私のことを会いたいと、可愛いと、大好きと言った彼の顔で
⚠この純猥談は浮気表現を含みます。
他にも相手がいることは分かっていた。
だから本当に最初は遊びだった。

「だいすき!はやくあいたい」
可愛く甘える年下の彼に惹かれるのは時間の問題だった。

会うのはいつも私のシフト終わりの夜中。
お互いの相手に嘘を吐き、家を出る午前2時。
真っ暗な海を見ながら他愛もない話をしてキスをした。
まるでこの世に2人しかいないみたいだった。
旅行に行って、求め合って、まるで恋人のようで。


「二度と目の前に現れないで。」
終わりを迎えたのは1年後。
暗闇で帽子を深く被った彼は私を一瞥もせずに言い放った。

生きる糧だった、それだけ好きだった。

忘れよう、忘れようとすればするほど
消せない写真ややりとりを見て泣く日々が続いていた。



「ねえ、まだ好きでしょ?」
漸く前を向き始めた半年後。
言葉裏腹に現れたのは彼の方だった。

他の人とは関係を切ったと、事の顛末を聞いた後、
久しぶりに見る彼の身体は心なしか痩せていて、
その別れが彼にとって大きなものだった事が窺えた。

一人暮らしを始めた彼の家に足繁く通い、
ご飯を作り、隣で眠り、セックスして、たまには出掛けて。
まるで同棲してるような、私が望んでいた事が全て叶っていた。
幸せだった、けど彼は虚ろな表情で、あの頃の彼とは違っていた。


「いいから出てって」
その日は雨が降っていた。
ガチャリと鍵が掛けられた扉を叩く気力もなく、
雨なのか涙なのか分からないものが顔をぐしゃぐしゃにしていく。

1人では到底持ちきれない荷物も、
同じように雨を被りより重たくなっていた。

熱を帯びた頭では過去の彼がぐるぐるぐるぐる回っていた。
唐突に対話もなく雨の中に放り出す彼ではなかった。
会いたいと、可愛いと、大好きと言った彼は一体どこへ消えてしまったんだろう。

私は彼に愛されていた過去の自分に嫉妬した。
どこを探してももういない彼を探した。


『気軽にセックスできる人DMください』
『○○ちゃん、だいすき、また早く会いたい』
『今××にいます、すぐ行けます!』

それから3ヶ月。
ぼんやりTwitterの海を漂っていた。
とある界隈を覗いていた時だった。
ある1つのアカウントに目が止まった。

様々なツイートがある中、手が止まったのは自撮り。
そこには、あの日で止まったままの彼の写真があった。
私のことを会いたいと、可愛いと、大好きと言った彼の顔で。

『う〜むらむらするよお…』
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