以上が、私と君が元気で幸せだった日々の記憶
いつも通り朝まで飲み明かしてへべれけ状態でもう何軒目かもわからないけど、知り合いに連れられてBARに行った。
酔い過ぎてよく分からなかったけれど、人が入ってくる気配がしてなんとなく振り向いた先にあなたが友達と入ってきて、

「ばかタイプ。」
そんな間抜けな言葉をポツリと吐いていた。
きょとんとして奇妙なモノを見るような顔の君は今でも覚えている。
酒の場ともうみんなが出来上がってる時間帯なので話す空気感には簡単になれたけど、
もちろんただこの場で楽しく話してさよなら、なんて私は考えていない。
生きてきた人生で1番タイプだったから。

酒に酔った頭をフル回転させて、君に興味を持ってもらえるように頑張った。

さあ、帰ろうかと店の閉店を合図に「LINE教えて。」と言われ交換した。
でも私はそんな事じゃ満足できない。
帰り道タクシー乗り場に向かうあなたのコートのポケットに手を入れた。
「一緒にタクシー乗る?」ってどタイプな顔で意地悪に微笑まれて、あー、手馴れてるな。と感じた。
もちろんそっちの方が話が早くて好き。

彼の家に連れてかれ、シャワーも浴びずにお互い求めあった。
目が覚める度に何度も求め合って、夜に別れた。

そこからは計算。どうしたら大勢の中の1人ではなく、ただ1人になれるか。
出会ってから3週間、付き合おうと言われ恋人になり
彼はホストをやめて会社員になり同棲して幸せな日々。

以上が、私と君が元気で幸せだった日々の記憶。


癌。ステージは3。


幸せの真っ只中で突如宣告された、自分とは無関係だと思っていたもの。
元気や幸せとはほど遠い、抗がん剤と副作用で苦しむ日々。
もうやめたいと嘆いたその日、彼は涙を流しながら
「ずっと一緒に居るって言ったのに、置いていくなんて無責任だ。」と私に言った。
ぐちゃぐちゃに泣いてる彼を見て愛おしいと、投げやりになってはいけないとただ思った。

君と笑うなんでもない日常が生きがいだとそう言ってくれるあなた。
私も同じだよ。
飽きるほどの「大好き」とキスとハグを繰り返して、
寝る前に手を繋ぎながら次はどこにデートしようかってふたりで話して抱き合って寝る。
出会いはよくある大人みたいな感じだったけど、今は高校生みたいな甘ったるい生活。
そんな30代カップル。
世間から見ればバカバカしいのかもしれないけれど、
時間に限りのある私達は、沢山の愛を伝えて普通の日々を過ごしている。

ただあなたと1分でも1秒でも長くいるために、私は今日も闘う。

これからも2人で歳を重ねていきたい。
もしも、奇跡があるなら。
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