だけど、メッセージは未読のまま。
ある程度、人並みに恋愛はしてきた方だと思う。
高校生の時、憧れてアタックして付き合えた可愛い初彼女。
大学一年で付き合ったハーフの美人モデル。
遊園地で一目惚れをした人。
告白をされることも数回。
だけど忘れられない人は、付き合わずに終わった女の子。
見た目は普通。美人というわけでもない。
会ったのは数えられるほど。
友達とも言えない微妙な関係だった。
彼女のことは都合の良いように扱っていた自覚がある。
愚痴や相談を黙って聞いてくれる。
暇な時は適当な話し相手になる。
終電を逃したら泊めてくれる。
だけど、彼女とは最後まで身体の関係にはならなかった。
身体を触り、キスをしても、彼女はそれだけは許さなかった。
彼女が弱音を吐いた時があった。
それを重たく感じてしまい、LINEの頻度は落ちて、前まで頻繁にしていた電話も少なくなった。
彼女は何も言わなかった。
結局彼女にとっても自分はその程度の存在なんだと思った。
また数ヶ月ぶりに彼女から連絡がきて、
なにごともなかったように毎日ちょっとした連絡を取っていた。
ある日、突然彼女から「電話したい」とLINEが来た。
いつもは直ぐに声が聞こえるのに中々喋ろうとしない。
相談事があるのだろうと思っていたのだが、あまりにも様子がおかしいので心配だと言いかけた時だった。
「好きなの」
か細く小さな声が聞こえた。
「本当はそれを伝えたくてまた連絡したの」
彼女は重ねてありがとうと言った。
出会えて良かったと。
自分が他人からこれほど好かれて感謝されるとは思っていなかった。
素直に嬉しかった。
でもその大きな気持ちにその時の自分は応えることは出来ず、彼女を振った。
彼女はそれでも好きだと言ってくれた。
友達のままで居て欲しいという卑怯な手を使っても、最後は笑って許してくれた。
年末、飲み会で終電を逃した。
彼女はまた何も言わずに泊めてくれた。
いつも通り、図々しい僕に優しい彼女。
ベッドの上で他愛もない話をしたときも、彼女はずっと楽しそうに話していた。
彼女は凄く良い匂いだった。
ほのかに甘いルームフレグランス。
抱きしめたときに香るシャンプーと柔軟剤。
首に顔を埋めると香るボディーソープ。
布団についた甘い匂い。
彼女の匂いが大好きだった。
翌朝、彼女はメモと鍵を置いて静かに出て行った。
その数時間後に起きて、メモの裏にお礼の言葉とありきたりな年末の台詞を書いて部屋を出た。
年が明けると彼女から年初めの挨拶がきた。
今年もこれからも自分と彼女はこのままの関係でいるんだと思っていた。
だが、それっきりLINEが返ってこなくなった。
送ったメッセージは未読のまま。
電話をしても、心配のメッセージを送っても音沙汰が無い。
三ヶ月が経ち、半年が経とうとしている。
「もういつまでも、しつこく連絡しないから。」
彼女が弱音を吐いた時に言った言葉が頭をよぎった。
いなくなって、今になって、彼女の優しさの理由が分かった。
バイトで疲れてLINEを送ると直ぐに心配してくれる。
電話をすると絶対にかけ直してくれる。
寝ずに何時間も話を聞いてくれる。
ベットで寝落ちをしても、自分は床で寝て何も言わずに布団をかけてくれている。
抱きつくと優しく頭を撫でてくれる。
いつから、それが当たり前だと思い込んでいたのだろう。
なぜ、いつまでも自分に都合の良いように存在してくれると思ったのだろう。
思い返せば突き放したあの日から彼女は一度も弱音を吐かなかった。
僕の恋愛の話も何も言わずに黙って聞いてくれていた。
僕を否定するようなことは一度も口にしなかった。
どれほど辛かったのだろうか。想像もできない。
「もういつまでもしつこく連絡しないから。面倒くさくてごめんね。」
震える声で言ったあの時、電話越しで一人泣いていたのだろうか。
「久しぶりに会えて凄く嬉しかったよ。ありがとう。」
どんな気持ちであの日、その言葉をメモに残したのだろう。
元気かな。一人で泣いてないかな。
もう一度話したい。声が聞きたい。
優しく抱きしめてあげたい。
だけど、メッセージは未読のまま。
高校生の時、憧れてアタックして付き合えた可愛い初彼女。
大学一年で付き合ったハーフの美人モデル。
遊園地で一目惚れをした人。
告白をされることも数回。
だけど忘れられない人は、付き合わずに終わった女の子。
見た目は普通。美人というわけでもない。
会ったのは数えられるほど。
友達とも言えない微妙な関係だった。
彼女のことは都合の良いように扱っていた自覚がある。
愚痴や相談を黙って聞いてくれる。
暇な時は適当な話し相手になる。
終電を逃したら泊めてくれる。
だけど、彼女とは最後まで身体の関係にはならなかった。
身体を触り、キスをしても、彼女はそれだけは許さなかった。
彼女が弱音を吐いた時があった。
それを重たく感じてしまい、LINEの頻度は落ちて、前まで頻繁にしていた電話も少なくなった。
彼女は何も言わなかった。
結局彼女にとっても自分はその程度の存在なんだと思った。
また数ヶ月ぶりに彼女から連絡がきて、
なにごともなかったように毎日ちょっとした連絡を取っていた。
ある日、突然彼女から「電話したい」とLINEが来た。
いつもは直ぐに声が聞こえるのに中々喋ろうとしない。
相談事があるのだろうと思っていたのだが、あまりにも様子がおかしいので心配だと言いかけた時だった。
「好きなの」
か細く小さな声が聞こえた。
「本当はそれを伝えたくてまた連絡したの」
彼女は重ねてありがとうと言った。
出会えて良かったと。
自分が他人からこれほど好かれて感謝されるとは思っていなかった。
素直に嬉しかった。
でもその大きな気持ちにその時の自分は応えることは出来ず、彼女を振った。
彼女はそれでも好きだと言ってくれた。
友達のままで居て欲しいという卑怯な手を使っても、最後は笑って許してくれた。
年末、飲み会で終電を逃した。
彼女はまた何も言わずに泊めてくれた。
いつも通り、図々しい僕に優しい彼女。
ベッドの上で他愛もない話をしたときも、彼女はずっと楽しそうに話していた。
彼女は凄く良い匂いだった。
ほのかに甘いルームフレグランス。
抱きしめたときに香るシャンプーと柔軟剤。
首に顔を埋めると香るボディーソープ。
布団についた甘い匂い。
彼女の匂いが大好きだった。
翌朝、彼女はメモと鍵を置いて静かに出て行った。
その数時間後に起きて、メモの裏にお礼の言葉とありきたりな年末の台詞を書いて部屋を出た。
年が明けると彼女から年初めの挨拶がきた。
今年もこれからも自分と彼女はこのままの関係でいるんだと思っていた。
だが、それっきりLINEが返ってこなくなった。
送ったメッセージは未読のまま。
電話をしても、心配のメッセージを送っても音沙汰が無い。
三ヶ月が経ち、半年が経とうとしている。
「もういつまでも、しつこく連絡しないから。」
彼女が弱音を吐いた時に言った言葉が頭をよぎった。
いなくなって、今になって、彼女の優しさの理由が分かった。
バイトで疲れてLINEを送ると直ぐに心配してくれる。
電話をすると絶対にかけ直してくれる。
寝ずに何時間も話を聞いてくれる。
ベットで寝落ちをしても、自分は床で寝て何も言わずに布団をかけてくれている。
抱きつくと優しく頭を撫でてくれる。
いつから、それが当たり前だと思い込んでいたのだろう。
なぜ、いつまでも自分に都合の良いように存在してくれると思ったのだろう。
思い返せば突き放したあの日から彼女は一度も弱音を吐かなかった。
僕の恋愛の話も何も言わずに黙って聞いてくれていた。
僕を否定するようなことは一度も口にしなかった。
どれほど辛かったのだろうか。想像もできない。
「もういつまでもしつこく連絡しないから。面倒くさくてごめんね。」
震える声で言ったあの時、電話越しで一人泣いていたのだろうか。
「久しぶりに会えて凄く嬉しかったよ。ありがとう。」
どんな気持ちであの日、その言葉をメモに残したのだろう。
元気かな。一人で泣いてないかな。
もう一度話したい。声が聞きたい。
優しく抱きしめてあげたい。
だけど、メッセージは未読のまま。