「どのワンピースがいいかなって考えるのが楽しかったのに、今はそれが辛い。」
彼女と付き合ったのは中3の頃。
塾がいっしょだったり、クラスがいっしょだったりしたこともあり、時々メールでやり取りをしていた。
背が低く、バスケ部でショートカットのボーイッシュな子だなぁくらいに思っていたが、ある日メールで告白された。
断る理由もなかったので付き合うことにした。

それから高3の冬に別れるまでの約3年間、自分でも驚く程に彼女のことが好きになっていた。
あまりにも好きで、何かをすると彼女を汚してしまうと思い、手を繋ぐのもキスをするのにもかなり時間がかかってしまった。
それほど純粋な恋愛をしていたが、部活で忙しい彼女との時間が合わなくなるのに耐えかねて、別れてしまった。
喧嘩別れのような最後だったので連絡を取ることはなかったが、心には大きすぎるほど彼女との思い出が残っていた。


それから3年。
大学3年生になって、友人と飲み会後の冬の帰り道。

最寄り駅のホームを歩いていると、目の前には少し大人っぽい格好をした、でも背が小さく可愛らしい彼女が歩いていた。すぐに声をかけ、ご飯の約束を取り付けた。

2人でお酒を飲んだ帰り道、近くの公園でそのまま関係をもった。
付き合っていた頃にはキスまでがやっとだったのに。

それからはよく2人で遊びに行くようになった。
当時は自分でも恥ずかしくなるくらいに調子に乗っていた。
髪の長い子が好きだからと彼女に髪型を変えさせ、ワンピースが好きだと言うと、その日からよくワンピースを着てくれるようになった。

他にも仲良くしてくれる女の子はいたし、何よりあの大好きだった彼女と関係をもったことで自分には価値があると勘違いしていた。
だんだんと彼女への対応は雑になり、車で出かけた際には好き勝手に振る舞い、帰り際に車で事を致して解散。

そんな「デート」の終わりには「私のこと好き?」と聞かれるのがいつしかいつもの流れになっていた。
「せやなぁ」とか「うん」とか、肯定的な返答をしても、「好き」と言葉にすることは1度もなかった。



「私のことセフレとしか思ってないやろ」

ある「デート」の帰り道。
思い通りに行き過ぎて飽きてきたなと考えながら運転していると、珍しく返答に困る質問を投げかけてきた。

「そんなことないよ」と返して終わるはずだったが、その日の彼女は違った。

「私のクローゼット、どうなってるか知らんやろ?」

神妙な面持ちで続ける。
彼女の言いたいことが全くわからなかった。

「開けたらな、ワンピースでいっぱいやねん。あれがいいかな、これがいいかなって考えるのが楽しかったのに、今ではそれが辛い。」

返す言葉がなかった。


それからしばらくして彼女からLINEの返信はこなくなった。
反省しても彼女の傷は決して癒えないが、街でワンピース姿の背の小さい女の子を見かけると、胸の奥が痛む。

勝手に感傷に浸る権利もあるはずもないのに。
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