一緒に暮らすようになってから、彼女は僕に愛想よく笑う。
夏、日馬富士が白鵬を破って4場所ぶりの優勝を決めた。
確か、決まり手は寄り切りだった。

その夏、長く付き合った恋人と別れた。
別れた決め手は、結局曖昧で不明。

自責の念と他責の念が頭の中をぐるぐる巡る。
こんなんじゃ埒が明かない。
何はともあれポジティブにとらえることにしよう。

「シングルに戻った今、大手を振って他の人といろんなことができるじゃないか」
と非常に邪な動機でマッチングアプリを始めた。

不愛想なメッセージしか返してこない女性がいた。

待ち合わせ場所に現れたのは、メッセージの印象とたがわず、不愛想な女性だった。
改札口で僕を一瞥した彼女は、露骨に僕への興味を失っているような様子だった。

無理もない、彼女の好みとして列挙されていた男性はどれも線の細い男性。
ガタイの良い僕とは明らかに正反対。多分性的にタイプじゃないのだろう。

涼を取るために入った喫茶店で、なんてことない雑談をした。
音楽の趣味だけは合っていたこともあり、場は何とか持った。
何かが起こる予感もなければ、ましてや付き合うなんてほど遠い色気のなさだった。


帰宅後、社交辞令のつもりで送った「また会いましょう」というLINEへの返信は、
以外にも「来週の土日なら空いている」という内容だった。

次のデートで分かったことは、
彼女は自己肯定感が低く、猜疑心の強い人間なのだいうことだった。

「自分に価値がない」という彼女を見た僕は、
「そんなことは無い」のにとシンプルに思った。

それから、何回か遊びに出かけた。


彼女と会う時、僕は彼女の良いところを探して、褒めるようにした。
良いところを探しているうちに、本当に魅力的なところがたくさんある人だった。

ただ、常に返ってくるのは「言葉は信用できない」という彼女の言葉。

彼女の魅力を彼女に伝えても、いつも同じ言葉を不愛想に返してくるだけ。


どうして、自分をそんなに卑下するのか。

何回目かのデートの際、つい痺れを切らした僕は

「言葉じゃなければ伝わるの?セックスでもしてみる?」
と、皮肉のつもりで述べた。

どうしていいかわからなくて、嫌われてもなんでもいいやとやけくそになっていたこともある。
好きになっていた手前、むしろ嫌われた方が諦めがつくと思っていた。


その後、何故か僕らはホテルにいた。
この展開を予想してなかった僕は恐る恐るセックスをした。

セックスしてみると、意外と身体の相性が良かった。
思った以上に、押しても引いても無反応だった彼女との距離が縮まるのを感じた。

彼女もそうだったのだろうか、彼女は不愛想に言った。

「私は、貴方を彼氏だと思ってるよ。」

決まり手は、抱いて寄り切り。
地に根を張ったような仏頂面の横綱を動かした。


一緒に暮らすようになってから彼女は今では愛想よく笑う。

彼女曰く、
「単純に欲求不満だったから、誰でもいいからセックスしたかっただけなんだけど、相性も良かったし、大事にしてくれそうだったから。好みじゃなかったけど取り合えず何回かセックスしてみるかと思った」との事。

そういえば、あの時、告白もしてなかった。
彼氏だと思ってる=キープってことだったのか。

前言撤回。仕切り直し。
横綱には中々かなわない。

今では平凡ながら仲の良い夫婦生活を続けている。
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