一緒に始めた育成ゲーム、その通知だけが律儀に彼女を思い出させる
彼女と2人でYouTubeを見ていると、アプリゲームの広告が流れてきた。
ウーパールーパーの育成ゲームだ。
「なんか面白そう。入れてみよ」
そう言われ、2人で同時にそのアプリをインストールした。

「それわたしの名前じゃん」
これからじっくり育てていくウーパールーパーに、ふざけて彼女の名前を付けたら笑われた。
彼女のウーパールーパーは、僕とは全く関係のない名前。
「俺の名前にしてよ」なんて、気持ち悪いことは当然言えなかった。

1日に数回、『エサをほしがっています!』とスマホに通知が届く。
ラブホテルのベッドの上でその通知が届いた時は、「空気の読めないウーパールーパーだね。」なんて言いながら、2人で笑っていた。
カップルでスマホの育成ゲームをやるなんてありきたりな事なのかもしれないけど、2人で同じアプリを開き、同じ作業をするその時間が、僕はなんか好きだった。


ウーパールーパーは順調に育ち続けたが、僕たちの関係は上手くいっているとは言えなかった。
社会人になって会う頻度が減り、僕と会えない間に他の男と遊ぶようになった彼女。
僕は1ヶ月で仕事を辞め、その情けなさと、彼女への不満を消化しきれず、自分から連絡することを止めた。
お互いに連絡をしないまま1ヶ月が過ぎ、最後に会った日がいつかも思い出せなくなっていった。


『エサをほしがっています!』

今日も律儀に通知が届く。
彼女の事なんてもうどうでもいいなんて顔をしながら、
僕はアプリを開き、彼女の名前をつけたウーパールーパーにエサをあげて、丁寧に水槽を掃除する。

彼女は今も育てているのだろうか。
それともこんなゲームのことは、もう忘れているのだろうか。
アプリと一緒に、僕との思い出も消してしまったのだろうか。

育成ゲームと同じくらい、恋愛も単純だったのなら、きっとこんなに苦しんでいない。
エサを求めるこのウーパールーパーみたいに、「君をほしがっています!」なんて素直な通知を彼女の携帯に届けられたなら、こんなに胸が締め付けられることもないんだろう。
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