お前だけは、私を抱かない
はじめは騒がしい奴だと思った。

出会いは内定式。
全国支店を合わせて120名以上いる同期の中で、彼はかなり目立っていた。
ザ・関西人のノリやお喋りで常にグループの中心にいて、ゲラゲラとよく笑っていた記憶がある。この会社に入らなければ関わらないタイプの男だ。

大阪出身の彼は、研修中はほとんど東京配属の男子と女子と3人でいた。
他人から見てもわかるくらい、彼はその女子のことが大好きだった。「全く◯◯は〜」と言いつつその女子の世話を焼く彼を見て、わかりやすい奴だと思った。

5月に1年目として本配属になってから、やっと彼と話し始めた。
そいつはイメージしていたよりうるさくなく、誰にでも平等に明るく話しかけ、あっという間に関西支店のムードメーカーになった。
素直で、太陽のような彼のことを嫌いな人はほとんどいなかったと思う。
関わる内に仲良くなって、ドライブに行ったり、飲みに行く機会が増えた。会社で一番仲の良い男友達になるまで時間はかからなかった。

秋に昼休憩中に2人でカフェに行った時に、「新しく好きな子ができた」と告白された。
別支店の同期で、黒髪で、目がぱっちりした、誰から見てもかわいい女の子。
前の好きだった子も同じ系統だったことを思い出して揶揄うと、照れ臭そうに笑う。かわいい奴だと思った。


その日から私は、彼の夢を見るようになった。
そして、夢の大半が淫夢だった。

想像上の彼は、私に組み敷かれ、戸惑った顔をする。
フェラをされると、目を瞑って息を殺した。
Mだと言っていた彼の顔は赤く、嗜虐心を刺激する。

初めて淫夢を見た日は罪悪感に駆られながら出社した。
彼と談笑しながら食べるトマトパスタは、なんとも言えない味がした。

別の夜も彼は私を優しく抱きしめ、恋人に向けるような目を向ける。見たこともない顔でキスをするせいで、夢の中でもこれが夢だとわかる。

実際のこの男は、好きな子と一緒に添い寝をしても手を出さない。
新しく出来た好きな子とホテルの部屋で一緒に酒を飲んでも、我慢して寝ることができる。
そのエピソードを飲みに行く度に何度も聞いた。私は「ヘタレかよ(笑)」とハイボールを片手に、こいつの意外と真面目な性格に安堵した。

あの余裕のない顔を、現実で見たい。
だけど、好きな子にさえ手を出さないこいつが、私とセックスするはずがないのだ。


4月。
3月31日付で退職した彼以外、2年目の代になった。
最近の近況報告も兼ねて、彼を含めた同期4人で焼肉に行く。

2次会で飲みすぎて記憶を無くした私は、気がついたら彼と腕を組んで歩いていた。
それでも彼はちゃんと電車に乗って実家に帰っており、私は別の同期に手を繋がれて帰った。朝起きて隣で寝ている男が彼でないことに、落胆したと同時に安心した。

お前は私をそういう目で見ない。
お前だけは、私を抱かない。

筋肉質で割れた腹筋に触りたいとか、ゴツゴツしているけど綺麗な手を握りたいとか、ワックスで固めた髪を撫でたいとか、いつも笑っているその顔を焦らせたいとか。
この気持ちが夢の影響からくるただの性欲であることを願い、心に隠す。

だから、ずっと私の大好きな友達でいてくれ。
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