「女の子じゃどれだけしても満たされないの!満たしてくれる男が見つかったの」
⚠この純猥談は浮気表現を含みます。
「私たちってやっぱ、周りの人から見たら変な関係なのかな…?」
「ん〜、分かんないけど変でもいいじゃん。こんなに気持ちがよくて、あなたの隣には私がいるんだし」

クスクス笑い合ってキスした。
ここは秘密の花園。嘘、ネオン街の寂れた安いラブホ。
でも、場所がどこかなんて実はどうでもいい。
この子さえいれば、なんて恥ずかしいけれど。


世の中には、色んな愛の形があるらしい。
それは例えば、女の子同士、であったり。
こうして言葉にすればなんだか他人事みたいだけど、これは紛れもなく私事。
だって私の腕の中で眠たそうにあくびをしたこの子は、
私の大切な恋人のこの子は、
女の子だから。


気づいた時には、そうだったんだと思う。
私はレズビアンだ。恋愛対象も性的対象も女の子。
過去に付き合ってきた人も、セフレも、セフレと言うには足りない関係の人も、みんなみんな女の子。
そんな自覚は薄いのだけれど、セクシャルマイノリティー、というのか。

ある日、喫煙所で出会ったその女の子は、笑顔が可愛くて、無邪気で、明るくて、優しくて、あったかい喋り方をする子だった。
正直めちゃめちゃタイプ。
異性愛者に手を出す勇気なんて、私にはなかったけれど。
いつも同じ時間に煙草を吸いにきていた私達が仲良くなるのに、そんなに時間は必要なかった。
私達はどこか似ていたのかもしれない。


一回遊びに行こうよ、と一緒に食事に行った初デートの日。

「あのね、どう思われるかわかんないんだけどさ、私女の子を好きになるんだ。」

お酒も進んだ頃、彼女はいつも通りのあったかい喋り方で静かにそう言うと、私を見つめた。

震える。
これは運命だと思った。
こんなこと、もう二度とない、絶対に。
離したくない。こんなチャンス。

「私も。私もだよ」

驚きと興奮で、掠れた声で返すと、彼女は笑った。
なんとなくそんな気がしてた、とキスをされた。
2人して何だか泣きそうで、それがなんかおかしくて、思わず笑った。

その日、初めて彼女と身体を交えた。
彼女は今までの人よりもずっと上手くて、優しくて、綺麗で、気づけば夢中だった。


そうして交際を始めてからの1年半。
真面目でどこか抜けているこの子と、たくさんの思い出を作ってきた。
笑い合って、喧嘩をして、一緒に泣いて、仲直りして。

私たちはどれだけ愛し合っていても、結婚はできない。
彼女と本当の意味で交じり合うことはできないし、子供も作れない。
親にさえ祝福してもらえないかもしれない。
友達にも堂々とは紹介できないし、街中で手を繋ぎハグをすることすら、少し難しい。

それでもいいと思えた。
きっと彼女も、それでもいいと笑ってくれるだろうと思った。
この子さえいれば。それくらい好きだから。

だから、気付いてしまったあの日、全てを無視したのだ。


最近彼女が、化粧を変えた。
最近彼女が、彼女の趣味じゃなさそうな新しい洋服を買った。
最近彼女が、いつもと違う誰かの匂いを纏っている。

私はその匂いを知っていた。
有名ブランドの、男性用の香水。
知っていたけど、
私は知らないフリをしたのだ。

彼女がその匂いを纏って私に会いにくる日、私はそれをかき消すかのように彼女を何度も果てさせた。
所有印を刻んで、強く強く抱きしめた。

彼女は私の前であまり笑わなくなった。
否、顔は笑っているけれど、笑えていなかった。

たぶん、彼女も私も、演技と嘘だけうまくなったのだと思う。うまくなったと勘違いをした。広がっていく綻びにも気づけずに。
先に、手遅れなくらい綻びが広がっていることに気づいたのは私の方だった。


「最近、誰と恋愛してんの?」

そう聞くと、彼女は俯いた。

「ごめん。」

謝るって認めるってことだ。
堪らなくて無理やりキスした。
街中だったけど、どうでもよかった。
彼女は私を押し離して、拒んだ。

「女の子じゃどれだけセックスしても満たされないの!満たされてないところを満たしてくれる人が見つかったの。」
「そしたら、あなたとの全てが気持ち悪くなった。同性同士で何してるんだろうって思った。」
「あなたが男だったらよかったのに。」

彼女は去った。
立ちすくむ私を置いて。
こんなところで、突きつけられるなんて思わなかった。

気持ち悪い?
私が男だったら?

泣いた。
しゃがみ込んで泣いた。
何時間も泣いた。

じゃあ私はどうすればよかったの。
どうしようもなかったなんて言わないで。
そんな救われないこと言わないで。

私には満たせなかった彼女の何処か。
それは男になら満たせるのか。
男であれば、それだけで満たせるのか。
なら、どうにか満たそうとした私の努力はどこへ消えるの?

どうして私は男じゃないんだろう。
蹲み込んで泣く私に、男性が声をかけてきた。
なんだか全てがどうでも良く思えて、お酒を飲んで、ホテルに行った。


その日、初めて私は、男性に抱かれた。
すごく気持ち悪くて、気持ちが良い夜だった。
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