私が寝ているすぐそばで、彼と彼女の行為の音が聞こえた
彼氏に二股されて別れてから、自暴自棄になっていた自覚はあった。
酒を飲んで忘れて、呑まれて抱かれて朝起きて、虚しくなっての繰り返しだった。
そんなことをしたところで何にもならない、何も残らないことは解りきっていたはずだった。
そんな時に同期の男と寝てしまった。
女2人と男1人で宅飲みして、1人が潰れて寝ている間にたくさんキスをして、互いを触り合って、大して仲良くもないそんな男と一線を簡単に超えた。
バレるかもしれないというスリルと、私を選んでくれたというほんの少しの優越感で頭が馬鹿になっていた。
一晩だけのはずだった。後腐れもない関係でいるはずだった。だけれどいつの日からか、その男を目で追うようになってしまった。
先に寝た男なんかを好きになんかなるはず無いと思っていたけれど、彼の笑った顔も、声も、匂いも、どうしてか忘れられないものになっていた。
彼の隣は居心地が良かった。
広い背中も、腕枕をしてくれるところも、抱きしめて寝てくれるのも、好きで仕方がなかった。
いつからか、あんなに好きだった元彼のことなんか忘れてて、彼のことで頭がいっぱいになった。
それ以降は一緒に寝るだけで手は出してくれなかった。
抱いて欲しい訳では無い、だけれど手を出されないことに少し期待をしている馬鹿な自分もいた。
インスタのストーリーにたくさん反応してくれて、飲もうと誘ってくれて、スノボも誘ってくれて、もしかしたら付き合えるかもしれないと、セフレルートは回避できたのだと思い込んでいた。
けれどある日、有頂天になっていた私はどん底に落とされた。
彼の特別だと思っていた隣に、他の女がいた。
同期3人で飲んでいたら、彼の友人の女の子が来たいと言ったらしく彼はその子を呼んだ。
その子は明るくて、彼の好きそうなタイプだった。
パチンコも麻雀も、見ているアニメも一緒で、「先週はほぼ彼の家にいたんだ〜」と得意げに語っていた。
そうなんだと平静を保っていた。
心の中では嫉妬とか色々な感情でどうにかなりそうだった。
そのまま同期の1人は帰り、私とその子と彼の3人でカラオケに行った。
私はだいぶ飲まされてほとんどフラフラで記憶が朧げだった。彼は私にキスをしてきた。それだけが嬉しくて、この子よりも私を選んでくれた優越感に私は心から安堵した。
そこから私の記憶はぶっつりと切れた。
気がつけば彼の家で寝ていた。
私はこたつに入って寝ていて、彼とその子はベッドで。
何か物音がして起きた。彼と彼女の会話だった。
「お前ほんとしゃぶるの好きだよな」
「……ん」
予見していた中で一番最悪なことが起きた。
彼のモノを彼女は咥えていた。私は目を背けた。信じたくなかった。
まるであの日の私たちみたいだったから。
彼の小さく喘ぐ声は私だけが知っていたかった。
彼の甘い言葉は私だけが知っていたかった。
私は1人で泣いた。
つくづく男運無いななんて思って、大好きな彼の匂いのする毛布に包まって、早く終わって欲しいと心から願った。
二日酔いで痛む頭と、完全に登り切ったお日様に眉を顰めた。
彼たちも起きて、いつも通りに振る舞っているのに腹が立つ。
あの女もきっと、あの日の私と同じこと思ってるんだろうな、なんて考えてちくりと心が痛んだ。
聞かなくても爪切りの場所をわかっていたり、置かれている5本の歯ブラシのうちの一つが彼女のものであったり、彼にべったりとくっついてスマホを弄ったり。
先日忘れたと言う服を見せつけるようにするとか、彼との間に私を入れないようにしているのが癪に触ってしょうがない。
帰り際、彼は「タバコ、俺の家に置いて行けばいいんじゃない」と言ってくれた。
私が「タバコをやめたい」とぼやいていたのを聞かれていたらしい。そうすれば、私のことを止められるだろう、と思ってたのかもしれない。
「でも、どうせ買っちゃうから意味なくない?」
女が横から言ってきた。彼の部屋に私のものを残したくないと言う魂胆が見え見えだった。
だから私はタバコを置いて行った。少しでも私のことを思い返して欲しかったから。
彼のことが好きだった。
だから今日も私は都合のいい女を自暴自棄に演じている。
彼を思いながら、他の男に抱かれて。
酒を飲んで忘れて、呑まれて抱かれて朝起きて、虚しくなっての繰り返しだった。
そんなことをしたところで何にもならない、何も残らないことは解りきっていたはずだった。
そんな時に同期の男と寝てしまった。
女2人と男1人で宅飲みして、1人が潰れて寝ている間にたくさんキスをして、互いを触り合って、大して仲良くもないそんな男と一線を簡単に超えた。
バレるかもしれないというスリルと、私を選んでくれたというほんの少しの優越感で頭が馬鹿になっていた。
一晩だけのはずだった。後腐れもない関係でいるはずだった。だけれどいつの日からか、その男を目で追うようになってしまった。
先に寝た男なんかを好きになんかなるはず無いと思っていたけれど、彼の笑った顔も、声も、匂いも、どうしてか忘れられないものになっていた。
彼の隣は居心地が良かった。
広い背中も、腕枕をしてくれるところも、抱きしめて寝てくれるのも、好きで仕方がなかった。
いつからか、あんなに好きだった元彼のことなんか忘れてて、彼のことで頭がいっぱいになった。
それ以降は一緒に寝るだけで手は出してくれなかった。
抱いて欲しい訳では無い、だけれど手を出されないことに少し期待をしている馬鹿な自分もいた。
インスタのストーリーにたくさん反応してくれて、飲もうと誘ってくれて、スノボも誘ってくれて、もしかしたら付き合えるかもしれないと、セフレルートは回避できたのだと思い込んでいた。
けれどある日、有頂天になっていた私はどん底に落とされた。
彼の特別だと思っていた隣に、他の女がいた。
同期3人で飲んでいたら、彼の友人の女の子が来たいと言ったらしく彼はその子を呼んだ。
その子は明るくて、彼の好きそうなタイプだった。
パチンコも麻雀も、見ているアニメも一緒で、「先週はほぼ彼の家にいたんだ〜」と得意げに語っていた。
そうなんだと平静を保っていた。
心の中では嫉妬とか色々な感情でどうにかなりそうだった。
そのまま同期の1人は帰り、私とその子と彼の3人でカラオケに行った。
私はだいぶ飲まされてほとんどフラフラで記憶が朧げだった。彼は私にキスをしてきた。それだけが嬉しくて、この子よりも私を選んでくれた優越感に私は心から安堵した。
そこから私の記憶はぶっつりと切れた。
気がつけば彼の家で寝ていた。
私はこたつに入って寝ていて、彼とその子はベッドで。
何か物音がして起きた。彼と彼女の会話だった。
「お前ほんとしゃぶるの好きだよな」
「……ん」
予見していた中で一番最悪なことが起きた。
彼のモノを彼女は咥えていた。私は目を背けた。信じたくなかった。
まるであの日の私たちみたいだったから。
彼の小さく喘ぐ声は私だけが知っていたかった。
彼の甘い言葉は私だけが知っていたかった。
私は1人で泣いた。
つくづく男運無いななんて思って、大好きな彼の匂いのする毛布に包まって、早く終わって欲しいと心から願った。
二日酔いで痛む頭と、完全に登り切ったお日様に眉を顰めた。
彼たちも起きて、いつも通りに振る舞っているのに腹が立つ。
あの女もきっと、あの日の私と同じこと思ってるんだろうな、なんて考えてちくりと心が痛んだ。
聞かなくても爪切りの場所をわかっていたり、置かれている5本の歯ブラシのうちの一つが彼女のものであったり、彼にべったりとくっついてスマホを弄ったり。
先日忘れたと言う服を見せつけるようにするとか、彼との間に私を入れないようにしているのが癪に触ってしょうがない。
帰り際、彼は「タバコ、俺の家に置いて行けばいいんじゃない」と言ってくれた。
私が「タバコをやめたい」とぼやいていたのを聞かれていたらしい。そうすれば、私のことを止められるだろう、と思ってたのかもしれない。
「でも、どうせ買っちゃうから意味なくない?」
女が横から言ってきた。彼の部屋に私のものを残したくないと言う魂胆が見え見えだった。
だから私はタバコを置いて行った。少しでも私のことを思い返して欲しかったから。
彼のことが好きだった。
だから今日も私は都合のいい女を自暴自棄に演じている。
彼を思いながら、他の男に抱かれて。