半年前に8歳年上の彼氏と別れた。

お互いの親に挨拶して同棲までしたのに2度浮気をされた。一緒に暮らしていて小言が面倒だと言われた。そんな奴こちらから願い下げだと思って振ったつもりでいたけど、好きな人と朝も夜も一緒にいた時間が突然消えた事が寂しくてしょうがなかった。


寂しさを埋めたくてマッチングアプリを掛け持ちし始めた。
打率はいいが何回かセックスしてそれで終わり。そんな関係ばかりが続いた。
理由は分かっている。そもそも動機が不純だし重いし1度のセックスで好きを全振りしてしまう惚れっぽいタイプなのが仇過ぎる。完全に向いていない。

でもとにかく元彼を忘れたい。1人でいたくない。次の人とは割り切る練習をしよう。
そう思って半ば自暴自棄になりながら、｢ハンバーグ余ったから食べない？｣なんて適当なこと言って、家に招いたのが彼だった。


ドアを開けて3秒、完全に一目惚れ。
｢飲んでたけど、ハンバーグ食べれるって言うから｣なんて笑うスーツ姿に心の底からときめいた。

2人でハンバーグを食べて適当に喋ってテレビを見た。引越し後に作り渋ってた本棚をお酒飲みながら一緒に組み立てた。
本当に楽しかった。そして｢泊まっていいの？｣なんて分かりきった問答を一応こなして同じ布団に入った。

さっき会ったばかりだけど好きになってしまった人とのセックス。彼が上手いのも相まって最高に気持ちよかった。あの初めての感情と高まりは多分一生忘れられないと思う。

次の日、LINEを交換してから見送った。｢今日も行こうかな？｣なんてメッセージをくれて死ぬほど嬉しかったし、実際すぐ来てくれて、ご飯を出して、セックスもした。寂しさは完全に埋まっていた。
会ってまだ2日なのに付き合う未来が頭を巡ってしまっていた。


会って3日目、彼を見送った後のLINEで
｢俺はやめといたほうがいいと思う｣そう言われた。頭が真っ白になった。ダダ漏れの好意を悟られて先に一線を引かれたのだった。割り切るどころか、好きになって散々浮かれていた私が痛々しい程浮き彫りになった。

｢私も別れたばっかで距離感バグってるの、好意が見えてたならこちらこそごめんね｣なんて冷静を装ってみたけど、寂しさ以上のぐちゃぐちゃな感情でただただ息苦しかった。たった2日でこんなに人に焦がれることがあるのかと思った。


それから約2ヶ月。おはようとおやすみを律儀に続けていたLINEもスタンプで終わらせるようになり、気付けば週末の｢暇な時間ない？｣のLINEを待っている自分がいる。自他ともに認めるセフレである。

半年、片想いを頑張ってみようと思っている。彼を知ること、自分の気持ちを分析すること、費やす時間は半年にしようと出会って3日目に決めた。

できるだけ都合のいいセフレを2ヶ月やってみてわかったこと。彼は根は真面目で、嫌と言いつつ自分に厳しくもできて、あるバンドが好きで、多分まだ元カノがちょっと好きで、キスと舐めるのが上手で、何より顔がかっこいい。関係が続きそうな予感はあるけど、好意は多分ない、と、思う。

私のスマホの検索履歴は｢セフレ 本命になる方法｣で埋まってしまった。マッチングアプリはもうやめた。全力で片想いしている。


寂しさで死にそうなのに付き合うには小言が面倒。
惚れっぽいから割り切った関係も向いてなくて面倒。
この状況に対して、最悪であることは自覚している。


4ヶ月後の私は彼と手を繋いで外を歩けているだろうか。