男の人は自分さえ気持ちよくなればそれでいいと思ってた
付き合って3ヶ月、初めて彼の家に行った。
想像していたよりも小綺麗にしてくれていたけれど、干しっぱなしになってしまっている洗濯物はやっぱり男の子なんだなぁってくすくす笑ってしまう。
彼氏は初めて彼女という存在を家に招く。
私は、男の人の家に行った経験は既に何回もあった。
きっとこれからなんやかんやあってそういう流れになる。期待半分、冷めた気持ち半分。
セックスが初めての彼は上手く流れに持っていけないだろうし、行為中も自分本位になって終わるんだろうな、と。
まぁ、気持ちよくなればそれでいい。彼が満足した後にお風呂浴びるフリしてこっそり一人で。
あー、考えるだけで虚しい。
結局、男の人は自分さえ気持ちよくなればそれでいいのだ。
それは嫌という程経験してきた。
私は行為中に気持ちよくなって満足した試しは一度もなかった。
それはテクニックが下手とか、ガンガン突いてくるとか、そういうことじゃなくて、行為中に言葉が無いからなのだ。
私のことを好きだというセリフも、愛しいという目線も、恥ずかしそうにはにかむ唇も、そういったコミュニケーションが無いのが不満だった。
でも、もしかしたら今回は違うかもしれない。
優しい彼なら言ってくれるかも、と。
諦めの中に淡い希望を抱きながら、先にお風呂を借りた。
2人でお風呂を済ませたら、前々からハマっているボードゲームをした。
お酒を飲んでダラダラと取り留めもない話をする私たち。
緩やかな時間は、学生の時に戻ったみたいで楽しかった。
「そろそろ寝よっか」
そんな合図でシングルベッドをぎゅうぎゅうにして、彼に抱きついた。
どちらからともなくキスが始まって、「服脱がせたい?」なんて聞いてみたりして。
ぎこちないそれらはいっそ、愛おしくも思えた。
「どこが気持ちよかったんだっけ」
お互い裸になっていざ、という時に緊張しながら彼は聞いてきた。
びっくりした。
今までそんなことを聞いて来る人はいなかったから。
恥ずかしさとくすぐったさが襲ってくる。
元彼達ならきっとこのまま何も言わず挿入するんだろうというところを、彼は留まってくれた。
あぁ、泣きそうだ。
やっと、私の身体と、心を大切にしてくれる人が現れたんだって。
「下着、可愛かった」
「もう脱がされちゃったけどね」
声が震えそうになって、茶化して誤魔化すのが精一杯だった。
きっと彼は、私が今泣きそうなことなんて知らないし、理由だって分からないだろう。
いいよ、ずっと分からなくていい。
彼の撫でてくれる柔らかい手が好きだ、と改めて思った。
全て終わった後、初めて1回でいいと思えた。
この1回を思い出す度に満ち足りると確信できた。
今日だけじゃなくて、次にするまでずっと。
「ありがとう」
彼の腕枕の中に小さく丸まって呟く。
彼は「ん、」と言って私の頭を包み込むように抱きしめた。
もう、これからはセックスに対して怯えなくていいんだ。
想像していたよりも小綺麗にしてくれていたけれど、干しっぱなしになってしまっている洗濯物はやっぱり男の子なんだなぁってくすくす笑ってしまう。
彼氏は初めて彼女という存在を家に招く。
私は、男の人の家に行った経験は既に何回もあった。
きっとこれからなんやかんやあってそういう流れになる。期待半分、冷めた気持ち半分。
セックスが初めての彼は上手く流れに持っていけないだろうし、行為中も自分本位になって終わるんだろうな、と。
まぁ、気持ちよくなればそれでいい。彼が満足した後にお風呂浴びるフリしてこっそり一人で。
あー、考えるだけで虚しい。
結局、男の人は自分さえ気持ちよくなればそれでいいのだ。
それは嫌という程経験してきた。
私は行為中に気持ちよくなって満足した試しは一度もなかった。
それはテクニックが下手とか、ガンガン突いてくるとか、そういうことじゃなくて、行為中に言葉が無いからなのだ。
私のことを好きだというセリフも、愛しいという目線も、恥ずかしそうにはにかむ唇も、そういったコミュニケーションが無いのが不満だった。
でも、もしかしたら今回は違うかもしれない。
優しい彼なら言ってくれるかも、と。
諦めの中に淡い希望を抱きながら、先にお風呂を借りた。
2人でお風呂を済ませたら、前々からハマっているボードゲームをした。
お酒を飲んでダラダラと取り留めもない話をする私たち。
緩やかな時間は、学生の時に戻ったみたいで楽しかった。
「そろそろ寝よっか」
そんな合図でシングルベッドをぎゅうぎゅうにして、彼に抱きついた。
どちらからともなくキスが始まって、「服脱がせたい?」なんて聞いてみたりして。
ぎこちないそれらはいっそ、愛おしくも思えた。
「どこが気持ちよかったんだっけ」
お互い裸になっていざ、という時に緊張しながら彼は聞いてきた。
びっくりした。
今までそんなことを聞いて来る人はいなかったから。
恥ずかしさとくすぐったさが襲ってくる。
元彼達ならきっとこのまま何も言わず挿入するんだろうというところを、彼は留まってくれた。
あぁ、泣きそうだ。
やっと、私の身体と、心を大切にしてくれる人が現れたんだって。
「下着、可愛かった」
「もう脱がされちゃったけどね」
声が震えそうになって、茶化して誤魔化すのが精一杯だった。
きっと彼は、私が今泣きそうなことなんて知らないし、理由だって分からないだろう。
いいよ、ずっと分からなくていい。
彼の撫でてくれる柔らかい手が好きだ、と改めて思った。
全て終わった後、初めて1回でいいと思えた。
この1回を思い出す度に満ち足りると確信できた。
今日だけじゃなくて、次にするまでずっと。
「ありがとう」
彼の腕枕の中に小さく丸まって呟く。
彼は「ん、」と言って私の頭を包み込むように抱きしめた。
もう、これからはセックスに対して怯えなくていいんだ。