彼のSNSは彼女でいっぱいだった。
⚠この純猥談は浮気表現を含みます。
彼のSNSを見つけたのは、本当に偶然だった。
共通の友人が多いので、いつか見ることになるだろうとは思っていたけれど。


彼は当時付き合っていた彼氏の仲間内のひとりで、私もそこに混ざってよく飲んでいた。
いかにも女ウケの良さそうな甘い顔。
平均より随分と低い身長を「コンプレックスなんだよなあ」といつも自虐していたけど、オーバーサイズのTシャツやニットでカバーしているお洒落な人。
話をするのも聞くのも上手く、人見知りな私も彼とだけはあっという間に打ち解けた。

関係を持ったのは彼氏と別れた後。
よく行っていたバーでたまたま鉢合わせした。
元彼氏の愚痴を話しながら飲むうちに、良い具合に酔った私達は2軒目に行くかという話になった。

甘ったるい顔をもっと甘くへらりとさせて、
「そっちさえ良ければ、俺の家来る?」と言う。

彼はそのバーでも評判のイケメンで、女の子に口説かれているのをよく見ていた。
それをいつもサラリと交わしていたのもよく見ていた。
そんな人が私を誘っている。
なんだか自分がとても良い女に思えて、二つ返事で彼の家に向かった。

さすがというのも変な気はするけど、彼のセックスは素晴らしかった。
優しく肌に触れたかと思えば強く摘んでみたり。やわやわと揉んだかと思えば噛みついてみたり。
「窓開いてるから声出しちゃダメだよ」なんて悪戯っぽく笑ってたくせに、イキそうになると余裕無さげに顔が歪むところも可愛らしい。

一瞬で彼とのセックスの虜になった。
有難いことに彼のほうも私のことがお気に召したようで、それから私達は週2、3で会うようになった。
話は合うし、仕事や友人よりも私を優先していてくれたし、セックスをせずにただ眠る日もあった。

「付き合うんだろうなあ」と勝手に思っていた。
「そういえば、外で会ってくれたことは一度もないな」

ある日ふとそう思った瞬間に、彼にかけられていた魔法というか呪いというか、唐突にそれが解けた。
悲しきかな、歴代の恋人よりもセフレの数のほうが圧倒的に多い私。
答えの無い関係に区切りをつける方法もそのときすでに身につけていた。

連絡先を消して一週間もすれば、あんなにメロメロになっていたはずの彼も「ただのセフレだった人」に変わっていた。
だけれど眠れない夜に、SNSをとりとめもなく漂流していたら見つけてしまったのだ。


彼のSNSは彼女の写真やノロケでいっぱいだった。

顔自体は悪くないけど、黒髪で化粧は変に濃くてヘタッピ。ファッションも垢抜けてない。
たまに載せている彼女の手料理だって、正直あんまり美味しそうに見えない。
それでもきっと、彼にとっては唯一無二の人なんだろう。

そんなことよりもいちばん悔しかったのは、私について何も書かれていなかったことだ。
ノロケなんてものは最初から期待していなかったけれど、愚痴すらもなかった。
喧嘩っぽいことをしたことはあったし、付き合う付き合わないなんて彼が一番嫌いそうな問答をしたこともあった。

でもそれは全て、した「つもり」になっていただけ。

良いことも悪いことも、そもそも彼の頭の中に私という人間は一ミリもいなかったんだと、そのとき気づいた。
何が「ただのセフレだった人」だよ。
「好きで好きでどうしようもなかった人」だったくせに。
ちくしょう。
どうせ恋人になれないなら、いっそのこと面倒臭い女になればよかった。
彼の一挙一動に泣き喚いたりすればよかった。
キスマークのひとつでもつけてやればよかった。


「面倒臭い」でも「ウザい」でもいい。
どんな形でも、彼の中に一生残っていたかった。
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