でも君のこと"も"好きだよ
大学2年生の冬。
仲の良い男女6人グループの私たちは、「冬休みが始まったことだし朝までどこかで語り尽くしてはしゃごう」ということで私が密かに気になっていた彼の家に集結した。
覚えたてのお酒を飲みながら、いつものようにみんなでああだこうだ言いながら盛り上がった。
日付もまわり、お酒が弱かった私と彼は、気づけば2人でベッドの上に転がっていた。ドキドキした。
しかし隣で寝転がる彼は、違う女の名前を口にした。
どうやら同じグループに属する女友達のことが好きなようだ。
前からそんな噂は耳にしていたが、学生にありがちな根も葉もない噂だろうと思っていた。
そう思いたかったし、女友達の方もその気はないみたいだったから、特に気にしてはいなかった。
彼は女友達の名前を呼んだが、彼女の方はまだ他の友人達と楽しくお酒を飲んでいたので、少し反応した後、またすぐに他の友人達と話し始めた。
しばらくすると彼は私の方に近づいてきた。
触れる肌。
私もしばらく恋人がいなかったので人恋しかったし、何より彼のことが気になっていたのでそれを拒まずに肌を寄せた。
すると彼の顔がどんどん近づいてきて、私たちはキスをした。
最初は唇と唇が触れ合うだけの軽いキスだったが、それはどんどん激しくなった。
すぐ近くには友人たちがいるからダメだという理性より、友人たちは友人たちで盛り上がっているからバレないだろうというスリルと欲望が勝った。
「なんで拒まないの?」
目をとろんとさせて甘えた声でそう囁いた彼を見て、ああ私はこの人のことが好きなんだと思った。
だから私は「好きだからだよ」と答えた。
彼は「嬉しい」と言いながらまた顔を寄せてきた。
他の子のことが好きなくせに、と思いつつ私は彼と唇を合わせた。
いつの間にか私たちは寝ていて、友人たちも疲れ果ててあちらこちらで雑魚寝していた。
始発の電車が動き出す時刻になると、付き合うのも時間の問題だと私たちの中でも噂になっていた男友達と女友達が一緒に帰っていった。
それからはぽつり、ぽつりと友人たちが帰っていき、私と彼だけが残った。
私はまだ慣れないお酒の余韻で眠かったが、そろそろ私も帰らなければと思い帰り支度を始めた。
すると彼は「まだ眠いでしょ、それに急に1人になるのは寂しい」と言ってきた。
睡魔に、そして彼の甘い悪魔の囁きに負けた。
肌は触れ合っていたものの本当に隣で寝ていただけだった。
私は彼に「昨日のこと覚えてる?」と聞いた。
彼は「あまり覚えてない」と答えた。
覚えていなくて良かったと思いながらも、どこか寂しい自分がいた。
「でも俺のこと好きって言ってくれたのは覚えてるよ」
しばらく間を空けて、彼が言った。
なぜ覚えてて欲しくないところを覚えているのだろう。
そして近づく彼の顔。
昨夜はお互いにお酒が入っていたが、今はもうほとんど抜けている。
私が「あなたの好きな人は別の人でしょ?」と顔を逸らすと、「でも君のことも好きだよ」と言う彼。
「私のこと"も"はずるいよ。本当に好きな人は1人しかいないんだから。」と言うと、彼は一瞬困ったような顔をしながらも「君のこと"が"好きだよ」とまっすぐ私の目を見つめながら言い直した。
そう言われてしまったらもう私はどうしようもない。
私たちはついに体を重ねた。
過去に恋人がいたことはあったけど、これが私のはじめてだった。
彼はたくさんキスをしてくれたし、時には耳や首など色々なところを舐めてきた。
行為を終えて、帰り支度をしている時、私は少し後悔した。
これからどういう顔で会えばいいのかという不安と、彼の中の1番は私ではないはずなのに、私は彼のことが更に好きになってしまっている切ない気持ちが押し寄せた。
「じゃあ帰るね」とドアを開けると「バイバイのチューは?」と言う彼。
これが俗に言うセフレという関係の手前なのだろうか。
彼の中での私は一体なんなんだろう、と思いながらも彼に軽いキスをして私はドアを閉めた。
それからというものの、付き合うのも時間の問題だと言われていた2人は付き合ったがすぐに別れてしまったり、冬休み中だったりで、全員で集まるのはそれっきりだった。
そんな最中、彼と、そして彼がずっと好きだった女友達が付き合ったということを友人から耳にした。
ああ、やっぱりなと思いながらも涙が溢れた。
今となっては彼とはほとんど会わなくなった。
私にも別の恋人ができた。
しかし今の恋人と過ごしている時も、「君のこと"が"好きだよ」と甘くまっすぐな視線を向けた彼のこと、そしてあの日のことを思い出す自分がいる。
もちろん今の彼氏のこと"も"愛しているけど。そんな私が1番罪深い。
仲の良い男女6人グループの私たちは、「冬休みが始まったことだし朝までどこかで語り尽くしてはしゃごう」ということで私が密かに気になっていた彼の家に集結した。
覚えたてのお酒を飲みながら、いつものようにみんなでああだこうだ言いながら盛り上がった。
日付もまわり、お酒が弱かった私と彼は、気づけば2人でベッドの上に転がっていた。ドキドキした。
しかし隣で寝転がる彼は、違う女の名前を口にした。
どうやら同じグループに属する女友達のことが好きなようだ。
前からそんな噂は耳にしていたが、学生にありがちな根も葉もない噂だろうと思っていた。
そう思いたかったし、女友達の方もその気はないみたいだったから、特に気にしてはいなかった。
彼は女友達の名前を呼んだが、彼女の方はまだ他の友人達と楽しくお酒を飲んでいたので、少し反応した後、またすぐに他の友人達と話し始めた。
しばらくすると彼は私の方に近づいてきた。
触れる肌。
私もしばらく恋人がいなかったので人恋しかったし、何より彼のことが気になっていたのでそれを拒まずに肌を寄せた。
すると彼の顔がどんどん近づいてきて、私たちはキスをした。
最初は唇と唇が触れ合うだけの軽いキスだったが、それはどんどん激しくなった。
すぐ近くには友人たちがいるからダメだという理性より、友人たちは友人たちで盛り上がっているからバレないだろうというスリルと欲望が勝った。
「なんで拒まないの?」
目をとろんとさせて甘えた声でそう囁いた彼を見て、ああ私はこの人のことが好きなんだと思った。
だから私は「好きだからだよ」と答えた。
彼は「嬉しい」と言いながらまた顔を寄せてきた。
他の子のことが好きなくせに、と思いつつ私は彼と唇を合わせた。
いつの間にか私たちは寝ていて、友人たちも疲れ果ててあちらこちらで雑魚寝していた。
始発の電車が動き出す時刻になると、付き合うのも時間の問題だと私たちの中でも噂になっていた男友達と女友達が一緒に帰っていった。
それからはぽつり、ぽつりと友人たちが帰っていき、私と彼だけが残った。
私はまだ慣れないお酒の余韻で眠かったが、そろそろ私も帰らなければと思い帰り支度を始めた。
すると彼は「まだ眠いでしょ、それに急に1人になるのは寂しい」と言ってきた。
睡魔に、そして彼の甘い悪魔の囁きに負けた。
肌は触れ合っていたものの本当に隣で寝ていただけだった。
私は彼に「昨日のこと覚えてる?」と聞いた。
彼は「あまり覚えてない」と答えた。
覚えていなくて良かったと思いながらも、どこか寂しい自分がいた。
「でも俺のこと好きって言ってくれたのは覚えてるよ」
しばらく間を空けて、彼が言った。
なぜ覚えてて欲しくないところを覚えているのだろう。
そして近づく彼の顔。
昨夜はお互いにお酒が入っていたが、今はもうほとんど抜けている。
私が「あなたの好きな人は別の人でしょ?」と顔を逸らすと、「でも君のことも好きだよ」と言う彼。
「私のこと"も"はずるいよ。本当に好きな人は1人しかいないんだから。」と言うと、彼は一瞬困ったような顔をしながらも「君のこと"が"好きだよ」とまっすぐ私の目を見つめながら言い直した。
そう言われてしまったらもう私はどうしようもない。
私たちはついに体を重ねた。
過去に恋人がいたことはあったけど、これが私のはじめてだった。
彼はたくさんキスをしてくれたし、時には耳や首など色々なところを舐めてきた。
行為を終えて、帰り支度をしている時、私は少し後悔した。
これからどういう顔で会えばいいのかという不安と、彼の中の1番は私ではないはずなのに、私は彼のことが更に好きになってしまっている切ない気持ちが押し寄せた。
「じゃあ帰るね」とドアを開けると「バイバイのチューは?」と言う彼。
これが俗に言うセフレという関係の手前なのだろうか。
彼の中での私は一体なんなんだろう、と思いながらも彼に軽いキスをして私はドアを閉めた。
それからというものの、付き合うのも時間の問題だと言われていた2人は付き合ったがすぐに別れてしまったり、冬休み中だったりで、全員で集まるのはそれっきりだった。
そんな最中、彼と、そして彼がずっと好きだった女友達が付き合ったということを友人から耳にした。
ああ、やっぱりなと思いながらも涙が溢れた。
今となっては彼とはほとんど会わなくなった。
私にも別の恋人ができた。
しかし今の恋人と過ごしている時も、「君のこと"が"好きだよ」と甘くまっすぐな視線を向けた彼のこと、そしてあの日のことを思い出す自分がいる。
もちろん今の彼氏のこと"も"愛しているけど。そんな私が1番罪深い。