のことが好きだったのかもしれない。
ただ彼女ができたことによって私も次に行く踏ん切りがついた。
あの言葉がトラウマで異性を好きになることが怖くなり彼氏を作ることはできなかったが、数人の男性とは体を重ねた。
好きになれそうな人も見つけたし、先輩がいないともう無理な私じゃない。
先輩が社会人になって1年くらいが経った。
うちのサークルでは卒業後も集まる機会があり、その二次会終わりに先輩からラインが来た。
「今日うち来る?」
先輩には彼女がいるはず。
彼女持ちの男性とは遊ばないと決めているので悩んだが、終電は過ぎてしまっていたため頼ることにした。
いや、終電なんてのは言い訳だ。
久しぶりに2人で会えることが嬉しかった。
先輩の家に行って仕事の話や私の今の話をして笑いあって、幸せだった。
夜も更けてお互い眠くなって1年前のあの頃みたいに一緒にベッドに入った。
少しの沈黙のあと先輩は静かにキスをした。
「先輩彼女いるんじゃないんですかー?」
勇気を振り絞って茶化す様に聞いてみた。
「別れてなかったら呼んでねーよ」
なんだかその言葉で泣きそうになった。
嬉しさなのか、悲しさなのか自分でもこみ上げてくる気持ちに名前をつけられなかった。
先輩の手が下に伸びる。
ここで簡単に受け入れてしまったら1年前と同じことを繰り返してしまう。
とっさに今日は生理だと嘘をついた。
先輩はそんなこと気にしないが。せめてもの弱い拒絶。
その言葉に先輩は優しく
「じゃあダメじゃん」
と笑って手を止めた。
...あれ、この人こんな優しい言い方できたっけ。
見つめあって長めのキスだけをする。何度も、何度も優しく。
そのキスの仕方も去年までの先輩よりも優しくて私は動揺した。
会わなかった1年間で先輩が少し変わった。
変わらなかったことは朝まで抱き合って寝ることの温もりから得られる幸福感。
朝帰り、スマホのシャッフルでたまたま流れた曲に涙が流れた。
私、まだ昨日を生きていたい。
サークルの1つ上の先輩で、サークル内でも有名なヤリチン。
その人と距離が近くなったのは3年生の夏が終わった頃。飲み会がきっかけのありがちな始まり。
顔も整っていて、話がうまくて私に興味を持ってくれる。一緒にいて楽しかった。
先輩も明らかに私のことを気に入っていて、それが私も満更ではなかった。サークル内でニコイチ扱いを受けるのも心地が良かった。
直感的に今後私が彼に恋に落ちるであろうことが分かった。
そんな人好きになっても私が幸せになれる可能性なんてないことを分かっていても、だ。
デートに行ったり、2人で宅飲みをする様な関係になった。
毎晩私の家に来ては2、3本のチューハイを飲んで就職の話なんかをして一緒のベッドで抱き合いながら眠りにつく日々。
けれど、先輩はなかなか手を出してこなかった。
手が早いことで有名なのに、なんで?
もしかしたら私のことを本当に大事に思ってくれてるのだろうか。
そんな淡い期待が胸の中で膨らんでいく。
接触頻度と好感度には正の相関があるらしい。単純接触効果。
もうその頃には好きで好きでしょうがなくなっていた。
そんなもどかしい日々が1ヶ月くらい続いた頃、私は先輩と初めてセックスした。
事後、付き合おうとかそういった言葉はなかった。
それからは先輩の「飲もう」はセックスの合図になった。
自信家な彼のセックスは自分本位で、私をモノの様に扱った。
馬鹿な私はそんな扱いでも求められることが嬉しかったし、そのうち彼女になれるんじゃないかなんて考えていた。
「あいつお前と寝たこと”間違いだった”って言ってたよ」
先輩の同期から聞かされた彼の言葉。それは容赦なく私の心を抉った。
本当に、本当に馬鹿だった。
その時期を境に先輩からの連絡が減った。
噂で色んな女性と遊んでいることも聞いた。
なにがダメだった?
なにか癪に触ること言った?
間違いって、何。
いくら考えても答えは私の中にはない。
先輩の前では常に笑顔を心がけて、たまに悩みも打ち明けて、夜は従順で、、、
けれど気の弱い私は”間違い”の意味を聞けなかった。
次第に私から連絡することも減った。
固執して嫌われることの方が怖かった。
そして先輩が卒業するタイミングで、この恋は終わりにしようと無理やり気持ちに蓋をした。
先輩が社会人になって2ヶ月くらいが経った。
久しぶりに飲み会があり、そこで先輩に彼女が出来たことを知った。
正直胸が痛かった。
この人が人を好きになることってあるんだ。
気持ちは殺したはずなのに、素直に喜べない私はまだ彼のことが好きだったのかもしれない。
ただ彼女ができたことによって私も次に行く踏ん切りがついた。
あの言葉がトラウマで異性を好きになることが怖くなり彼氏を作ることはできなかったが、数人の男性とは体を重ねた。
好きになれそうな人も見つけたし、先輩がいないともう無理な私じゃない。
先輩が社会人になって1年くらいが経った。
うちのサークルでは卒業後も集まる機会があり、その二次会終わりに先輩からラインが来た。
「今日うち来る?」
先輩には彼女がいるはず。
彼女持ちの男性とは遊ばないと決めているので悩んだが、終電は過ぎてしまっていたため頼ることにした。
いや、終電なんてのは言い訳だ。
久しぶりに2人で会えることが嬉しかった。
先輩の家に行って仕事の話や私の今の話をして笑いあって、幸せだった。
夜も更けてお互い眠くなって1年前のあの頃みたいに一緒にベッドに入った。
少しの沈黙のあと先輩は静かにキスをした。
「先輩彼女いるんじゃないんですかー?」
勇気を振り絞って茶化す様に聞いてみた。
「別れてなかったら呼んでねーよ」
なんだかその言葉で泣きそうになった。
嬉しさなのか、悲しさなのか自分でもこみ上げてくる気持ちに名前をつけられなかった。
先輩の手が下に伸びる。
ここで簡単に受け入れてしまったら1年前と同じことを繰り返してしまう。
とっさに今日は生理だと嘘をついた。
先輩はそんなこと気にしないが。せめてもの弱い拒絶。
その言葉に先輩は優しく
「じゃあダメじゃん」
と笑って手を止めた。
...あれ、この人こんな優しい言い方できたっけ。
見つめあって長めのキスだけをする。何度も、何度も優しく。
そのキスの仕方も去年までの先輩よりも優しくて私は動揺した。
会わなかった1年間で先輩が少し変わった。
変わらなかったことは朝まで抱き合って寝ることの温もりから得られる幸福感。
朝帰り、スマホのシャッフルでたまたま流れた曲に涙が流れた。
私、まだ昨日を生きていたい。