「俺たち別の進路だし、これからしんどくなると思う。だから」
「ずっと前から好きでした。俺と、付き合ってください」
高校一年生で、初めての彼氏が出来た。
彼は野球部で、クラスの男子の中で一番仲がいい。
エースとかじゃなくて、ベンチ入りもしてない彼だけど、隣で応援したいと思った。

人当たりは良いのに、自分にはとことんストイック。
そこが好きだなって思った。

私たちは周りに見守られながら、交際を始めた。
「今度2人でどっか行こうよ」
「一緒に帰ろ」
「...キスしていいかな」
彼は積極的だけど、初々しいから、慣れてる感じはない。

私はただ、受け身でいることしか出来なかった。
嫌な時はちゃんと伝えればすぐにやめてくれるから、彼のことを心から信頼していた。


「ねぇ、今度一緒に出かけない?」
「ごめん。その日は大会がある」

「見に行ってもいい?」
「つまんないと思うよ」

いつかはベンチ入りもしていなかった彼は、レギュラーで試合に出るようになっていた。
気づいたら、追われる恋から追う恋に変わっていた。


私は地元で就職、彼は部活に精を出し、都会の大学で野球の推薦を貰った。
初めて離れ離れになることになった。

卒業式の次の日、彼から久しぶりにデートに誘われた。

今日で、多分終わりだ。

彼とはずっと一緒にいたから、何となく分かってしまった。

その日は普通に待ち合わせをして、あの日彼が告白をしてくれた公園に行き、初デートで行った遊園地に行こうとしたら閉園していたので、近くの水族館に行った。

「はあー、楽しかった」
いつも私たちがデート終わりに別れが惜しい時に寄るカフェにいた。
終わりが近づくにつれ、沈黙が長くなる。

「…ごめん。言いたいことあれば、そっちから言ってほしい」

ねえ、ずるいよ。
私はまだあなたの彼女でいたいのに。

「私の高校生活、必ずあなたがいた。辛い時も、嬉しい時も、そばにいてくれてありがとう」
「うん。お前のおかげで、…頑張れた」

あなたが泣きそうにならないで。
向こうで女の子とDMをしていてもいい。
都会に染まってあなたらしくなくなってもいい。
私から、どうか離れないで。そばにいてほしい。けど、

好きな人のやりたいことの邪魔をするほど、身勝手な人間にはなりたくないから。

「初めての彼氏が、あなたでよかった」

「...部活ばっかで、ほっといてごめん」
「進路も別だし、お互いしんどくなると思う。だから」


「ママー、早く早く!」
「ちょっと待ってよ!」

高校を卒業してから、10年が経った。
私は、二人の子供を持つ母親になった。

「よっしゃ、皆でキャッチボールしよう!」

私は、初恋の人の妻になった。


「部活ばっかりで、ほっといてごめん。進路も離れるし、お互いしんどくなると思う。だから」
「必ず幸せにするから、大学を卒業したら、俺と結婚してください」

野球で生活をする夢を諦めた彼は、地元で就職した。
決して裕福では無い生活だけど、苦しくはない。
あなたが隣にいるなら、なんだっていい。
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