「あの夜を無かったことにしないで」と言った彼女は、僕の告白には何も答えなかった
僕たちは、高校2年生の時同じクラスメイトだった。
お互いの恋人とも仲が良く、その繋がりで話すことはあったが、所詮その程度の関係。
卒業して、僕も彼女も3年ほど付き合った恋人と別れた。
きっかけも忘れてしまったが、しばらくして2人で飲みに行くことが少しずつ増えていった。
「ロック縛りで飲もう!」
お酒が好きな僕たちはいつもくだらないルールを作って楽しみ、いつも高校の思い出話をつまみにお酒を流し込んでいた。
彼女との時間は落ち着いて、楽しくていつもあっという間だ。
「少し今日疲れたし、ホテルで飲もうか」
いつものように終電を逃したある日、僕はそう誘った。
特にやましい気持ちはなく、「始発まで外はきついし」というシンプルな考えだったと思う。
いや、今考えれば、心の底では彼女とどうにかなってほしいと願っていたのかもしれない。
コンビニで僕たちが好きな梅酒を瓶で買って、ホテルに向かった。
着いてからは、少しあった気まずさを和らげようと映画を観た。
「眠気がやばいからお風呂入る」と言ってシャワーを浴び、先にベッドに入る。
彼女は隣のソファーでまだ飲んでいた。
手が届くところにいた。
何も考えずに手を引っ張った。
言葉もなく、無我夢中にキスをした。
僕の上に乗り激しく腰を振る彼女。
僕がまだ見たことのない表情を、テレビの光でうっすらと見ることができた。
彼女は今までで1番美しかった。
朝起きても、まだお酒が残っていた。
ここにいたらダメな気がすると思い、
「帰ろうか」と言った。
そんなこんなでホテルを出た午前8時。
昨夜の記憶は本物だろうか。
そう考えながら歩いてると、もう改札前。
「じゃあまた連絡するわ」
そう言って、その日は解散した。
それから2ヶ月くらいして、お互い同じタイミングくらいに恋人ができた。
互いに「真似すんなよー」みたいなことを言いながらも、報告しあった。
その後も2人で飲みに行くことはあったけど、終電でしっかり帰っていた。
恋人がいたこともあったし、どこかでこの前のことに対する気まずさもあった。
飲みに行ってもいつも通りの楽しい時間で、素でいれる大切な時間だった。
でも、あのことを口に出すことはお互いタブーな気がして話すことはなかった。
数年経って、高校2年生の時の同窓会が開かれた。
このクラスは先生も含めて仲も良かったし、自然に3/4ほどのクラスメイトが参加。
最初は席が遠かったけど、だんだんと仲の良いグループで飲み始めた。
彼女のグラスが空だったから、
「梅酒ロックでいい?」と言うと
「いいよ!ありがとう」といつもの笑顔で返答してくれた。
それを機に席は隣になり、いつも通り話し出す僕たち。
「あの時はごめん」
謝ったら全てを否定してる気がして嫌だったけど、結局僕の口から出た言葉は謝罪だった。
「嫌じゃなかったし、無かったことにはしないでね」
それでも彼女は受け止めてくれた。
だから、続けて言ってしまったんだ。
「あの時好きだった」
今それ言っちゃうのか、と自分に疑問も抱いた。
だけど、今しかなかった。
伝えたかった。
あの頃の僕の気持ちに正直でいたかった。
彼女は何も言わなかった。
梅酒をいつものように一気に飲み干して、
「おいしいね〜」と笑っていた。
そうか、これが今の答えなんだ。
「人生はタイミング」ってよく言うけど、こんなにも痛感する日がくるとは思いもしなかった。
同窓会は先生方も来てくれてすごく盛り上がった。
二次会も楽しく、あの頃に戻ったかのような時間だった。
気が付けば終電の時間で、そのまま解散をした。
それから今も、彼女とちょくちょく連絡を取っている。
だが地元から離れた僕とはなかなか時間も合わず、飲みに行く回数も減った。
SNSになかなか投稿しない彼女が、久々に投稿したのは彼氏との沖縄旅行だった。
僕も彼女と1週間前に沖縄に行っていて、なんか言葉では表せない感情が生まれた。
今日も不甲斐ない僕は空を見て、お酒を飲む。
梅酒はいつ飲んでもやっぱり、ロックが一番美味しい。
お互いの恋人とも仲が良く、その繋がりで話すことはあったが、所詮その程度の関係。
卒業して、僕も彼女も3年ほど付き合った恋人と別れた。
きっかけも忘れてしまったが、しばらくして2人で飲みに行くことが少しずつ増えていった。
「ロック縛りで飲もう!」
お酒が好きな僕たちはいつもくだらないルールを作って楽しみ、いつも高校の思い出話をつまみにお酒を流し込んでいた。
彼女との時間は落ち着いて、楽しくていつもあっという間だ。
「少し今日疲れたし、ホテルで飲もうか」
いつものように終電を逃したある日、僕はそう誘った。
特にやましい気持ちはなく、「始発まで外はきついし」というシンプルな考えだったと思う。
いや、今考えれば、心の底では彼女とどうにかなってほしいと願っていたのかもしれない。
コンビニで僕たちが好きな梅酒を瓶で買って、ホテルに向かった。
着いてからは、少しあった気まずさを和らげようと映画を観た。
「眠気がやばいからお風呂入る」と言ってシャワーを浴び、先にベッドに入る。
彼女は隣のソファーでまだ飲んでいた。
手が届くところにいた。
何も考えずに手を引っ張った。
言葉もなく、無我夢中にキスをした。
僕の上に乗り激しく腰を振る彼女。
僕がまだ見たことのない表情を、テレビの光でうっすらと見ることができた。
彼女は今までで1番美しかった。
朝起きても、まだお酒が残っていた。
ここにいたらダメな気がすると思い、
「帰ろうか」と言った。
そんなこんなでホテルを出た午前8時。
昨夜の記憶は本物だろうか。
そう考えながら歩いてると、もう改札前。
「じゃあまた連絡するわ」
そう言って、その日は解散した。
それから2ヶ月くらいして、お互い同じタイミングくらいに恋人ができた。
互いに「真似すんなよー」みたいなことを言いながらも、報告しあった。
その後も2人で飲みに行くことはあったけど、終電でしっかり帰っていた。
恋人がいたこともあったし、どこかでこの前のことに対する気まずさもあった。
飲みに行ってもいつも通りの楽しい時間で、素でいれる大切な時間だった。
でも、あのことを口に出すことはお互いタブーな気がして話すことはなかった。
数年経って、高校2年生の時の同窓会が開かれた。
このクラスは先生も含めて仲も良かったし、自然に3/4ほどのクラスメイトが参加。
最初は席が遠かったけど、だんだんと仲の良いグループで飲み始めた。
彼女のグラスが空だったから、
「梅酒ロックでいい?」と言うと
「いいよ!ありがとう」といつもの笑顔で返答してくれた。
それを機に席は隣になり、いつも通り話し出す僕たち。
「あの時はごめん」
謝ったら全てを否定してる気がして嫌だったけど、結局僕の口から出た言葉は謝罪だった。
「嫌じゃなかったし、無かったことにはしないでね」
それでも彼女は受け止めてくれた。
だから、続けて言ってしまったんだ。
「あの時好きだった」
今それ言っちゃうのか、と自分に疑問も抱いた。
だけど、今しかなかった。
伝えたかった。
あの頃の僕の気持ちに正直でいたかった。
彼女は何も言わなかった。
梅酒をいつものように一気に飲み干して、
「おいしいね〜」と笑っていた。
そうか、これが今の答えなんだ。
「人生はタイミング」ってよく言うけど、こんなにも痛感する日がくるとは思いもしなかった。
同窓会は先生方も来てくれてすごく盛り上がった。
二次会も楽しく、あの頃に戻ったかのような時間だった。
気が付けば終電の時間で、そのまま解散をした。
それから今も、彼女とちょくちょく連絡を取っている。
だが地元から離れた僕とはなかなか時間も合わず、飲みに行く回数も減った。
SNSになかなか投稿しない彼女が、久々に投稿したのは彼氏との沖縄旅行だった。
僕も彼女と1週間前に沖縄に行っていて、なんか言葉では表せない感情が生まれた。
今日も不甲斐ない僕は空を見て、お酒を飲む。
梅酒はいつ飲んでもやっぱり、ロックが一番美味しい。