いつもの僕らしく「可愛いね、綺麗だね」と口説いていたら、彼女にまた会えたのか?
いつもの僕らしく「かわいいね、綺麗だね」と君を口説けていたら、僕は君と付き合えていただろうか


彼女は僕の初恋の人だった。
彼女と出会ったのは幼稚園に通っていた頃。
大人になったら結婚しようね、なんてよくある約束なんかもしていた。いわゆる幼馴染だ。

幼稚園を卒業して、僕たちは別々の小学校に通うことになり、
次第に会うことはなくなった。

ただ、年に一度だけ年賀状を送り合うこともいつからか途切れてしまっていた。


それから僕は、クラブに行ってナンパしてはワンナイトをする最低な普通の大学生になってしまった。

そんな僕が、初恋の彼女と再会することになった。
再会するきっかけも結局クラブで、
偶々クラブで出会った彼女の知り合いから彼女の連絡先を聞き、
僕は約10年ぶりに、あの初恋の彼女に会うことになった。


初夏のある日。
待ち合わせの駅の改札で僕を待つ彼女。
見つけるのにそう時間はかからない。

「久しぶり」

彼女の声が僕の耳をふわっとなでる。
昔と同じで背は小さい。しかし、昔と違う大人びた顔。
彼女は、言葉にできないくらい美しくなっていた。

その日のことは今も覚えている。
大学でのゼミの話。
彼女がすごくモテる話。
街でのナンパがしつこかった話。
彼氏の束縛が激しくて別れそうかもしれない話。
本当にたくさんの話をした。

その日は初めて見るほど空が綺麗に見えた。

「今日の夕焼けすごく綺麗だね」

彼女がつぶやいた。
ああ、彼女もそう思っていたんだな。
僕たちは運命なのかもしれないな。
帰ってくるところはここだったんだな。
そう思った。

彼女がもし彼氏と別れて僕と付き合ってくれることがあったら、こんなクラブ通いの生活やめよう。
その小さな背丈で、夕焼け空を見上げる君を見てそう思う。

その後、カラオケに行くことにした僕たち。
彼女の歌う曲が僕らのことを歌っている気がして、
彼女を直視できずに、カラオケの画面と机上の灰皿を見つめて、十八番の曲を歌った。

いつもの僕なら、カラオケで女の子に手を出していた。
でも初恋だった彼女に、そんなことはしたくなかった。
僕は彼女と付き合いたかったのだ。

その日は彼女に1回も触れずに、再会をただ楽しんだ。


僕は後日LINEで彼女を花火大会に誘った。
そこで付き合えなくてもいいから初恋だったことを伝えよう。

花火大会の日。
周りのどんな女性よりも一際綺麗な浴衣姿の彼女。
人混みを言い訳に繋いだ彼女の手は、小さくて、火照っていて、すこし汗ばんでいた。
いや、汗ばんでいたのは僕の手だったかもしれない。

夜空に上がる花火が赤レンガですこし欠けている。
そんな場所からでも、彼女と見る花火は今まで見た中で一番綺麗だった。

花火を見上げる彼女は首元が汗ばんいて、頬が赤く染まっている。
暑い夏の夜のせいなのか、花火が彼女の頬に反射するせいか、はたまた僕が隣にいて手を繋いでいるせいか。
ずっと花火大会が終わらなければいいのに。


帰り道、僕らは自然と手を繋いでいた。

人混みに流されながら落ち着いた場所を見つけることもできず、僕らは駅の改札で別れる。
僕はその日、彼女に気持ちを伝えることができなかった。

また次会った時、気持ちを伝えよう。

「またね」

僕らはあの時そう言って別れた。
それが、彼女と交わした最後の言葉だった。
花火大会の日以来、彼女からの返信はなかった。


あれから月日が経ち、僕は社会人になった。
新しい生活にも慣れてきていたそんなある日、彼女の近況を風の噂で知った。
彼女が結婚した、と。

あの時話していた束縛彼氏と結婚したのかはわからない。
ただ彼女が結婚したという事実だけがそこにあった。
結局僕は人生で彼女に思いを伝えることはできなかった。


いつもの僕らしく「かわいいね、綺麗だね」と言ってホテルに誘っていたら?
いつもの僕らしくそんな彼氏辞めとけばって家に連れ込んでいたら?
いつもの僕らしく彼女に手を出せていたら?

いつもの僕らしくなく、夏祭りの最後の時、ずっと好きだったと伝えられていたら。


あの日撮った夕焼けの空を見ながら、あの日カラオケで吸わなかった煙草に火をつける。
あの日君が歌っていた、JUJUの「ただいま」を聞きながら友達にLINEする。

「今日クラブ行かない?」

僕はまた、彼女のいない日常に戻る。
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