彼が他の女と関係を持っていても、もう彼への気持ちは巻き戻せない
彼から毎日のようにLINEがきて、会社の休憩時間やエレベーターで一緒に乗り合わせたときによく話しかけてくるようになったのは、私が元カレと別れた話を他の同僚から聞いたかららしかった。


入社して間もなかったその頃。
まだよく知りもしない相手からの突然の猛アピールに、私は正直引いてしまうというか、同僚とはいえど年下の私をからかっているんだろうなぁと思い、軽く受け流す日々が続いた。

遊び半分の人であれば諦めているであろうところまであしらっていた。
逆に嫌われてしまうかもしれないという不安感もあったけど。
それでも彼はめげずに、そして私の期待通りに「ねぇ、デートしよ。」を繰り返してきた。
元々押しに弱い私は、段々にそのストレートな台詞が心地よくなっていた。
彼からのLINEすら待ってしまう自分がいるくらいにはもう、時既に遅しだったのだと思う。

誘われるようになってから一ヶ月後くらいの日曜日に、たまたま出先だった事もあり「この後空いてるけど会う?」と自分からLINEを送った。
その日以来、デート終わりに彼はすぐ次のデートの予定を取り決め、毎週末会うようになった。

職場でも顔を合わすが、彼はデスクの陰の周りから見えないような位置で手を繋いできたり、私の席まできては肩を揉んできたりした。
さすがに同僚どころか先輩らにも噂されてしまうのではと、ヒヤヒヤする私の事はお構いなしな彼の行動だったが、それも私には心地良くなってしまっていたのかもしれない。


入社したての緊張感と忙しなさ。
新しい人間関係への期待感と高揚。
仕事の出来としても人としても認められたい承認欲求。
それとは裏腹な、社内恋愛の背徳感。
私にとって、どれも享受したい、そんな貪欲な時期だった。
でも元カレと別れてまだ一ヶ月か二ヶ月しか経っていなかったし、何もかもがいっぺんに押し寄せ過ぎて、私はいっぱいいっぱいになってしまった。

手を繋ぐか繋がないか、好きと伝えるかまだ伝えないかなんて、そんな学生の頃の私だったら試験よりも大事にしていたような事も、社会人数ヶ月目の私には考える余裕がなかった。
余裕はないのに、彼の甘い台詞やちょっと強引なところが私を支配し、痺れさせた。


「俺と付き合おう?」

毎週とはいっても片手で数えられる程度のデートをしているうち、彼は一段階上を攻めてくるようになった。
確かに手順で言うと違えてはいなかった。
だけど妙にスピード感あり過ぎる展開に戸惑っていたし、ついていくのに必死だった。

「もうちょっと、映画みたいにさ、ゆっくり観たい時もあるでしょ?だから、一時停止かスロー再生しない?」

何より彼を振りたくない、離したくない私は、映画のデート後にうまい事言ったつもりでいた。
彼の答えはNoだった。そんなの待ってられないくらい好きだ、と。


そんな矢先だった。
人と打ち解けるには最適である恋バナを、同僚女子宅で数名で話していた時。
そのうちの一人が、「最近、アイツが私の部屋くんねんな。」と話し始めた。
その言葉に一瞬真顔になったのは私だけだったと思う。アイツとは、彼のことだった。

彼女の話によると、一ヶ月ほど前から2日にいっぺんくらいの頻度で、仕事終わりに彼が部屋に訪れるようになり、その度に身体を重ねていたという。

「なんかなー、アイツのキスな、全然気持ち良くないねんな!」

冷えすぎて感覚麻痺した冬の足先のように凍りついていた私には、何も届かなかった。
恋バナを盛り上げようと彼女の口から出る彼との”最中”の話も、皆の笑い声も。
だからその時は痛くも何ともなかった。その時だけは。


付き合ってないし浮気ではないし。
セフレだろうと私にとやかく言う筋合いはない。
待てない彼を待たせてしまった自分に酷く後悔した。

でもさ、なんで時期被ってるの?私の事本当に好き?その子の事も好きだったの?
何で私にはキスもしてないくせに。
最低な人。

そんな事思う脳みそなんかなくて、むしろ既に、彼は私にとって最愛の人だった。
私の気持ちは、もう一時停止もスロー再生も巻戻しも出来なくなっていた。
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