俺のこと"親しい友達"に入れとくなよ
"元カノ"にあたるその子のことは、本当に好きだった。
笑顔が可愛いし、相手への配慮もセンスも欠けてない、とってもいい子だった。
ついでに言えば、身体の相性も多分合っててお互い一緒にいくこともできたし、なんなら初めては俺が奪ったし。
きっと向こうもちゃんと自分のことを好きでいてくれた。
自慢できるいいカップルだったと思う。

過去形だし、自分がそう思っているだけの不確かさだけど。

けど社会人生活がはじまった自分と、まだ大学生活も折り返し地点の彼女と。
一緒にみた流行りの恋愛映画が妙に自分たちと重なっちゃうぐらい、やっぱりちょっとずつズレていった。

「ほんとに私たちもあの映画みたいな感じで、どうしようもなかったよね」
彼女は言ってた。
こういう時は絶対泣いちゃうような彼女が、最後の別れ話で泣かなかった。

LINEの通話で別れて、会う時間も用意せず、郵送してもらった私物と合鍵を見ても、あんまり凹まなかった。
休みのない日々が続いた自分は、メンヘラは余計なことを考えてヘラる時間がないと発揮されないということを学んだ。
学生時代はとにかく暇だったんだなと勝手に納得していた。


月日は流れて今日。
年内の仕事もやっとこ片付いて、気づいたら12月25日の夜。
別れてからいれたマッチングアプリは全然触ってなかったし、気づいたら浮かれた世の中と、そこに脇役として馴染む自分がいた。

テイクアウトした夜ご飯と普段飲まない缶ビールをささやかなご褒美として開ける。
でも半分で酔いが回ってそのままベッドに潜り込んだ。

夜中の2時に目が覚めて、インスタをなんとなく開く。
見覚えのあるアイコンから流れる動画に、おしゃれなディナーが映り込む。

2年前の今日、自分と初体験を済ませたあの子。
身体と心を確かに何度も重ねたその子のアカウントだった。
今晩は、きっと別の男に抱かれている。

「"親しい友達"に俺のこと入れとくなよ」

半分確信犯だと思わざるを得ないようなその行為。
緑色で縁取られた見覚えのあるアイコンと数秒の動画。
たったそれだけで、2年前初めて抱いた時の姿を今晩他の男に見せてることを想像させた。
したくもない脳内再現まで、思考を止める脳内指令を振り切り、一瞬でいとも簡単に。

見事にズブリと心の弱いところを深く、深く差し込まれた。
別れてから1ヶ月、今日がいちばん深く傷ついた。
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