私は絶対に最後までさせない。本当は怖いのだ。
「そういえば女子たちが先輩のこと、いつも連れてる男が違う人だよねーって噂してましたよ」

なんてサークルの後輩に言われても全然気にしない。
つーかお前もワンチャン狙ってるだろ。

「今日飲みませんか?2人で」

特に断る理由もないので二つ返事でOKした。
今日はこいつか。
顔はタイプだけど、話がつまらないんだよなあ。

そんなことを思いながらも

「いいよ、何食べたい?なんでも作るよ」

1人の夜は寂しいので、有無を言わさず宅飲みに誘う。


大学に入学してすぐに意気投合して3年付き合った彼氏に、つい1ヶ月前に振られて傷心の私。
高校卒業して初めての一人暮らしはほぼ2人暮らしからのスタートだったから、別れた今1人の夜が寂しくて仕方がない。


お酒もすすんで、2人の距離が近くなる。

「先輩って、普通に可愛いですよね」
「普通にって、失礼すぎ」

そうは言っても実際私は普通に可愛い。
ミスコンに出るような飛び抜けた美女でもなければ化粧をとったら残念なタイプでもなく、まさに中の上。
連れて歩くにはちょうどいいタイプ。

自覚があるから、タチが悪い。


「あー眠くなっちゃった」

わざとらしくそんなことを言ってベッドに横になれるのも宅飲みのいいところ。

自然と2人でベッドに入る。そこからはもう大体お決まりの流れ。
ハグして、キスして、服に手が入る。でも、

「全部手に入っちゃったら、つまらないでしょ」

そう言って服に入った手を退ける。
少し驚いた、残念そうな後輩の顔。

私は絶対に最後までさせないと決めている。

冷たい夜に暖があればいい。
無音な部屋に誰かの寝息があればいい。
寂しさを埋めるのはそれで十分。


そう自分に言い聞かせているが、本当は怖いのだ。

自分の全てを捧げても、一時の快楽と後の優越感の道具に使われて、ボロ雑巾のように捨てられてしまったら。
自分にはその程度の価値しかないんだ、と自覚してしまう。


「じゃあまた、すぐ飲みましょう。今度は俺の家でゲームでもして」

一度目で身体の関係にならないと、ほぼ全員が次も会いたがる。
俺のものにしてやるという闘争心をくすぐるのか。

そうやって信者みたいな男たちはどんどん増えていく。
それに比例して、あの子ビッチだよね、などという噂も増えて行く。


私はこれでいい。
身体の関係にならなくても誰かがそばに居てくれるし。

私は夜が寂しくなければそれでいいし、向こうは私の彼氏にでもなった気分で買い物に行ったり手料理を食べたり、キスまでできたらWin-Winでしょ。


私は自分の価値を自分で決めてる。
自分が自分でいるために。今日も明日も。

いつか、価値なんてどうでもいい、と思える人に出会えるまで。
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