実はずっと好きだった。でもセフレって最初に言われたから。
「ただいま」
もらった合鍵で鍵を開けて
部屋にいる彼の背中をぎゅーっと抱きしめに行く。
「おかえり、ごはん食べてきた?」
「うん、今日も泊ってそのまま仕事行く」
「了解。俺また朝起きれないかも」
「いいよ、無理しなくて」
この会話になれて半年以上たっている。
きっかけは行きつけの美容院で彼が担当してくれたことだった。
名刺をくれて、何となく彼のSNSから連絡をして今日のお礼を伝えると
彼からも返信が来た。
何気ない会話からごはんに行くことになり、一旦はお互いの家に帰ったものの
「映画みたい」なんて適当な理由付けをして彼の家まで遊びにいった。
関係を持ち掛けたのは、私だった。
「もうセフレだね」
「そうだね」
そんな話をきっかけに半同棲が始まった。
私は彼のことが好きだったし、彼も私が好きだと思ってた。
でも彼は私の好きには応えてくれず、私自身もだんだん言葉を濁して過ごすようになった。
行為のあと、まだ裸の彼が
吸えない私に「吸う?」と1本煙草を渡す。
おいしくなんてなかったけど、マネしてベランダで煙草をくわえる時間は幸せだった。
なんとなくこんな風にずっと一緒にいるんだろうなと思っていた。
関係を始めて一年が経とうとしていた時
「彼女ができた」
彼の口からさらっと放たれた言葉。
私は内心焦りながらも冷静を装って
「そっか、仕方ないよね。私ももうこの町離れるから、関係切るにはいいタイミングになったね」
それしか言えず、彼もその言葉に頷くだけでそれ以上は何も言わなかった。
本当はその町を去るなんて嘘だった。
でも彼の匂いや色や形や時にぬくもりさえもふわふわとしているこの町にいれないと思った。
引っ越そう。
そう思って、彼との関係を切って引越しをした。
遠い所に、もう会うことはないと思ってた。
引越しを終えた1ヶ月後、急に彼から連絡が入った。
実はずっと好きだった。
でもセフレって最初に言われたから、関係をなくされるよりはマシだと思って何も言わないでいた。
彼女も嘘だった。試したかっただけだった。
あっさりいなくなったからやっぱりかってなった。
引越し、お疲れさま。
私はその言葉を見て、声を出して泣いていた。
伝わらない関係にしたのも、
強がっていたのも私の方だ。
もう戻れないくらい突き放したのも、
ほんとはずっと好きだったことも、
隠していたのは私の方だ。
答え合わせのあと私はその心のもどかしさを彼に伝えることはできず、
ただ一言
「ありがとう」
それだけ伝えて連絡先を消した。
次会えることがあったら、ちゃんと伝えよう。
ずっと今でも好きだってことも。
もらった合鍵で鍵を開けて
部屋にいる彼の背中をぎゅーっと抱きしめに行く。
「おかえり、ごはん食べてきた?」
「うん、今日も泊ってそのまま仕事行く」
「了解。俺また朝起きれないかも」
「いいよ、無理しなくて」
この会話になれて半年以上たっている。
きっかけは行きつけの美容院で彼が担当してくれたことだった。
名刺をくれて、何となく彼のSNSから連絡をして今日のお礼を伝えると
彼からも返信が来た。
何気ない会話からごはんに行くことになり、一旦はお互いの家に帰ったものの
「映画みたい」なんて適当な理由付けをして彼の家まで遊びにいった。
関係を持ち掛けたのは、私だった。
「もうセフレだね」
「そうだね」
そんな話をきっかけに半同棲が始まった。
私は彼のことが好きだったし、彼も私が好きだと思ってた。
でも彼は私の好きには応えてくれず、私自身もだんだん言葉を濁して過ごすようになった。
行為のあと、まだ裸の彼が
吸えない私に「吸う?」と1本煙草を渡す。
おいしくなんてなかったけど、マネしてベランダで煙草をくわえる時間は幸せだった。
なんとなくこんな風にずっと一緒にいるんだろうなと思っていた。
関係を始めて一年が経とうとしていた時
「彼女ができた」
彼の口からさらっと放たれた言葉。
私は内心焦りながらも冷静を装って
「そっか、仕方ないよね。私ももうこの町離れるから、関係切るにはいいタイミングになったね」
それしか言えず、彼もその言葉に頷くだけでそれ以上は何も言わなかった。
本当はその町を去るなんて嘘だった。
でも彼の匂いや色や形や時にぬくもりさえもふわふわとしているこの町にいれないと思った。
引っ越そう。
そう思って、彼との関係を切って引越しをした。
遠い所に、もう会うことはないと思ってた。
引越しを終えた1ヶ月後、急に彼から連絡が入った。
実はずっと好きだった。
でもセフレって最初に言われたから、関係をなくされるよりはマシだと思って何も言わないでいた。
彼女も嘘だった。試したかっただけだった。
あっさりいなくなったからやっぱりかってなった。
引越し、お疲れさま。
私はその言葉を見て、声を出して泣いていた。
伝わらない関係にしたのも、
強がっていたのも私の方だ。
もう戻れないくらい突き放したのも、
ほんとはずっと好きだったことも、
隠していたのは私の方だ。
答え合わせのあと私はその心のもどかしさを彼に伝えることはできず、
ただ一言
「ありがとう」
それだけ伝えて連絡先を消した。
次会えることがあったら、ちゃんと伝えよう。
ずっと今でも好きだってことも。