ゴムをつけた。つけていたのを見ていた。 でも、それでも妊娠するかもって書いてた。
TwitterのTLで「緊急避妊薬」についての呟きが多くなった今、思い出したこと。

大学に入り、授業もサークルもそれなりに楽しくなってきた2年の5月、私は年上のひとと付き合うことになった。
「大好きだよ」と言って手をとってくれたその人とは、3ヶ月経って、何度目かのHをした。

1週間が過ぎ、生理が遅れていることに焦り始めた私。
あと3日来なかったら確認しよう、と閉店間際のドラッグストアで妊娠検査薬を誰にも気づかれないように買った。
お腹も心なしか張っている気がする。
でもゴムをつけた。つけてくれていたのを見ていた。
でも、ゴムをつけてても妊娠するかもって書いてた。
その人は「大丈夫だよ」としか言ってくれなかった。
夜は、落ち着かない心臓を抱え込むように布団にくるまり、涙を流し、「はやく生理きて」と、ナプキンをつけながら寝た。

生理のこない朝は、真っ白なナプキンを見て抱えきれない不安に押しつぶされそうになった。それが日を増すと、よくない未来を想像してしまい、ひとりで泣くことが多くなった。

あの人には言えない。親にも友達にも言えない、こんなこと。言っても受け止めてくれない。
彼女なのに?私、あの人の大切な恋人なのに?
私はこんなにつらいのに。私にはわたししかいないのに。

結局、生理は2週間遅れでやってきた。
あの人は「生理きてよかったね。お腹痛くない?」と、憎らしいほどいつも通りに接してきた。
それから、なんとなくギクシャクし始めて、彼が就職することを期に別れた。

3年生になって、所属コースのみんなとより親しくなる頃、私はある同級生に惹かれ、なんとか両想いになり恋人となった。
付き合いたての頃は、手を繋ぐだけで満たされていたが、時間が経ち、お酒を飲むともっと欲しがるようになる自分がわかってきた。

12月の末。
いつものように一緒に食器を片付け、お風呂に入り、髪を乾かしてもらい、アマプラでアニメを見ながらごろごろしていた。
彼の横顔にどきどきしていた。
意外とまつげ長いんだな、笑った顔すきだな、もっとこっち見て欲しい。
繋いだ手は大きくてごつごつしていて私よりあったかい。
彼、自分のシャンプーをもってきたんだ。良い匂い、もっとちかくで。
もっとこっちみて、さわって。
背中大きい。腕が長くて、くちびる柔らかい、やわらかい。
もっと抱きしめて、もっとほしがって。
あったかい。ちょっとあついかも。

もう何だか止まらなくなって、キスばっかしたあとに腕も首も噛んでもらって。
彼がつけたキスマークのじんじんする痛みにうっとりしていた。

探るように大切そうに前戯をしてくれた彼は、ゴムをつけてゆっくりと 私の中に入ってきた。
久しぶりのHで、さらに彼との初めてのHで緊張していた私はあまり濡れず、ちくりとした擦れる痛みを感じながらも気持ちよく満たされていた。


そして二人とも果てたときに、ゴムは破けてしまっていた。

そのあとは年末でも診てくれる病院を探した。
彼は呆然としている私の手を取りながら、運転手に説明をし、病院でも隣で説明と手続きをしてくれた。
あんまり覚えていないけど、ずっと手を握ってくれていたのを覚えている。
医師に、ゴムが破けてしまったことと、学生であることを2人で話した。
医師は、その話を聞いて確認をしたあとに、アフターピルについて話してくれた。

書類にサインすること。保険適応じゃないから値段が高いこと。薬剤師の前で飲むこと。飲んだ後に、腹痛などが起こる場合があること。
それから、100%妊娠しないという補償はないこと。

アフターピルを飲み、1万5000円を支払い家についてどっと疲れが出た私を彼は気遣ってくれた。
私は少し家で休み、実家に帰る電車に乗った。

私を待っていた家族に、私は何も言わず、たのしく過ごそうとした。
彼は、彼の両親に全部話した。
もし、アフターピルが聞かなかったときに、中絶のお金を出して欲しいとお願いしたそうだ。
私は、生理が遅れた時のように、家族にバレないように声を殺して泣いた。

家族にだけはどうしても言えなかった。母にも、父にも、おばあちゃんにも、兄弟にも。
絶対に絶対に隠し通した。

アフターピルを飲んでからは、ずっとお腹が張っていた。
たまに、吐き気を催した。
誰かに助けて欲しかったけど、不安の出し方がわからず、彼に電話で不安をぶつけてしまった。
こんなことが言いたいんじゃない。わかって欲しい。一人にしないで欲しい。これから私はどうなるの?
どうしよう
どうしよう

「本当に、わたしのこと すき?」
って何度でも聞こうと思った。聞きたくなくて彼には言えなかった。

アフターピルを飲んでから、確か2,3週間後に妊娠検査薬を使った。
また、ひっそりと私は買いに行く。
結果は陰性。安心したのは結果を見た一瞬だけで、すぐ不安にさいなまれていた。

生理はそのすぐ後にやってきた。
私はたったひとりきりで、トイレで泣き崩れた。
心の整理が付くまで時間がかかった。


彼とは今も付き合っている。
辛い気持ちは、彼に話せた部分も話せなかったことも沢山ある。
言葉足らずで伝わらない部分もすれ違いも多いけど、私の気持ちを受け止めてくれて、軽率に「きっと大丈夫」なんて言わないようにしているあなたと、私はずっと一緒にいたいと思っている。
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