「俺と会ってない間、彼氏できた?」
金曜日の夜。親友を連れて煌びやかな街に出かける。
私たちは女子大生という肩書を使って、たくさんの遊びを覚えた。

「ね、久しぶりにクラブ行かない?オールしようよ」
「いいね!あーでも明日予定あるんだよね、時間確認する」

そうして開いた、iPhone。通知が目に入る。
「ひさしぶり。」


なんで、今さら。

この1年間、適当に遊ぶことで紛らわせて、気持ちに無理やり蓋をしていたのに。
やっとの思いで彼の横顔や匂いを思い出さなくなったはずなのに。どうして。


彼とは月に2,3度会う、いわゆるセフレだった。
出会った頃、私には、他にもそんな関係の人がいて、そのうちの1人としてしか考えていなかった。
夜中に彼の部屋に行き、少しだけお酒を飲みセックスをして寝る。翌朝、スーツ姿の彼と駅で別れる。
そんな週末に特別な感情を持つようになったのは、彼の優しさに期待してしまったからだ。

行為が終わったあと、すぐに背中を向けて煙草を吸っていた彼が、頭を撫でキスをしてくれるようになったこと。
背中を向けて寝ていた二人が、向かい合って眠るようになったこと。
セックス以外の時にも、キスやハグをするようになったこと。
そんな小さな変化をすくい上げ、胸に溜めて、もっと一緒にいられるのではないか、と私は他の男と会うことをやめていた。

しかし、強くなる私の想いとは裏腹に、彼からの連絡は途絶えていったのだった。


突然の連絡に、呆然とする私に気付いた親友が、行っておいで、と笑顔を向けた。


こみ上げる感情を抑え、改札口で待つ彼のもとに駆け寄る。

見慣れたスウェット姿の彼の右手から、煙草が消えていた。彼の吸う電子タバコの焦げたような香りが好きだった。
いつか、一緒に、と思って私も煙草を吸うようになったんだよ、なんて言えない。健康のためにというらしくない理由を彼から聞きながら、私は左ポケットの中で煙草を握りつぶした。

少しだけ家具が変わった彼の部屋で、私たちはお互いの1年間をとめどなく話し続けた。
音楽を聴きながら、1つのグラスに入ったお酒を2人で分け合う。

そうだ、私はこんな時間を待っていた。うれしくて出た涙を隠すために彼の話に大袈裟に笑って顔を隠した。


別の人の彼女になったよ、とスピーカーに合わせて彼が口ずさむ。
私が続きのフレーズを歌うと、彼は言った。

「俺と会ってない間、彼氏できた?」

なんだか悔しくなって、頷く。

嘘、ではない。
何人かと付き合い、体を重ねた。みんな彼より大人で、知的で魅力的だった。
彼とよく行くような安い居酒屋ではなく、夜景の見える素敵な店に連れて行ってくれた。
口数の少ない彼とは違い、ちゃんと言葉で伝えてくれた。結婚したいとまで言われたこともあった。
けれど、誰とも向き合えなかった。
この人と一緒にいたら幸せになれると分かっていながら、想いがないから付き合えない、と告げる度に馬鹿正直な自分が心底、嫌になった。

そんなことを何度か続けて、やっと彼の片鱗が私の記憶からなくなっていた、はずだった。


「じゃあ、その人とは続かなかったのか〜」
笑いながら言う彼の口をふさぐように、私はキスをした。


ああ、また始まってしまう。
この部屋で彼と過ごす週末を待ってしまう、私の日々が。
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