好きにならないなら先に教えてよ。それなら全力で「男」を演じきれたのに。
貴方はただの男友達だった。

出会いは中学生の頃。
貴方は友達の彼氏だった。
しばらくして、友達や貴方を含めた男女グループで遊びはじめた。
友達が貴方を好きになる理由がよく分かった。
特別イケメンではないけど、守ってくれそうな安心感があって、なによりカリスマ性があった。

中学校を卒業する頃、貴方は私の友達と別れた。
男女グループで遊ぶのが気まずくなったのか、男友達の中に私だけを誘うようになった。

そして、貴方は私のことを異性として見なくなった。

「こんなに男おったら、お前も男に見えてきたわ」
「女っぽくなくて、気を遣わんでいいから一緒におれるんよな」

そんなセリフが貴方の口からよく出るようになった。

私はその時から、ずっと貴方の側にいるために心に決めたことがある。
貴方の前では女を出さない、と。

貴方の新しい彼女の惚気も愚痴も全部笑顔で聞いた。
ちょっとでも女を見せたら私の負けだ、
私は貴方の友達として側に入れるのだからそれでいいんだ、と言い聞かせて。


大学生になり、私もそれなりに恋愛を経験した。
その間も貴方とはずっと友達だった。貴方の彼女にも認められるほど。

ある飲み会からの帰り道、貴方はいつものように彼女の愚痴をこぼしていた。

酔いすぎていたのかもしれない。
得意の作り笑顔に疲れていたのかもしれない。
その時、貴方と手を繋ぎたくなってしまった。

思い切って手に触れた時、彼に強く抱き寄せられた。
心臓が止まる。
同時に、貴方の匂いで思考も止まる。
「男」として、どう反応するべきなのか何も分からなかった。

その日を境に、貴方は私にハグするようになった。
「みんなで雑魚寝してるくらい普段から距離近いし、ハグなんか何も思わんやろ。でも、俺やったら好きになるタイプやからそれは絶対ないで」なんて言いながら。


そして、貴方は長く付き合っていた彼女と別れた。
お互い恋人はいない。ハグも何度かした。
「男女」になってしまうことは、容易に想像できた。

私は何度か「男」に見られようと、わざといつも以上に下品な言葉を発したり、着飾ることを止めたりもした。
それでも貴方は少しずつ私を「女」として見始めた。

「お前って意外と可愛いところあるよな」
「お前となら結婚したいと思える」
「俺がおらんくなったら生きてかれへんくらい、俺に依存してほしい」

やめてくれ。
我慢できなくなる。

「女」として関係を持ってしまいたくない。終わりたくない。
なのに、

とうとう、身体の関係を持ってしまった。
夢中になってお互いを求め合った。
体の相性も抜群だった。

「めっちゃ可愛い」
「気持ち良すぎる」

貴方がこれまでの彼女のことを惚気ていた時に聞いた言葉を、私にたくさんくれた。
もしかして、なんて期待した。

それなのに、貴方は「好き」だけ言ってくれない。
「やったら好きになる」なんて期待させておきながら。


今もまだ体の関係が続いている。
彼女にもなれない。
友達にも戻れない。
今は、いつ切れるかもわからないただのセフレだ。

好きにならないなら先に教えてよ。
それなら全力で「男」を演じ切れるのに。
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