上着のポケットにラブレターを入れて家を出た。明日からはただの上司と部下。
上着のポケットに
ラブレターを入れて家を出た。

私たちは明日から、ただの上司と部下になる。





あなたは私の尊敬する上司。
16歳年上のあなたはとても魅力的だった。
仕事で一緒に過ごすことが増え、
人として好きだった気持ちが
男性としての好きになるまでは一瞬だった。


私たちは同じタイミングで恋に落ちたらしい。
今まで生きてきて、あなたといたこの3年が
私にとって一番楽しくて死ぬほど幸せだった。


こんなに人を好きになったのは初めてだったから
沢山たくさん我儘を言っただろうと思う。


会いたい。同じくらい好きでいてほしい。
もっとたくさん愛してほしい。
もっと私を大切にしてほしい。


毎日好きだと伝える私と、
それに、知ってるよ。と返すあなた。


自分と同じように愛してくれないあなたは
私のことなんか大して好きじゃないんだ。
そんなふうに思ってからは、喧嘩が増えた。




別れようと思うタイミングも同じだった。
静かな夜のドライブ。
喧嘩をして連絡を取らずに数日経って
話そうか、と久しぶりに待ち合わせをした。


逆立っていたはずの気持ちはどこにもなく、
仕事は忙しくないか?ちゃんと休めてるか?
心配ばかりしてしまった。


だってもう
明日からはそんな会話も
できなくなっちゃうからさ。




優しく話すのはいつも通りなのに、
運転席にいるあなたは今日
全然こちらを見ようとしない。


「今日ね、手紙書いてきたんだ〜(笑)」
そう伝えたら


『えぇ〜やだ、読まないよ〜』
って静かに笑うから


「えー折角書いてきたのに〜!
悪口なんて書いてないよ〜!?」
って茶化して言うと、あなたはこう言った。






『知ってるよ。わかってる。
そういうのが書いてあるわけじゃないって
ちゃんとわかってるよ。』






すごく真剣に、でも悲しそうに
小さな声で、そう言ったんだ。


別れ話をしにきたのに
ラブレターみたいな手紙を書いた私。
私のことは全部お見通し。


信号待ちをして、赤色が青色に変わるくらいの
そんな短い時間のやり取りで、
私は恥ずかしいくらいに泣きじゃくった。
助手席でマフラーに顔を埋めて、
子どもみたいに声を出して泣いた。




だってさ、今までを振り返ったら、
あなたのことが大好きだったったことしか
出てこなかったんだもの。


恨みごとなんて言わないで
可愛くないことなんて言わないで
もっと伝えたいことあったのになぁ。


仕事で忙しいのに来てくれてありがとう。
時間を作ってくれてありがとう。
話を聞いてくれてありがとう。
我儘を聞いてくれてありがとう。
会えてうれしい。元気出た。
愛おしいなぁ…大好きだよ。
本当に心から、愛してる。





最後に車から降りるとき、
「頑張ってね」って言った私に、
「一緒に頑張ろう」ってあなたは言った。


もう一緒にはいられないのに
一緒に頑張ろうって、ずるいよね…
ずるいけど、大人だよなぁ。


寂しいのとありがたいので
胸がいっぱいになった。




あなたに好きと言ってもらえていた
自分のままで終わりたかった。
あなたの中に残る最後の自分が
なるべく愛おしいまま残されて欲しいと
格好つけた私。









さよなら、わたしの初恋。
さよなら、人生で一番好きになった人。

さよならするね
あなたを大好きだった自分に。
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