「割り切った関係なんだから、お互い好きになったらダメだよ。」
お互い、寂しさを埋めるだけの関係だった。
彼は性欲を満たすため。
私は好きな人を忘れるため。
最初から割り切った関係だった。
緊張しながら初めて会った梅雨の時期。
彼とはいわゆる「出会い系サイトでの出会い」
彼は「せっかく大学生になったのに、コロナのせいで大学に行けなくて、友達もできなくて、性欲も溜まって…思わずこういう関係を選んでしまいました。」と言った。
大学生になったばかりの彼は私よりもだいぶ年下だった。真面目で、誠実で、純粋で、本当にいい子。コロナで社会がこんな状況じゃなきゃ、
出会い系サイトなんか登録してなかったと思う。
私の好きな人は、流れで身体だけの関係になってしまった人だった。セフレでも恋人でも友達でもない、名前のない関係。その人の話を彼にもしていた。
「先に身体の関係を持っちゃったら、その後付き合う可能性はほぼないから諦めてるんだけどね」
そんなことをボソッと呟いた時、
「え、じゃあ俺たちダメじゃないですか…」
と言ってきて、私は一瞬戸惑ったのを覚えている
純粋な証拠だった。
割り切りをお願いしてきたのはそっちなのに
そっちが何を期待してるんだって思ったけど。
この子はまだ何も知らないんだ。
綺麗な恋愛しかしてきてないんだって思った。
「私たちは割り切った関係なんだから、お互い好きになったらダメなんだよ。」
そう答えた。私には好きな人がいたし、
何より私なんかじゃピュアな彼に釣り合わない。
なのに、ご飯に誘ったり、駅まで迎えにきたり…セフレのくせに好意があるのではないかと思わせるようなことを平気でした。
その度「彼が恋人だったら幸せだろうな」と思った。でもそれは『好き』や『付き合いたい』という感情ではなかった。『大切にしたい』だった。
私は彼を『大切にしたい』と思っていた。
その感情が大きくなるにつれて、私は好きな人への想いを忘れていった。彼のおかげでクズなあの人を忘れることができた。そして、また新しい恋を探しにいく決心もついた。
「私、諦めることにしたよ。だから、またいい人見つけなきゃね」
その時、彼がどんな反応をしていたか、はっきりとは覚えていない。だけど、沢山抱きしめて、頭を撫でて、優しくキスしてくれたことは覚えている。
それから、私たちは会わなくなった。
彼から「もう会わない」と切り出してきたのだ。
私の新しい恋を応援したいから、と言った。
本当にピュアだ。彼は最後までずっと私を応援してくれた。私も彼が大切だったから、大学生活でいろんな恋をして、経験をして、楽しんで欲しかった。だから私じゃダメだった。
彼に「もう先輩とは会えないです。」と言われた時、寂しくて泣いた。会えなくなることが悲しかった。何でも話し合える彼との時間は、私にとって大切で、深くて、濃い時間だったから。
彼が言ってくれた「早くバイトを始めて先輩にご飯を奢ってあげたい」は、叶うことがない。
私が最初に言った「今度アイス奢ってね」も、叶うことはない。
「来月髪染めるんだ」と言っていた、彼の暗くなった髪も見ることはない。
私たちが未来でしようと思っていたことは、全部できなくなってしまった。
所詮セフレはそんなものだって分かってはいたけど、なぜか寂しいと思い涙が溢れた。この涙はただ『お別れ』という事実が寂しいからだと思い込んだけど、分からなかった。
本当は心のどこかで思っていた。
「もし、私たちの年齢が近くて、同じ学生生活を送っていたら。出会い方が違ってたら。私は恋に落ちてたのかな。」
そんなことを思った私は、彼のことが本当は好きだったのか、わからない。
彼も同じことを思ってくれていただろうか。
私は彼を傷付けていなかっただろうか。
彼は私と過ごした時間をどう思っていたのだろうか。
貴方は、どう思っていましたか。
彼は性欲を満たすため。
私は好きな人を忘れるため。
最初から割り切った関係だった。
緊張しながら初めて会った梅雨の時期。
彼とはいわゆる「出会い系サイトでの出会い」
彼は「せっかく大学生になったのに、コロナのせいで大学に行けなくて、友達もできなくて、性欲も溜まって…思わずこういう関係を選んでしまいました。」と言った。
大学生になったばかりの彼は私よりもだいぶ年下だった。真面目で、誠実で、純粋で、本当にいい子。コロナで社会がこんな状況じゃなきゃ、
出会い系サイトなんか登録してなかったと思う。
私の好きな人は、流れで身体だけの関係になってしまった人だった。セフレでも恋人でも友達でもない、名前のない関係。その人の話を彼にもしていた。
「先に身体の関係を持っちゃったら、その後付き合う可能性はほぼないから諦めてるんだけどね」
そんなことをボソッと呟いた時、
「え、じゃあ俺たちダメじゃないですか…」
と言ってきて、私は一瞬戸惑ったのを覚えている
純粋な証拠だった。
割り切りをお願いしてきたのはそっちなのに
そっちが何を期待してるんだって思ったけど。
この子はまだ何も知らないんだ。
綺麗な恋愛しかしてきてないんだって思った。
「私たちは割り切った関係なんだから、お互い好きになったらダメなんだよ。」
そう答えた。私には好きな人がいたし、
何より私なんかじゃピュアな彼に釣り合わない。
なのに、ご飯に誘ったり、駅まで迎えにきたり…セフレのくせに好意があるのではないかと思わせるようなことを平気でした。
その度「彼が恋人だったら幸せだろうな」と思った。でもそれは『好き』や『付き合いたい』という感情ではなかった。『大切にしたい』だった。
私は彼を『大切にしたい』と思っていた。
その感情が大きくなるにつれて、私は好きな人への想いを忘れていった。彼のおかげでクズなあの人を忘れることができた。そして、また新しい恋を探しにいく決心もついた。
「私、諦めることにしたよ。だから、またいい人見つけなきゃね」
その時、彼がどんな反応をしていたか、はっきりとは覚えていない。だけど、沢山抱きしめて、頭を撫でて、優しくキスしてくれたことは覚えている。
それから、私たちは会わなくなった。
彼から「もう会わない」と切り出してきたのだ。
私の新しい恋を応援したいから、と言った。
本当にピュアだ。彼は最後までずっと私を応援してくれた。私も彼が大切だったから、大学生活でいろんな恋をして、経験をして、楽しんで欲しかった。だから私じゃダメだった。
彼に「もう先輩とは会えないです。」と言われた時、寂しくて泣いた。会えなくなることが悲しかった。何でも話し合える彼との時間は、私にとって大切で、深くて、濃い時間だったから。
彼が言ってくれた「早くバイトを始めて先輩にご飯を奢ってあげたい」は、叶うことがない。
私が最初に言った「今度アイス奢ってね」も、叶うことはない。
「来月髪染めるんだ」と言っていた、彼の暗くなった髪も見ることはない。
私たちが未来でしようと思っていたことは、全部できなくなってしまった。
所詮セフレはそんなものだって分かってはいたけど、なぜか寂しいと思い涙が溢れた。この涙はただ『お別れ』という事実が寂しいからだと思い込んだけど、分からなかった。
本当は心のどこかで思っていた。
「もし、私たちの年齢が近くて、同じ学生生活を送っていたら。出会い方が違ってたら。私は恋に落ちてたのかな。」
そんなことを思った私は、彼のことが本当は好きだったのか、わからない。
彼も同じことを思ってくれていただろうか。
私は彼を傷付けていなかっただろうか。
彼は私と過ごした時間をどう思っていたのだろうか。
貴方は、どう思っていましたか。