心配性な私と奔放な彼とは、今の関係性がちょうどいい
私には大好きな飲み友達がいた。
知り合ったのは3年前、小さな居酒屋の隣の席に彼がいた。互いのグループ同士で会話が弾み、皆ではしご酒した。最初から私は彼のことが気になっていて、間もなく二人で飲みに行くようになった。

彼は決して顔がいいわけではないが、背が高く、よく口の立つ男だった。飄々としており、女子からもそれなりに人気があったようだ。彼のSNSは女の子からのメッセージがずらっと並んでいた。
それを見て私はよく「悪い男だな」って茶化した。そのたびに彼は「そんなことないで。一番一緒におるのは残念ながらお前や」と顔をしかめた。

何がと言うわけでない。会うたびに私は彼が益々好きになった。彼の関西訛りの憎まれ口も、癖っ毛も、笑うとなくなる目も、タバコの匂いの奥にある柔軟剤の香りも、すべてが愛しかった。
彼も満更ではなかったとは思う。朝から晩までメッセージを送りあい、仕事終わりに週に2度ほど会っていた。
しかし好きだからこそ、恋人になってもうまくいかないのが目に見えていて、その先は考えられなかった。私は心配性だし、彼は奔放だった。今の関係性がちょうどいいのだと理解していた。

「お前といるときが一番心地いいわ」と言われたことがある。
「お前おれに興味ないもんな、そこが楽だわ」と彼は笑った。
私はむきになって「そんなことないで!好きな食べ物はツナマヨのおにぎりとメロンパンやろ」と返し、「ほんま興味なさすぎやろ」と2人で笑いあった。
そして私は、いつまでも彼の居心地のいい存在でいようと強く思った。


彼が終電を逃して、私の家に泊まることもあった。
2人で私の家へ向かう帰り道、コンビニに寄って買い物をした。彼が私に手を差し出すと、酔った私は喜んで手を繋いだ。「いや、袋持とうと思ったんやけど」と笑いながらも彼はその手を振りほどかなかった。
そのまま私たちは酔った勢いで体を重ねた。

その後も何度か一緒に寝たことはある。彼は基本仰向けで、私に動かせた。
大概私が途中で力尽きて、文字の通り体を重ねたまま寝てしまうことがほとんどだった。最後までやりきったことはない。
彼が上にきたときも、「やり過ぎたわ」と笑って途中で終了した。

一緒に寝た翌朝は先に起きる彼によく膝枕をしてもらった。
彼は「お前だけやで、俺の貴重な朝の時間を」と渋い面をしながらも頭を撫でてくれた。右頬に彼の体温を、頭に彼の右手の重みを感じながら、彼の服に染み込んだタバコの匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。夜にはない、ゆったりとした時間が流れていた。

私は彼が好きだったが、先が考えられない以上、この時間が不毛だとも分かっていた。
彼は「去られると追いたくなるやんな」と以前言っていたので、飲みながら私は彼に「付き合いそうな人がいる」とでっちあげてみた。彼はいつもの調子で「ジェラるわ~」と笑って、駅までの帰り道、いつもより丁寧なキスをした。
その日はお互い自宅に帰った。


その後彼は転勤で旅立ち、2年を経て帰ってきた。その間私も彼氏ができ、そして別れたりもした。以前ほどではないが細々と連絡はとっている。
ときどき飲みにも行く。昔好きだったという話もして、笑いあった。今も好きかと聞かれたら返事に困るが、特別な存在なのは確かだ。今さら彼と手を繋いだりキスしたりするのは想像つかないが。

私には大好きな飲み友達がいた。そして今もいい飲み友達である。
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