私はただの女の子なんだ。
大学2年生の冬、彼氏ができた。

何度も何度もデートに誘って、ごはんを食べたり、映画を見たり、お誕生日にはプレゼントをあげたり、傍から見れば文字通りの純粋な片思いだった。

クリスマスももう目前。
今日こそ言わなくちゃ、と二軒目の居酒屋でハイボールを片手に頭の中で台詞を考えた。

ラストオーダーの時間。そのまま店を出た。電車が反対の方向だから、彼はいつも私の方のホームまで見送ってくれた。

あと5分。

遠くに電車が見えた。

「好きになっちゃった。付き合ってほしいんだけど。」

彼は驚いていた。
ウソつけ、気付いてたくせに。
そう思ったが言わなかった。

「俺でよかったら、お願いします。」

夢のようだった。久しぶりの彼氏だった。

彼は同じサークルの同期で、誰にでも優しくて面白い人だった。本当に大好きだった。恋愛経験は少ないらしかった。キスをしただけで分かった。


私は風俗で働いていた。

私の家は母子家庭で、祖母の介護でヒステリック気味だった母に嫌気がさして地元を離れた。そんなに頭も良くない私は私立にしか入れなかった。「あんたの行きたい所に行ったらいい」。
母の言葉に甘えた。母は私の事が大好きだった。

1年生の冬、学費を払えなくなった。
友達の家から帰る途中、駅の近くで声をかけられた。

「ひと月20万なんか余裕だよ。」

当時彼氏もいなかったし友達も多くなかった私は、失うものなんかないとその話に乗った。

毎晩知らない人の家やホテルに行き、キスをして、されるがままに触られ、触らせられ、口に出された。顔にもかけられた。本番行為を強要し怒り狂うオッサンもいた。ゴミのように扱われた。乳首を噛まれて血まみれになったし、長い爪でいじくりまわされて性器もただれていた。泣きそうになりながら、可愛らしく演技してやった。私は毎日帰りの車で泣いていた。


辞めたきっかけは、盗撮だった。
明らかにおかしい位置に携帯。しかも立てかけられ、カメラは不自然にベッドに向いていた。怖くてたまらなかった。

なんで私だけ。
お店の子たちはみんな可愛らしくてキラキラしていた。これから知らない男の人の所で裸になるとは思えないほど明るく元気な子たちばかりだった。
私だけが汚れているような気がしてならなかった。


その彼氏ができたのは、風俗を辞めて1年ほどした頃だった。
もちろん、働いていたことは話していない。店も潰れ、どのホームページからもパネル写真は全て消え、私が働いていた痕跡は消えていた。それでも、後ろめたい気持ちは消えなかった。

付き合って2、3ヶ月した頃、彼が家に来た。
私がごはんを作るのを、ソワソワしながら隣で見てくれ、話し相手になってくれていた。
「寒いから部屋にいなよ。」
私の家は1Kで、キッチンは廊下にある。
「怪我しないか見てる。」
要領の悪い私を心配して、たまに洗い物をしたり、鍋の蓋を開ける係をしてくれた。

「先にお風呂入ってきなよ。」

一人でシャワーを浴びながら、ドキドキしていた。普段使わないトリートメントやボディスクラブを使ったり、ムダ毛の剃り残しはないか念入りにお手入れをした。
すっぴんを見られるのも少し恥ずかしかったけれど、「付き合っている」という感じがしてうれしかった。肌の保湿をしながら、彼がお風呂を上がるのを待った。戻ってきた彼が隣に座った。そして、キスをした。

「ベッドいこう。」と、彼が私を持ち上げ、私はされるがままに、ベッドに押し倒された。

彼の暖かくてやさしい手が服の中に入ってきて、
ゆっくりと、確かめるように触るのが分かった。
もうそれだけで、下着が濡れていくのを感じた。

部屋着を捲られ、しまった、と思った。いつものクセでブラジャーをつけるのを忘れていた。せっかく新しくかわいいのを買っておいたのに。恥ずかしさで顔を逸らした。
「つけてないの?」と、彼はどこかうれしそうだった。指先で乳首を弾いたり、もう片方は舌で舐めたりしていた。私のおっぱいに顔をうずめる彼がかわいくて仕方がなかった。すごく興奮した。

ズボンの中で苦しそうにしている彼のモノに触れた。ゆっくりと上下に手を動かして、いつもなら相手が興奮するように見せつけながら涎を垂らしてやるが、はっとしてやめた。不慣れでぎこちないフリをした。そうしながら、少しだけ泣いた。

そして、彼が私の中に入ってきた。やさしかった。やさしくて、また涙が出た。彼は、私を女の子にした。ただの女の子にした。私は演技でもなんでもなく、「気持ちいい」と声を漏らしていた。彼のことが大好きで、幸せでたまらなかった。
私だって、幸せになってもいいんだ。

彼は私を抱く前、「汚したくない、大事にしたい。」といつも言ってくれ、なかなか手を出してこようとしなかった。

こんなに汚れているのに、と、思っただけで言わなかった。

しかし、彼と身体を重ねるたびに洗われていくような気持ちになった。綺麗になっていくような、そんな気がした。そうして過ごす中で、1年前のどの夜のことも、もうすっかり忘れ去ろうとしていた。

その彼とは今でも続いている。相変わらず、私が料理をする横でソワソワして見ているし、鍋の蓋を開ける係もしてくれる。毎日これといって変わったこともなく、変わらない幸せの中にいる。私だって、幸せになってもいいんだ。


私はただの女の子なんだ。
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