触れた、だけだった。
⚠この純猥談は浮気表現を含みます。
深夜近く、大学生の僕らは手を繋いで帰っていた。

その子とは、学祭の打ち上げで酔いつぶれた勢いで一発ヤッただけの関係から始まった。

それ以来、酔いつぶれたらその子の家に泊まるのが習慣になり、多い時には週に3日以上セフレの家から通学していた。

お互い彼氏彼女もいたし、セックス以外は"ただの"友達っぽく接するというのが暗黙の了解だった。
人目のつく場所では身体が触れる事はおろか、挨拶も素っ気無いもんだった。

この日もいつものように悪ノリ混じりに酒を浴びる程飲んだ帰り道だった。

狭い歩道を並んで歩いていると手が触れ、次の瞬間にはどちらともなく求め合うように手を絡めた。

「とうとう外で手繫いじゃったね!こんなの久保ちゃんに見られたら一発退場だよ!?」

やけにテンションが高く、手に力を込めてカノジョは訴えかけてきた。 久保ちゃんというのは大学の拡散器だ。彼の耳にネタが入ると学内中に噂が拡がる。

「バレてるヤツにはもうバレてるっしょ笑 まあ、ヤバくなったら潔く距離置こうぜ。笑」
そう冷たく返した気がする。

カノジョは特にテンションを変える事もなく、握る手の強さだけ弱めて、笑いながら喋り続けていた。

カノジョの家に帰るとシャワーを浴び、借りてきたホラー映画をいつものように一緒に観た。

「きゃーこわいー」とかなんか言いながら抱きつきあい、そのままの勢いでベッドに入り込んだ。

気がつくと背徳感なんか消え失せるくらいに、何度も何度も腰を振り続けていた。

ホラー映画を導入剤にするホラーセックスが僕らのお決まりだった。そんな不純な日々は、就活のドタバタに紛れて消えていた。

今思えばとんだクズ達がいたもんだと思うが、当時の僕らにはそれが全てだったし自分達だけの事を考えれば愛おしい日々だった。


社会人になり、ひょんな事から4年ぶりに2人で飲みに行くことになった。

「久々だねー!なんも変わらないじゃん!いや、ちょっと禿げた?」
「もとからデコは広いんだよ笑 そう言うお前も老けたんじゃないか?笑」
と返したがカノジョは何も変わっていないように見えた。ちょっと大人びたくらいで。

あの頃の思い出、最近の恋愛事情、会社の愚痴、そんな話で盛り上がっていると

「私ね、実は、好きだったんだ…ほんと。」

酔ったのか、赤い目をした彼女は唐突に言った。
不意をつかれて思わず持っていたグラスを落としかけた。

"セフレ"

そんな都合の良い呼び方をしてお互い本当の感情に蓋をしていた。喉元まで出かかった言葉は飲み込み
「マジかよさんきゅー!」
と中身の無い返事を返した。


カノジョは背が高くて、痩せていて、ノリが良くて、勉強は平均点を狙って取りにいくような要領のいい子だった。

いつもニコニコ笑っていて、友達は多くも少なくもなかった。

そういえばセフレの関係が始まって数カ月で彼氏とは別れたらしかった。

バレンタインやハロウィン、クリスマスには「義理だよ」と言って手作りのチョコやクッキーをくれていた。

店を出て賑わう街に出ると、駅までの狭い歩道を並んで無言で歩いた。

「寒いな…」
呟いてみた。季節はもう冬だ。
「寒いね…」

おもむろにポケットから下ろした手がカノジョの手と触れた。

触れた、だけだった。
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