貴女の年表、欄外でいいから私のスペースがほしい。
好きなのに、ハッピーエンドは訪れないから。
天変地異起こっても、私たちが結ばれることはないから。
子を成せないから。
私には、貴女と幸せになる権利がないから。
貴女には、貴女が望む幸せを手に入れて欲しいから。

───欲張りでごめんね。
最後まで結ばれないのなら、せめて、貴女の年表に名前を残したかったの。
欄外でいい。ほんの小さな文字でいいからさ。
高校時代の友人Aじゃなくて、元カノAとして。

「3学期の間だけでいいので、私の彼女になってもらえませんか」

「いいよ」

あまりにもあっさりとした答えだったので、凄く驚いたのを今でも覚えている。
1月の最後の日のことだった。


私と彼女は、普段から凄く距離が近くて、普通に手を繋いだり、ハグをしたりするような…そんな関係だった。

案の定、仲良くなり始めてすぐに、私の中の私が警鐘を鳴らした。
──それ以上近付くな、本当に好きになってしまう。
でも遅かった。彼女は、「やばい私依存しすぎだ」なんて笑っていたけれど。
依存しているのは私の方だと、気付いてしまったから。

彼女の手に触れる度。彼女が私の肩に凭れ掛かる度。彼女の温度が私に伝わる度。
私は彼女の手を離したくないと、願ってしまった。
初めて女性を好きになったわけではない。こんな感情は初めてだった。


最後の日。終業式のあと、私は彼女を部室に送った。
付き合う前も、付き合ったあとも、2人で歩いた4階の廊下。
20mにも満たないデートコース。

「ありがとう、私の我儘に付き合ってくれて」

「楽しかったよ」

彼女は笑った。私もつられて笑った。

付き合っていた1ヶ月半の間、私たちはキスをしなかったし、最後の日だってしなかった。それでよかった。
彼女の本当に大切な部分には指1本触れてはいけない、そう心に誓っていたから。
傍から見たら付き合ってることすら分からなかっただろう、と思う。

貴女の年表の欄外には私という小さな文字が、私には貴女と付き合っていたという事実が残った。
私は一生、味がしなくなってもなお、このガムを噛み続ける。永遠に。
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