そんな男と結婚しなくていい、貴女もお腹の子も私が養うから

貴女へ

この度は、結婚おめでとう。
先日共通の友人から、貴女が入籍をして無事に元気な赤ちゃんを産んだことを聞きました。
直接聞きたかったけど、私にはそれを望む資格もないかもしれません。


貴女とは高校の入学式で仲良くなり、大学進学で別々の県に行っても毎日連絡を取って、時には旅行もして、お互いのピンチには深夜でも駆けつけて。
私達は自他共に認める親友でした。
私と貴女が女の子同士で無ければ、7年間募らせたこの気持ちを告白して、親友ではなくカップルになれたでしょうか。


大学を卒業したら、お互い東京で就職してルームシェアをしようと約束しました。
コロナでなかなか上手く行かない就活も、貴女との生活への期待に胸を膨らませると乗り越えることができました。

お互い東京の企業へ内定も決まった大学4年の冬、貴女と急に音信不通になりました。
誰が連絡しても繋がらない状況に、とても心配になって貴女の家に押しかけました。


久しぶりに会った貴女はやつれていて、泣きながら「妊娠したの、どうしよう」と言いました。

相手は年下の専門学生。
でも律儀なことに「一緒に育てよう」と言ってくれたみたいですね。
人生設計が崩れることや経済的な不安で、産むか産まないか悩んでいた貴女。
精神状態や体調が心配で、毎日貴女に会いに行きました。


私が最後に貴女から貰ったラインは「彼と結婚して産むことにする。お腹の子の命を殺せない」です。

それに対して私は、
「堕ろした方がいい」
「今の状況で産んでも絶対に幸せになれない。産むとしても避妊もしない男と結婚しなくていい」
「私が養うから」
等、最低な文章を送ってしまいました。
そんな自分に酷く自己嫌悪を抱いて、貴女を一方的にブロックしたのです。


親友として貴女の選んだ選択を応援できなかったこと、どんな選択をしても味方でいられなかったこと、とても後悔しています。
貴女が結婚してしまうショック。
貴女が「母」という遠い存在になるような恐怖。
東京に一緒に行けない寂しさ。
貴女のことが1番大切だったはずなのに、私は貴女の幸せよりも自分の感情を優先しました。


「私のためを思って言ってくれてありがとう」
私を疑わない貴女の心の綺麗さが、自分の汚さを際立たせます。
そういうところが大好きでした。


あの日の最後のラインのことを謝りたいけれど、貴女に合わせる顔がありません。
誰かの妻で母になっている、私の知らない貴女に会うのがまだ怖いです。
いつか必ず自分の気持ちに整理をつけるので、もう少し時間をください。
親友失格な私だけど、この気持ちだけは誰にも負けません。

貴女の幸せをずっとずっと願っています。


親友より
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