わたしは、みんなの「かわいい」で生きている
細かいパールが入ったピンクの下地を肌に伸ばす。
あいつの最寄り駅で買ったパック。
結構いいよ、と勧められて行き始めたジム。
軽いファスティングとカフェイン摂取をやめた肌は最高に調子がいい。

あの人の隣で眠った瞳は爛々と輝いて、もらったキラキラのアイシャドウパレットにも負けていない。薄いピンクを筆にとって、アイホールに広げた。
少しだけ涙袋にものせると涙袋がぷっくりして見える。
締め色を目尻にだけつけて、ラメを重ねればグラデーションの完成だ。

まつげは数回に分けて丁寧にビューラーで挟むのがポイント。ビューラーする前に軽くパウダーをつけておくと上がりやすい。綺麗なCカールを描いたまつげにたっぷりとマスカラをつけ、パタパタ手で乾かしてぱちぱちまばたきすれば、完璧。

いつもより少し長くタレ目になるように。でも長すぎないように、下がりすぎないように慎重に慎重に引いたアイライン。黒目の上だけまつげの間を埋めて、ナチュラルに目を大きく見せる。

名入りのピンクリップにたっぷりグロスを重ねれば、誰が見てもキスしたくなるくちびるの出来上がり。

カーラーを取った前髪はくるん、と巻かれ、少し手ぐしで整えればOK。パリパリにならない程度にスプレーをかける。前日から着ると決めていた好みの洋服に身を包み、あの子がくれた小さなバッグに携帯とリップを入れた。

時計の針は出発時刻の5分前を指している。
5cmヒールを履いて玄関をあとにした。


シフォンスカートにしわがつかないよう、気をつけてベンチに座る。
もういますよ!とメッセージを送ると既読はすぐについて、とんとん、と肩を叩かれた。


「えと……沙羅ちゃん?」
「あっ……、そうです♡」
「やっぱり!」

「つか……、あー。写真よりすげぇ可愛いね」


当たり前じゃない。


「えー?そんなことないですよぉ」

行きましょう?
するりと手を重ね、わたしたちは歩き始めた。


すやすやと眠る彼の隣で、スマートフォンを手にとる。
彼のメッセージ欄をスワイプし、赤いボタンを押した。

バイブレーションとともに表示されるメッセージ。
『明日○○駅に20時で大丈夫?』
リップもグロスも取れてしまった口元が自然と綻ぶ。

『うん!会えるの楽しみにしてるね』

この人の好みの服はどんなだったっけ。
頭の中でコーディネートを考えながら、彼の隣で眠りについた。


わたしは、みんなの「かわいい」で生きている。
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