彼を映画に誘った。終電で出会った2人が5年付き合って、別れるやつ。
「日曜日映画見に行こ」
彼を誘った。
話題の映画。終電で出会った2人が5年付き合って、別れるやつ。
映画を見に行った友達が次々にストーリーを更新していた。
「社会人にはなりたくないなぁ」「同棲したくないって思っちゃった」「めっちゃ泣いたぁ…」
映画を見ながら思った。
私たちと同じ、当たり前の話だ。
2年前の12月、中学の同級生だった彼から告白されて付き合った。
高校を卒業して私は大学生に、彼は社会人になっていた。
元々仲も良くて気も合った。
彼に対して嫌なところなんてなくて順調だった。
夏休みが近づいた頃、「どっか近場でいいから行きたいなぁ」と彼に提案した。
二つ返事で進むと思った話は喧嘩になった。
彼の仕事は忙しいうえに人手が足りない。有給なんて無いようなものだった。
平日は休めない彼のために、私が土日のバイトを休んで行くしかなかった。
彼から旅行に誘われても、予定を合わせるのは結局私。
週一しか会えない日にたくさん遊びたいから、土曜はバイトをしないでほしいと言われた。
社会人だからしょうがないと彼から言われたし、そう思う気持ちも最初はあった。
だけどお互いに都合をあわせて、彼氏と遊んでいる友達が羨ましかった。
なんでいつも私だけが時間を制約されるんだろ。そう思った。
我慢してばっかりだった。
2日前の金曜日。彼に夜ご飯を渡そうと思った。
毎週金曜日のお弁当と夜は私が作ることになっている。
その日も用意して待っていたら電話がかかってきた。
「ごめん仕事全然終わらないから夜ご飯取りに行けないや、ごめん、いらない、捨てといて」
我慢の限界だった。
「なにそれ。」
「いらないって何。」
「せっかく作ったのに?捨てといて?」
「いい加減にしてよ」
「ごめん、仕事戻るわ」
話が終わる前に電話を切られた。
社会人と学生なんて最初から無理だったんだと思った。
学生でアルバイトで融通のきく私がご飯からデートまで全部合わせなきゃいけなかった。
「ごめん。仕事終わった。今から行く」
「もういいよ来なくて。」
「え?なんで?」
沈黙。
「ごめん。もう無理。我慢の限界だわ。」
涙が出た。
「毎回毎回、私が予定合わせて出かけてるのに寝坊するし時間も守らないのに私にばっかり予定合わせろって何。」
「しかもさ、作った料理を捨てろ?何その言い方。作らなきゃ良かったわ」
そう電話で吐き捨てた。
「しょうがないじゃん、仕事なんだから。」
「しょうがないって何。彼女に時間合わさせて遊んで、いらなくなったらせっかく作ったご飯を一言捨てろで終わらせるのが社会人なの?」
「じゃあ学生と付き合えよ」
彼がよく口にする言葉だった。
「なんでそんな言い方しかできないの」
「仕事だからしょうがないじゃん」
「しょうがないってさ…私が我慢してくれるからいいと思ってるんでしょ。もっとさ、言い方があるでしょ。」
"じゃあって何?もっと言い方考えてよ"
映画館に、私が言い慣れた言葉が流れた。
まるで私と彼を見ているようだった。
映画を見ながら彼は泣いていた。
「ファミレスのシーン泣かせにきてるよね。俺がもしあの状態だったら、俺もやだって言っちゃうな」
「俺たちも同棲したらまた変わるかもね」彼が呟いた。
きっと彼は知らないと思った。もうどんなに我慢させてるのかも。
貴方が嫌だと言って引き留めても、私の我慢の日々が続くだけだということも。
同棲したって良い方向には何にも変わらないことも。
彼を誘った。
話題の映画。終電で出会った2人が5年付き合って、別れるやつ。
映画を見に行った友達が次々にストーリーを更新していた。
「社会人にはなりたくないなぁ」「同棲したくないって思っちゃった」「めっちゃ泣いたぁ…」
映画を見ながら思った。
私たちと同じ、当たり前の話だ。
2年前の12月、中学の同級生だった彼から告白されて付き合った。
高校を卒業して私は大学生に、彼は社会人になっていた。
元々仲も良くて気も合った。
彼に対して嫌なところなんてなくて順調だった。
夏休みが近づいた頃、「どっか近場でいいから行きたいなぁ」と彼に提案した。
二つ返事で進むと思った話は喧嘩になった。
彼の仕事は忙しいうえに人手が足りない。有給なんて無いようなものだった。
平日は休めない彼のために、私が土日のバイトを休んで行くしかなかった。
彼から旅行に誘われても、予定を合わせるのは結局私。
週一しか会えない日にたくさん遊びたいから、土曜はバイトをしないでほしいと言われた。
社会人だからしょうがないと彼から言われたし、そう思う気持ちも最初はあった。
だけどお互いに都合をあわせて、彼氏と遊んでいる友達が羨ましかった。
なんでいつも私だけが時間を制約されるんだろ。そう思った。
我慢してばっかりだった。
2日前の金曜日。彼に夜ご飯を渡そうと思った。
毎週金曜日のお弁当と夜は私が作ることになっている。
その日も用意して待っていたら電話がかかってきた。
「ごめん仕事全然終わらないから夜ご飯取りに行けないや、ごめん、いらない、捨てといて」
我慢の限界だった。
「なにそれ。」
「いらないって何。」
「せっかく作ったのに?捨てといて?」
「いい加減にしてよ」
「ごめん、仕事戻るわ」
話が終わる前に電話を切られた。
社会人と学生なんて最初から無理だったんだと思った。
学生でアルバイトで融通のきく私がご飯からデートまで全部合わせなきゃいけなかった。
「ごめん。仕事終わった。今から行く」
「もういいよ来なくて。」
「え?なんで?」
沈黙。
「ごめん。もう無理。我慢の限界だわ。」
涙が出た。
「毎回毎回、私が予定合わせて出かけてるのに寝坊するし時間も守らないのに私にばっかり予定合わせろって何。」
「しかもさ、作った料理を捨てろ?何その言い方。作らなきゃ良かったわ」
そう電話で吐き捨てた。
「しょうがないじゃん、仕事なんだから。」
「しょうがないって何。彼女に時間合わさせて遊んで、いらなくなったらせっかく作ったご飯を一言捨てろで終わらせるのが社会人なの?」
「じゃあ学生と付き合えよ」
彼がよく口にする言葉だった。
「なんでそんな言い方しかできないの」
「仕事だからしょうがないじゃん」
「しょうがないってさ…私が我慢してくれるからいいと思ってるんでしょ。もっとさ、言い方があるでしょ。」
"じゃあって何?もっと言い方考えてよ"
映画館に、私が言い慣れた言葉が流れた。
まるで私と彼を見ているようだった。
映画を見ながら彼は泣いていた。
「ファミレスのシーン泣かせにきてるよね。俺がもしあの状態だったら、俺もやだって言っちゃうな」
「俺たちも同棲したらまた変わるかもね」彼が呟いた。
きっと彼は知らないと思った。もうどんなに我慢させてるのかも。
貴方が嫌だと言って引き留めても、私の我慢の日々が続くだけだということも。
同棲したって良い方向には何にも変わらないことも。