「彼の婚約者です。私たち来月結婚するんですが」
⚠この純猥談は浮気表現を含みます。
あなたと初めて出会った時、全く興味なんてなかった。
知り合いの寄せ集めの飲み会の最中、
友達の紹介で
「彼があなたに興味があるらしいよ」と。

見た目はタイプじゃないし、
なんだか軽薄そうなところも好きじゃなかった。
そもそもヤリモクでしょ?と悟っていたところもある。

何事もなく、その日は終わり
彼のことなんてすっかり忘れていた。

半年が経ったある日、
別の飲み会で偶然彼と再会した。

大して言葉を交わしていたわけでもないのに
「久しぶり」と懐かしい気持ちになって
たくさん話をした。
初めて会った時には知らなかった
彼の性格、仕事、好きなもの、最近ハマってること
実は1つ年下だということ、
大学時代から付き合ってる彼女がいること。
たくさんの彼を知った。

そして直観通り、彼が相当女慣れしている人だということも。

ただ私もそんなに純情なタイプじゃない。
興味が湧いた。
彼はどんなセックスをするんだろう?
彼女がいるかどうかなんて
ワンナイトには関係ないと割り切っていた。

初めて彼に抱かれた時、
今までのセックスはなんだったんだろうと思った。
こんなに気持ちいいことがあるのか、と。
それなりの経験をしてきたつもりだったのに
彼とのセックスは桁違いだった。

そこから私が彼にハマるのに時間はかからない。
セックスが上手いだけじゃなく
彼は私の顔や体はもちろん、ネイルや髪型、服装、笑い声まで全てを褒めてくれる。
彼といるとただただ満たされた。
それが彼の常套手段だということもわかっていた。
本気になっちゃダメだ。
ひたすら自分に言い聞かせた。

それでも彼の笑った時のくしゃっとした目尻を愛おしく感じて
かわいいかわいいと言われ続けながらセックスすれば
幸せを感じて
黒い服が似合うねと言われたのが嬉しくて、新しい真っ黒なワンピースを買った
彼が好きだという歌を何度も聴いた

気づけば後戻りはできなくなっているもので
彼を独り占めしたいと思うようになった。
その気持ちをひた隠しながら
物分かりのいい女を演じ続けた。

彼は彼女の話もするし、
私以外の遊びの女の子たちの話もする、
どんな話をされても笑顔で振る舞い続けた。
そうすれば彼は私といる時間を居心地よく感じてくれる。
彼女にはなれない、
でもどこかで自分は特別だと信じたかった。

ある朝、彼から電話がかかってきた。
「〇〇の婚約者です。私たち来月結婚するんですが」

彼の彼女が寝ている間にからのスマホを見て、
私たちの関係に気づいたらしい。
彼女はとても冷静だった。
怒りは感じているのだろうが、それ以上に彼との結婚に向けて一歩も引かないという意志の強さを感じた。
きっと彼のスマホには私だけでなくその他大勢の女の子たちのやりとりがあったはすだ。
彼女はその一人一人に連絡をしていくのだろうか、
そんなことをぼんやりと考えていた。

彼女は最後に
「うちの〇〇にも落ち度はあったと思っています。
申し訳ありませんでした。ただ今後一切連絡は取らないでください」と言って丁寧に電話を切った。

勝てない、絶対に勝てないと思った。
女として、人として、何段も上なんだと思い知った。

すぐに彼からLINEがきた。
「本当にごめん。もう連絡しないで」

わかっていた。
ずっとわかっていた。
初めて出会ったときから、
初めてセックスしたときから、
ずっとわかっていた、こんな終わりが来ることを。
だからあれほど本気になっちゃだめだと
自分に言い聞かせてきたじゃないか。馬鹿らしい。

彼のLINEは既読をつけずにそのまま削除して
すぐにブロックした。
どこかで清々しい気持ちさえしていた。
私もいい歳だ。
いつまでもこんなことをしているわけにはいかないと思っていた。

数日経ったある日
音楽アプリのランダム再生であの曲が流れた。
彼が好きだと言っていた曲。
何度も彼と一緒に聴いた曲。
いつのまにか私も大好きになっていた曲。

気づかないうちに涙が溢れていた。
彼を好きになってしまったと気づいて以来
泣いたのは初めてだった。
泣く資格なんてないと思っていた。
泣くほど真剣な恋なんかじゃないと思っていた。

だけど、本当に好きだった。
いつのまにか本当に好きになってしまっていた。

今だけ、今だけ、
自分のしたことは全部棚にあげて
ただただ失恋をした女の子にならせて欲しい。
自分でも気づかないくらいあなたが好きだった。

彼を思って泣いたのはそれが最初で最後。
しばらくはあの曲が聴けなかった。
でも彼が私の生活から完全にいなくなって
変わったのはそれだけで
本当に私たちの間には何もなかったんだ、と思い知った。

今ではまたあの曲も聴けるようになった。
曲のことは大好きなままだ。
時間が経てば、彼が教えてくれたすべてが私の人生の糧になっていると感じる。

ねえ、私
もうすぐ結婚するよ。
彼にも内緒だけどね、
少しだけあなたに似てるの。
笑った時の目尻とちょっとだけかっこつけちゃうところ。

私幸せになるね
あなたもどこかで幸せに暮らしていますように



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