「やっぱり女の子と付き合って結婚しようと思う」
最近よく言われているトランスジェンダーっていうのとは僕は違うと思う。多分。
女の子になりたい憧れは強くある。
しかし骨格も顔立ちも女の子のそれとは程遠いので、女の子として生きる勇気がなく諦めている。
男らしくあれと言われると嫌だけど、男である事に違和感を感じるかと言うとそうでもない。
けど男で生きる事に慣れすぎて、自分が男である事を受け入れている気持ちが本当なのか嘘なのか正直分からない。
ゲイ、トランスジェンダー、Xジェンダー。
性自認にいくつかの基準ができてしまうと、どれかに自分を当てはめなきゃいけない気がして余計不安になったりした。
最近ではクエスチョニングという便利な呼称もあるので少し助かっている。
好きになる人は異性が好きなヘテロ男性ばかりだった。
女の子になりたかったから、ヘテロ男性から好きになって貰えたら女の子になれる気がしてた。
ネットにはそんなヘテロ男性との交際に至ったゲイのエッセイが数多くあるが、僕の人生には縁のない話のようだと10代の内に気が付いた。
15歳から19歳のうちに3人のヘテロ男性に告白した。
今振り返るとかなりアグレッシブで見習いたい行動力。
しかしひとつも叶う事は無かった。
その事が「お前は女の子じゃない」って叩きつけられる感じがして、3回目にはちょっとトラウマになった。
それからは少しずつ自分の心と体のギャップを埋める感じで、無意識に自分を傷つけない方へ傷つけない方へと自分の感性を捻じ曲げて行ったと思う。
気付けば普通にゲイの男性も好きになるようになった。
ライダースジャケットとかの男らしいファッションには未だに手が伸びなくて、可愛らしいメンズ服を選びがち。
そして、女の子も男の子も好きになれるバイの男性に強い魅力を感じるようになった。
身体を重ねた相手が女の子との経験談を語る姿を見ると、ちょっとだけ自分の中の女性が認められる感じがするから。
初めて両思いになったのもバイの男性。
僕が21歳のとき彼は28歳で、若い時はたくさん女の子と遊んだらしい。
彼は絵に描いたようなバリバリの営業マンで、二人で居る時もいつもテンションが高くて子どもみたいだ。
僕はどちらかというと陰キャの部類なので彼に見合っているのか不安になる事もあったけど、彼はそんな僕を気にも留めずたくさん愛情を注いでくれた。
僕は彼の元カノの話や初体験の話が大好きだ。
町に一つしか無いカラオケでギャルの同級生に童貞を捧げた話、大学の頃ヤリサーに入ってた話、5年付き合った元カノの話、最近は清楚系の女優がタイプだという話。
そのすべてが今の僕の自尊心をくすぐった。
ラブホの部屋の大型テレビに流れるAVの女優に釘付けになる姿もあんまり嫌じゃなくて、AVを見ながら抱きかかえられている自分に少し優越感を覚える。
二人で旅行に行ったり、お揃いのスニーカーを買ったりした。
夢にまで見た男女の恋愛をしてるみたいで、少しずつ自分の事を好きになっていった。
けど付き合う事はなかった。
厳密に言うと、僕は付き合っていると思っていたけどどうやらそういう訳ではなかったようだ。
確かに僕もちゃんと告白したりはしていなかったが、もう付き合ってるもんだと思い込んでいた。
大人の恋愛ってそういうもんだってどっかで見た事があったから。
「やっぱり女の子と付き合って結婚しようと思う」
いつも通りホテルの部屋に入ってソファに座って話をしているときにいきなり言われた。
血の気が引いたけど冷静なフリをして話を聞いた。
親に言われたんだって。結婚しろって。
田舎はご近所や親族との距離が近くて閉鎖的だから打ち明けるのが怖いらしい。
親族より自分を優先してなんて言えない。
今日で会うのを最後にしようとの事だった。
単順に「付き合ってなかったんだ」という衝撃と、久しぶりに自分の中の女の子を否定されるあの感じを味わった。
最後の夜は自尊心を取りこぼすまいと、指を絡め合う時も、唇を重ねる時も、彼のものを咥える時も、慎重に丁寧に肌を擦り合わせて自我を保っていた。
彼のものが僕の中に入ってくる。あと10分ほどで全て終わってしまう。
すごく悲しかった。体を突かれながら涙が出そうになった。
この時間が終わったら慎重にすくい上げた自尊心が全て無くなってしまう気がして、恐くて今まで聞けなかった事を彼に聞いた。
「女の子と俺とどっちが可愛い?」
「お前の方が可愛いよ」
気持ちが込み上げてボロボロ泣いた。
彼は泣いてはいなかったけど、少しつらそうな顔をしていた。
3年後、彼は知らない女性と結婚した。
結婚式には行かなかった。
僕はというとあまり変わってない。
歳を重ねるごとに、ちょっとずつちょっとずつ自分を傷付けないように自分の感性を微調整して生きている。
実はライダースジャケットにもちょっと興味が沸いてきている。
依然として女の子にはなりたいけど、性適合手術をする勇気はない。
だからちょっとずつ自分を社会に合わせていってる。
でもその生き方が僕を形成してるし、世を忍んで自分だけの自分を磨いていってる自分が好きだ。多分。
女の子になりたい憧れは強くある。
しかし骨格も顔立ちも女の子のそれとは程遠いので、女の子として生きる勇気がなく諦めている。
男らしくあれと言われると嫌だけど、男である事に違和感を感じるかと言うとそうでもない。
けど男で生きる事に慣れすぎて、自分が男である事を受け入れている気持ちが本当なのか嘘なのか正直分からない。
ゲイ、トランスジェンダー、Xジェンダー。
性自認にいくつかの基準ができてしまうと、どれかに自分を当てはめなきゃいけない気がして余計不安になったりした。
最近ではクエスチョニングという便利な呼称もあるので少し助かっている。
好きになる人は異性が好きなヘテロ男性ばかりだった。
女の子になりたかったから、ヘテロ男性から好きになって貰えたら女の子になれる気がしてた。
ネットにはそんなヘテロ男性との交際に至ったゲイのエッセイが数多くあるが、僕の人生には縁のない話のようだと10代の内に気が付いた。
15歳から19歳のうちに3人のヘテロ男性に告白した。
今振り返るとかなりアグレッシブで見習いたい行動力。
しかしひとつも叶う事は無かった。
その事が「お前は女の子じゃない」って叩きつけられる感じがして、3回目にはちょっとトラウマになった。
それからは少しずつ自分の心と体のギャップを埋める感じで、無意識に自分を傷つけない方へ傷つけない方へと自分の感性を捻じ曲げて行ったと思う。
気付けば普通にゲイの男性も好きになるようになった。
ライダースジャケットとかの男らしいファッションには未だに手が伸びなくて、可愛らしいメンズ服を選びがち。
そして、女の子も男の子も好きになれるバイの男性に強い魅力を感じるようになった。
身体を重ねた相手が女の子との経験談を語る姿を見ると、ちょっとだけ自分の中の女性が認められる感じがするから。
初めて両思いになったのもバイの男性。
僕が21歳のとき彼は28歳で、若い時はたくさん女の子と遊んだらしい。
彼は絵に描いたようなバリバリの営業マンで、二人で居る時もいつもテンションが高くて子どもみたいだ。
僕はどちらかというと陰キャの部類なので彼に見合っているのか不安になる事もあったけど、彼はそんな僕を気にも留めずたくさん愛情を注いでくれた。
僕は彼の元カノの話や初体験の話が大好きだ。
町に一つしか無いカラオケでギャルの同級生に童貞を捧げた話、大学の頃ヤリサーに入ってた話、5年付き合った元カノの話、最近は清楚系の女優がタイプだという話。
そのすべてが今の僕の自尊心をくすぐった。
ラブホの部屋の大型テレビに流れるAVの女優に釘付けになる姿もあんまり嫌じゃなくて、AVを見ながら抱きかかえられている自分に少し優越感を覚える。
二人で旅行に行ったり、お揃いのスニーカーを買ったりした。
夢にまで見た男女の恋愛をしてるみたいで、少しずつ自分の事を好きになっていった。
けど付き合う事はなかった。
厳密に言うと、僕は付き合っていると思っていたけどどうやらそういう訳ではなかったようだ。
確かに僕もちゃんと告白したりはしていなかったが、もう付き合ってるもんだと思い込んでいた。
大人の恋愛ってそういうもんだってどっかで見た事があったから。
「やっぱり女の子と付き合って結婚しようと思う」
いつも通りホテルの部屋に入ってソファに座って話をしているときにいきなり言われた。
血の気が引いたけど冷静なフリをして話を聞いた。
親に言われたんだって。結婚しろって。
田舎はご近所や親族との距離が近くて閉鎖的だから打ち明けるのが怖いらしい。
親族より自分を優先してなんて言えない。
今日で会うのを最後にしようとの事だった。
単順に「付き合ってなかったんだ」という衝撃と、久しぶりに自分の中の女の子を否定されるあの感じを味わった。
最後の夜は自尊心を取りこぼすまいと、指を絡め合う時も、唇を重ねる時も、彼のものを咥える時も、慎重に丁寧に肌を擦り合わせて自我を保っていた。
彼のものが僕の中に入ってくる。あと10分ほどで全て終わってしまう。
すごく悲しかった。体を突かれながら涙が出そうになった。
この時間が終わったら慎重にすくい上げた自尊心が全て無くなってしまう気がして、恐くて今まで聞けなかった事を彼に聞いた。
「女の子と俺とどっちが可愛い?」
「お前の方が可愛いよ」
気持ちが込み上げてボロボロ泣いた。
彼は泣いてはいなかったけど、少しつらそうな顔をしていた。
3年後、彼は知らない女性と結婚した。
結婚式には行かなかった。
僕はというとあまり変わってない。
歳を重ねるごとに、ちょっとずつちょっとずつ自分を傷付けないように自分の感性を微調整して生きている。
実はライダースジャケットにもちょっと興味が沸いてきている。
依然として女の子にはなりたいけど、性適合手術をする勇気はない。
だからちょっとずつ自分を社会に合わせていってる。
でもその生き方が僕を形成してるし、世を忍んで自分だけの自分を磨いていってる自分が好きだ。多分。