顔は見たことがない、名前も知らない私の大好きな人
失恋をして2年が経とうとしていた。
忘れよう、忘れようとマッチングアプリに勤しむ日々。
「男の傷は男で癒す」そうは聞いていたけれど心は晴れないし、うまくはいかない。
やりとりも、体目的を見分けるのもめんどくさくなって、趣味であるFPSゲームに没頭していった。

3人1組のパーティ。
下手くそな私は1人倒すのに毎日8時間くらいかかる。
上手くなりたいと思い、Twitterで募集をかけた。
するとすぐにリプが来た。フォロー外だった気がする。
DMでやりとりしてボイスチャットをつける。

「あ、よろしくお願いしま〜す」
よくいるコミュ障気味の男の子だった。


そんな第一印象だったが、私達は毎日ゲームをしていた。
プレイが上手い所には、どうしても惹かれてしまうのだ。
最初こそ固かったが、慣れれば話も面白く、声も聞いていて安心する声で。
だからか、ゲームが終わってから、ただ電話をすることもあった。
いわゆる寝落ち通話だ。心地よい声に心が開かれていくようだった。

夜も深くなった午前2時。
電話越しに聞く彼の吐息はまた違った一面で、私をどきどきさせた。
「いいよ、俺にも聞かせてよ」
そう言う彼に身を委ねて私も甘い声が出る。
それは初めての経験だった。


それからというもの、まるで恋人のようなやり取りが続いていた。
マッチングアプリと違って、彼の顔も見たことがない、名前も知らない。
だけどそこには確かに「好き」な気持ちがあった。

「会いにいってもいい?」
出会って3ヶ月、とうとう会うことになった私達。
スケジュールは年末の1週間。
楽しみな反面、お互い好みじゃなかったら1週間は地獄だなあ。

会いたい気持ち、会いたくない気持ち、どちらもある。
だけど、時は迫ってくる。

到着の連絡があって、5分。
目の前に知らない男性が現れて、笑顔で言った。
「はじめまして、一瞬で分かったよ!」



すやすや寝息を立てる夫。
顔も名前も知らなくても、好きだった人。
これを書きながら彼と初めて会った時の事を思い出す。

「めっちゃくちゃタイプだったな…」

愛しい息子の柔らかい髪を撫でて、彼に似ますようにと祈った。
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