私の乱れた姿やだらしない声を知られるなんて死んでも嫌だ
なんでカップルはみんなセックスをしたがるんだろう。私には理解できない。
彼氏には私の綺麗なところだけ見てて欲しい。
デートのときに着る服もあなたの前で微笑む表情も、わざと甘える仕草にも、正直言えば全てに自信がある。
だから私の乱れた姿や汚く喘ぐ声を知られるなんて死んでも嫌だ。
もし欲求不満にでもなったのならその時はセフレを作ろう。そう思って生きてきた。


今日のデートはいつも通り彼の家。
誰もいないと言いながら手を繋いではキスをしてくる。その繰り返し。
わざと恥じらいの表情を見せると彼は喜ぶ。そんな愛おしい時間がどうしようもなく好きだった。

その先を求められたことは無い訳ではない。
「ダメ?」と見つめてくるその顔に私は弱いけれど、「まだ…ダメ」と断る。
けれどそれも彼は許してくれる。優しすぎるな、なんて惚れ直す。いや、でもこれを許してくれない男とは私からきっと別れを告げてしまうのだろう。
そう思いながら暗くなる前には彼にさよならを告げた。それがいつものデート。

けれどテンプレと化したデートの幸せは長く続くはずもなくて、きっと彼は満足していなかったのだと思う。
だんだん態度が素っ気なくなる。私が呼びかけても低い声で、「ああ」とか「うん」としか言わなくなったよね。
それは疲れたときにとる態度で、すごく分かりやすいのが私には辛かった。まるで邪魔者みたいに私を扱い出したときは「もう終わりか」なんて思った。
ほら、この人も他の男と一緒なんだ。
つまらなくなったら捨てられる。体を重ねることが目的なの?ならもういいや。他を当たろう。男なんて腐るほどいる。


そう思いながら誘われた次のデート。あ、まだ誘ってくれるんだ。嫌われたわけじゃないのかと、ほっとしてしまう私に自分で自分が嫌になる。
いつも通りハグをして手を繋いでキスをして。でもその日はこれ以上を求めてこなかった。
その代わりかは分からないけれど、いつも以上にくっついてくるものだから「ああ、寂しかったのかな」と愛おしく感じる。
勝手に解釈して彼を許してしまうのは惚れた弱みといつやつなのかな。まあいいや、そんなこと。


「ねえ、しよっか。」

思わず口からこぼれたその言葉を、彼は隣で聞いていた。
なんで私がこんなこと言ったのか自分でも分からない。でもなんだかこのまま彼が離れていってしまう気がして。それがどうしても怖くて。

「いいの?」
「うん」

彼の表情を見ることが出来ない。どんな顔してるんだろう。
嬉しいのかな、驚くのかな。

「嫌だったらすぐ言うんだよ」
「うん、わかった。」

ああ、そっか。
体を預けるということは、こういうことだ。
私を忘れないでいて欲しい。もし別れそうになっても、この日を思い出して引き止めて欲しい。
私をもっと特別に扱って欲しい。

あんなに嫌だった行為を求めてしまう自分が醜い。
けれどそんな私に対しても彼は驚くほど優しい。いちいち「大丈夫?」「ダメ?」ってうるさくて、思わず笑みがこぼれてしまう。いつもみたいなあざとい笑顔を作る暇もないくらい、幸せだったのだと思う。
ああ、好きだなぁって。ちゃんと大切にしてくれてるんだって思うともう何でも良くなる。
とにかくそんな彼が好きなんだ。


結局私も、恋人とセックスをしたがるようなただの女だったことは少し悔しいけれど、これで彼の記憶に私が少しでも残るなら、それでいいと思える。

こんなふうに思わせてくれたのはあなたが初めてだよ。
ありがとう。
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