「もう、付き合わないのなら会うのやめよっか」
職場の同期と飲みに行った店に、偶然大学時代のサークルの後輩たちも大勢で飲みにきていた。
顔見知りの後輩が声をかけてくれて、自分の飲み会後に合流。飲みサーのノリが懐かしくて、楽しくて明け方まで飲んだ。


被ってない交流のない子とも仲良くなって、三つ下の子が「送りますよ」と言った。なんとなく喋った気がするくらいで、そこまで印象はなかった。

「いいよ、わりと遠いよ」
「いや、話しながら帰りましょう」

帰るまでにいろいろな話をした。
彼は元カノと4ヶ月前に別れたけど同じ学部でちょっと引きずっていて、好きな人には尽くせるタイプらしい。私の話もした。
初対面だけど全然気を使わなくて、同じ土俵でずっと話せたからかあっという間に家につく。

なんとなく部屋に彼を呼んで、映画を観て、キスをした。
体を重ねながら思ったことは「あー歳下とやっちゃった。でももう会うことないしな」

終わってから少し話して、汗をかいたと言う彼に元彼が着てたTシャツを貸してバイバイした。


そのTシャツを口実にその後も連絡をとった。

歳下だけど賢くて、でも甘え上手で。
夜景を見に連れて行ってくれたり、美味しい居酒屋で飲んだりしているうちに、少しずつ気になっていった。
私は社会人で、相手は大学生だし、それに歳下だし。そう思いつつ彼のことが人間として好きだった。


それから3週間くらいはほぼ毎日会った。

なんとなく「先に寝ちゃったし、付き合うことはないんだろうな」と思っていたけど、とにかく会うのが楽しかった。

私が友達と旅行に行く前に荷造りするところを見て「いいなあ。俺とも旅行一緒にいこうよ」と言い出す彼。

付き合ってないよね?嬉しいけどなんで?

だけどそんなことを言うのは野暮だから、なんともない風に「いいよ」と答えた。
お互い付き合ってる人はいなかったし。年上がこんなこと言うの恥ずかしいし。

彼が旅行の計画を立ててくれて、今までの海外旅行の写真を見せてくれた。
私よりいろいろなところにいってる彼の一眼レフには元カノとの写真もあった。
そのときも大人ぶって何も言えなかった。

旅行が近づくにつれ自分の気持ちが大きくなって、付き合ってもうまくいかないと確信するくらい彼のことが好きでたまらなくなった。

旅行が終わったら終わりにしよう、そう決めて旅行に行った。

三泊の旅行。楽しいけど、終わりが見えて寂しい。
最初は彼のことが好きじゃなかったからバランスが取れていたけど、だんだん彼の気持ちが離れてることになんとなく気づいていた。
私にいつも合わせてくれる彼の優しさが痛かった。


「楽しかったね〜」

旅行から帰ってきて、うちのベッドで並んで寝てる彼が言う。
「彼がこの旅行を機に付き合う決断とかしてくれるかも」なんて期待していたけど、そんな雰囲気は微塵もなかった。

「もう、付き合わないなら会うのやめよっか」

自分でもいきなりだったと思う。

「えっ」

最初はびっくりしていた彼も

「一緒にいて楽しいし、少し気持ちにも気づいてたけど、付き合おうって思えなかった。自分から言えなくてごめん」

とポツリポツリと続けた。

「ごめん、元カノが忘れられないんだ」

あー、結局元カノね。なんだ、やっぱり自分だけか。まあこうなるってわかってたけどさ。
どこか冷静な自分がいる一方、感情的な私がいて涙が止まらなかった。

「好きだったなぁ」

大人ぶって、いい子ぶって、ほんとはもっと言いたいこととかあったはずなのに。
私、本当はもっとわがままな女なのに。


次の日仕事に行くとき、いつものように遅くまで起きなかった彼に一言だけ残して家を出た。

「今まで置いてたTシャツとか持って帰ってね」


帰ってきて、当たり前だけど彼はいなくて、Tシャツはなくなっていた。

彼氏じゃないけど合鍵を貸して
彼氏じゃないけど帰ったら家にいて
彼氏じゃないけど荷物置いて
彼氏じゃないけど自分のこと分かってもらえた気がしてた。


終わったと思って、いままで大人ぶってた反動で目が腫れるまで泣いた。
大好きだった。
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