ただの下心のほうがまだ良かった。
⚠この純猥談は浮気表現を含みます。
キャラじゃないじゃん。

私、23歳、社会に出て1年目。
ドクターストップで仕事休職中。
追い討ちをかけるように失恋。

そんな時、事情を知った元彼からの「ご飯でも行くか?」という言葉を聞いた時にそう思った。


元彼とは、当時長く付き合ってた彼女が中々のメンヘラで手に負えない、と相談してきて、そのうちに自然と私たちは恋愛関係になり、そいつは彼女と別れた。そんで私と付き合った。

けど、1週間かそこらで振られた。
そのあと、風の噂でそのメンヘラとよりを戻したのを私は知っていた。

私はというと、なんだかんだでそいつのことが好きだった。いいやつだか悪いやつだか、誠実だか不誠実だか分からないような、ずるいやつだったけど、そこも含めて好きだった。シンプルに、未練たらたらだった。

だから、自分のことを好きだって言ってくれる彼氏が出来た時も、ことがあるごとにそいつと比べて、そいつ本人に「あなたの方がいいなって思っちゃうことがある」って伝えてた。最悪な女だって分かってたけど、そいつも、満更でもなさそうだった。

そいつは、元々あんま他人に興味がない。
友達も少ないしインドアで、誰かが落ち込んでてもわざわざ手を貸すタイプではない。

だから、期待した。
「珍しく落ち込んでそうだね。ご飯でも行くか?」
と言ってきたそいつに。

期待すると同時に、当たり前に、下心があるんだと思った。

「休み前がいいけどその日は残業があるから、会うの遅くなるし、うち泊まってく?」って言われたから。
私は、そいつに会いたかった。だけど、もうメンヘラ彼女とよりを戻したそいつと、関係を持つ気は無かった。

もし手を出されそうになったら、「私はまだ気があるから、そんなことされたら傷つく」って言えばいいや、と思って、家にお邪魔することにした。


家にはなにもなかった。
彼女を彷彿とさせるものも、何も。ただきちんと物が整理されてて、しっかりと1人で生活している人の部屋だった。
それを見て、元彼に頼る自分と比べて、少し落ち込んだ。

1週間限りとはいえ、一度は恋愛関係になって、肉体関係も持った、元彼と元カノ。度数の高いお酒。薄暗い間接照明。なんだかエモいバンドの音楽。

なんだかんだそういう流れになるのには、十分すぎる環境だった、と思う。

2人ともお酒が回ってきて、肩と肩が触れるくらいの距離に座って、私も心地良くて、「もうこのまま、流されてもいいや」って思ったその時、そいつが言った。

「何があったの。仕事のことと、恋愛のこと、重なってきつかったんじゃないの、大丈夫?」

呆気にとられた。
もしかしてこの人、本気で私のこと心配してるの?下心なしに?
こんな、いつヤってもおかしくないような環境が整えられた中で?

「え?俺は本当に、心配だった。珍しく辛そうだったから。本当に何もする気はなく誘った。逆に、そっちはするつもりで来たの?」

頭の中が混乱した。と、同時に、傷ついた。
時に、下心のない優しさのほうが、人のことを傷つけるなんて、知らなかった。

「自分が振った女で、まだ自分に未練があるって知ってて、弱ってるところを家に誘って、って、普通は下心があるようにしか思えないよ。あんたがよりを戻した彼女はいいの?」
半分ヤケになった私は言った。

「今回は本当に辛そうだったしキツそうだったから、彼女のことは別件だよ」

何、それ?
その一言で本気で腹が立った。

まだ、手を出される方が、ただの下心のほうが、良かった。

自分はよりを戻した彼女がいるのに、自分が振った元カノにも下心無しに優しくする余裕があるってこと?これで私に優しくしてつけこまれても、責任は取れないくせに?
余裕がある俺、弱ってる人に優しい俺、それに酔ってるだけ。
もう一種のマスターベーションの域。

私の中で、なにかのスイッチが入った。

「考えが甘いよ、無防備すぎる」
そう言って、彼のことを押し倒して、手を絡めて、キスをした。腹が立っておさまらなかったから。下手に優しくすると、つけこまれるってことを教えてやろうと思った。

そいつはびっくりしてた。
どうやら本当に、下心無しに家に誘ったようだった。
その驚いた表情に余計に腹が立って、ベッドに手を押さえつけてさらにキスをした。

「待って、俺も男だよ、さすがにそこまでやられたら止められない」

何言ってんの、そんなの今更だから。ふざけんな。
そう言う代わりに、耳に舌を這わせた。
そいつから甘い声が漏れた。

そこからはもう、男女逆転。
完全に私が襲ってしまった。

元々Sっ気のある私と、Mでしかないそいつ。
怒りと哀しさとそいつをいじめる楽しさと入り混じって、今までの人生の中で一番複雑な気持ちのセックスだった。


正直、アホなことしたな、と思った。しんどかった。
まだ、性の相性がいいから、弱ってるみたいだし今のうちにヤっとくか〜くらいに思われてるほうが良かった。

たぶん、これからも、私が弱ってる素振りを見せたら、きっと優しくしてくれる、心配してくれる。けど、私の好意に責任は取ってくれない。

そいつの自己陶酔マスターベーションのオカズにされただけだ、と思うと悔しかった。

一瞬でも嬉しいと思った自分も恥ずかしかった。


言いたくないけど、今も好きだと思う。

でももう一生、そいつのオカズにはなりたくない。
だから、自分の足で、しっかり立とうって心に決めた。

そいつとヤッた、怒りと哀しさと虚しさと楽しさが入り混じった夜のこと、ずっと忘れない。
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