私は19歳で、彼は24歳。彼には44歳の彼女がいた。
⚠この純猥談は不倫表現を含みます。
私はまだ19歳で、彼は24歳。彼には44歳の彼女がいた。
彼の彼女は3人の娘を持つ、人妻だった。
つまり彼は不倫をしていた。
もう4年も人妻と不倫関係にあると打ち明けられたとき、チャンスだと思った。
「不倫なんて良くないよ。最低だよ」
「そうだよね」
「私と付き合おう。私となら時間を気にせず会えるよ」
「うん、そうする。そうするよ」
彼は人妻と別れ、私を選んでくれた。
私達は、色んな場所へ出かけた。
昼間に堂々と、手を繋いで。
ショッピングモールを歩いた。郊外にあるカフェでお茶を飲みながら話し込んだ。浴衣を着て、お祭りに出かけた。互いの友人に紹介し合い、ダブルデートのようなこともした。
それは彼が不倫をしていた4年間、ずっと夢見ていた、
「普通のカップル」の「普通の交際」だと言う。
私は処女を彼に捧げた。
とても怖かったけれど、彼の大きくて優しい手が、唇が、私を安心させてくれた。
彼が前戯に長い時間をかけてくれたおかげか、挿入してもあまり痛みを感じなかった。
彼が私を選んでくれたことが嬉しくて、彼を正しい道へ導けたことが嬉しかった。幸せを噛みしめた。
そう、私は、昔から、正しいことが大好きだった。
浮気、不倫、一夜限りの関係。そういうものが嫌いだった。
セックスは好きな人とするべき。
きちんとコンドームをつけて。
手を繋いで。好きって何度も言い合いながら。
だってそれが正しい恋愛でしょ?
だってそれが正しいセックスでしょ?
私と彼が正しい交際を開始して1カ月。
火曜日の夜だけなぜか彼と連絡が取れないことが続いた。
「火曜日は毎週夜勤になったんだ。ごめん」
彼の言葉に、正しくない雰囲気を感じた。
ああ、彼はまたきっと不誠実に引き寄せられている。
私が正してあげないと。
火曜日の深夜2時、私は彼が一人暮らしをしているアパートへ向かった。
付き合ってすぐに、彼から合鍵を渡されていた。
案の定、外から見た彼の部屋には明かりが灯っていた。
私は迷わず合鍵を使い、ドアを開けた。
玄関には女物の白いパンプスが転がっていた。
私は迷わず寝室へ進んだ。
私が初体験を済ませたシングルベッドで、
彼とおばさんが裸で肩を寄せ合い、眠っていた。
「ねぇ、起きて。これどういうこと?」
2人は飛び起き、私の姿を見て悲鳴をあげた。
おばさんはベッドに潜り込み、隠れた。
彼は起き上がり、床に散らばっていた服を身につけた。
「ごめん。リビングで話そう」
「何に対して謝っているの?この人は誰なの?」
「彼女です」
俯いたまま、小さな声で、彼は言った。
「じゃあ私は何なの?」
語気を荒くして詰め寄ると、彼はさっきよりもっと小さな声で言った。
「ごめん。本当に、ごめんなさい」
彼は私よりおばさんを、人妻を、不倫を、正しくないことを選んだ。
ベッドの中からおばさんが、「ヒーッ」と惨めな嗚咽を漏らすのが聞こえた。
どうして正しい私が背筋を伸ばして立ち、正しくないおばさんが彼に守られ、さも被害者であるかのように、泣いているのか。
あ、そうだ。
私、彼といるとき、泣いたことなんてなかったな。
いつも笑っていた。
いつも自分に自信があった。
私はまだ若くて、未婚で、子供もいない。
私は健やかで、明るく、正しくいようと常に努力してきた。
良くなかったのかな。
悪かったのかな。
未熟だったのかな。
幼かったのかな。
だから、勝てなかったのかな。
悔しかった。
悔しくて、彼の頬を平手で叩いた。
合鍵を床に放り、彼の家を出た。
私は悪くない。私は悪くない。私は悪くない。私は正しい。
若くて強かった私は、自分の家にたどり着くまで、泣かなかった。
若くて強かった私は、夜通し泣いてもきちんと会社へ行き、仕事をこなした。
何が正しくて、何が悪いのか。
価値観は人それぞれ。
そもそも、人は自分の思い通りに動かない。
また、悪いと分かっていても、辞められないときもある。
そもそも、強いことが必ずしも正しく、
弱いことが必ずしも悪いとは限らない。
私がそう気付くまで、気付けるまで、あと数年。
彼の彼女は3人の娘を持つ、人妻だった。
つまり彼は不倫をしていた。
もう4年も人妻と不倫関係にあると打ち明けられたとき、チャンスだと思った。
「不倫なんて良くないよ。最低だよ」
「そうだよね」
「私と付き合おう。私となら時間を気にせず会えるよ」
「うん、そうする。そうするよ」
彼は人妻と別れ、私を選んでくれた。
私達は、色んな場所へ出かけた。
昼間に堂々と、手を繋いで。
ショッピングモールを歩いた。郊外にあるカフェでお茶を飲みながら話し込んだ。浴衣を着て、お祭りに出かけた。互いの友人に紹介し合い、ダブルデートのようなこともした。
それは彼が不倫をしていた4年間、ずっと夢見ていた、
「普通のカップル」の「普通の交際」だと言う。
私は処女を彼に捧げた。
とても怖かったけれど、彼の大きくて優しい手が、唇が、私を安心させてくれた。
彼が前戯に長い時間をかけてくれたおかげか、挿入してもあまり痛みを感じなかった。
彼が私を選んでくれたことが嬉しくて、彼を正しい道へ導けたことが嬉しかった。幸せを噛みしめた。
そう、私は、昔から、正しいことが大好きだった。
浮気、不倫、一夜限りの関係。そういうものが嫌いだった。
セックスは好きな人とするべき。
きちんとコンドームをつけて。
手を繋いで。好きって何度も言い合いながら。
だってそれが正しい恋愛でしょ?
だってそれが正しいセックスでしょ?
私と彼が正しい交際を開始して1カ月。
火曜日の夜だけなぜか彼と連絡が取れないことが続いた。
「火曜日は毎週夜勤になったんだ。ごめん」
彼の言葉に、正しくない雰囲気を感じた。
ああ、彼はまたきっと不誠実に引き寄せられている。
私が正してあげないと。
火曜日の深夜2時、私は彼が一人暮らしをしているアパートへ向かった。
付き合ってすぐに、彼から合鍵を渡されていた。
案の定、外から見た彼の部屋には明かりが灯っていた。
私は迷わず合鍵を使い、ドアを開けた。
玄関には女物の白いパンプスが転がっていた。
私は迷わず寝室へ進んだ。
私が初体験を済ませたシングルベッドで、
彼とおばさんが裸で肩を寄せ合い、眠っていた。
「ねぇ、起きて。これどういうこと?」
2人は飛び起き、私の姿を見て悲鳴をあげた。
おばさんはベッドに潜り込み、隠れた。
彼は起き上がり、床に散らばっていた服を身につけた。
「ごめん。リビングで話そう」
「何に対して謝っているの?この人は誰なの?」
「彼女です」
俯いたまま、小さな声で、彼は言った。
「じゃあ私は何なの?」
語気を荒くして詰め寄ると、彼はさっきよりもっと小さな声で言った。
「ごめん。本当に、ごめんなさい」
彼は私よりおばさんを、人妻を、不倫を、正しくないことを選んだ。
ベッドの中からおばさんが、「ヒーッ」と惨めな嗚咽を漏らすのが聞こえた。
どうして正しい私が背筋を伸ばして立ち、正しくないおばさんが彼に守られ、さも被害者であるかのように、泣いているのか。
あ、そうだ。
私、彼といるとき、泣いたことなんてなかったな。
いつも笑っていた。
いつも自分に自信があった。
私はまだ若くて、未婚で、子供もいない。
私は健やかで、明るく、正しくいようと常に努力してきた。
良くなかったのかな。
悪かったのかな。
未熟だったのかな。
幼かったのかな。
だから、勝てなかったのかな。
悔しかった。
悔しくて、彼の頬を平手で叩いた。
合鍵を床に放り、彼の家を出た。
私は悪くない。私は悪くない。私は悪くない。私は正しい。
若くて強かった私は、自分の家にたどり着くまで、泣かなかった。
若くて強かった私は、夜通し泣いてもきちんと会社へ行き、仕事をこなした。
何が正しくて、何が悪いのか。
価値観は人それぞれ。
そもそも、人は自分の思い通りに動かない。
また、悪いと分かっていても、辞められないときもある。
そもそも、強いことが必ずしも正しく、
弱いことが必ずしも悪いとは限らない。
私がそう気付くまで、気付けるまで、あと数年。