キスマーク。心臓のちょっと右。そこから広がるように全身が温かくなる。
「一線、越えちゃおうか?」
「え?」

部屋に入るも早々、手首を掴まれ、ベッドに押し倒される。
金糸を編んだような金髪。
こちらを真っ直ぐに見る大きな瞳。
可愛い顔して手首を抑える力の強さ。
私は好きな人に、セフレの申し込みをされた。


大学に入って半年。
夢にみたキャンパスライフとは違い、真面目に授業を受け、バイトするだけという地味な生活。
周りが青春を謳歌する高校時代、私は勉強しか知らなかった。
大学こそは!と思ったものの、大学デビュー失敗。少ない友達と小さな世界で暮らしていた。

それに比べて彼は陽キャコミュ力化け物イケメン。
大学ですみっコぐらししている私ですら、噂に聞くほどの顔の広い男だった。
金髪でピアスはバチバチ。パチンコ、麻雀、クラブ。夜中遊び回るから単位なんて全くない。

住む世界の違う彼と出会ったのは友達の誕生日会だった。

「うぃ、はじめまして!よろしく〜!」
急に手を握られ、握手される。
「あ、よろしくね〜」
苦笑いしながら、握手に応じつつ、
なんだこの距離の詰め方、苦手だわ、絶対関わらないでおこう。そんなふうに思ってた。

誕生日会も終わり、帰ろうとすると降る予定も無かった雨が降っていた。
「やっべぇ、雨降ってるわ」
用心深い私は、傘と折り畳み傘を持っていた。
「傘、貸そうか?」
ほんの親切心から出た言葉だった。
「わりぃ、ありがとう」
私の傘をさして帰る、彼の後ろ姿に妙に嬉しくなった。

後日、『借りた傘返したいし、ご飯にでも行こう』
そんなLINEが来た。

そこからというもの、傘をきっかけに始まったご飯会は何度か続いた。
住む世界こそ違うものの、根本的な価値観が同じで妙に意気投合した。
彼と初めて会って1ヶ月。私は彼のことが好きだと気づいた。

彼から連絡がくると飛び跳ねるように嬉しいし、何をしていても彼のことが頭から離れない。
彼と会っている時間が何よりも楽しい。
でも鏡を見れば映るのは陰キャ喪女。彼にとって私は恋愛対象外だって嫌ってほどわかっていた。


いつも通りのご飯会、その後カラオケに行って夜中3時。帰ろうかと店を出ると
「もうちょい喋りたいし、家行っていい?」
いつもならここでお開きなのに、そんなふうに彼が言った。
純粋に嬉しかった。私と少しでもまだ喋りたいと思ってくれたんだ、と。


「一線、越えちゃおうか?」
そして冒頭に戻る。押し倒された私は、混乱した。

好きな人とエッチしたい。
でもここで許してしまうことっていいの?
私は永遠の遊び相手になってしまわない?
でもそんな目で見つめられると、

私は結局、受け入れてしまった。

私が緊張しているのを見かねて、腫れ物に触れるかのように優しくキスをする。
ゆっくり合わさる感覚にうっとりし、だんだんと力が抜けた。
服を脱がし、手馴れた手つきでブラのホックを外す。恥ずかしがる私に「可愛い」なんていう。
初めて聞く可愛いって言葉。嬉しいのにこんな状況なんて素直に喜べない。

初めてのエッチは彼氏としたいな
脳内お花畑、中学時代の私、さようなら。
初めてのセックス。
特段気持ちよくもなく、我慢できるくらいの痛みが少し残っただけだった。

「ごめん、ありがとう」
終わった後、頭を撫でられ抱きしめられた。
好きな人から抱きしめられている胸に残るのはやるせなさ。


それからも、彼からご飯に誘われてはセックスした。
会う頻度も週に1度から週に2度、3度と増えていった。

セフレが3ヶ月続いた。
このまま会い続けてしまっては彼を諦めるに諦められない。

そう思いたったある日、彼と会うことを辞めた。
私を好きだと言ってくれた別の先輩と付き合うことにした。
彼から決して聞くことのできない言葉を先輩は言ってくれる。
彼のことを忘れたい、諦めたい、そんな自己中心的な思いを先輩に託した。

でも叶わなかった。
嬉しいことがあると真っ先に伝えたくなるのは、彼だった。
先輩に抱かれても、彼を思い出してしまう。
好きだと言ってくれるのが嬉しくて付き合ったはずなのに、好きだと言われるのが重いと感じるようになっていた。

先輩と付き合って2ヶ月で別れた。自分勝手だ。

別れた日、私から連絡することなんて1度もなかった、彼にLINEした。
『今から、家来れる?』

何かを察したのか、10分後飛んでくる勢いで彼は家にやってきた。
「はぁ...会いたかった」
玄関で骨が折れそうなほど強く抱きしめられた。
顔を見た瞬間に冷静さを失った。
「私もずっと、会いたかった」
お互いを求めるようにキスをした。舌をずっと絡ませた。
「キスマーク付けていい?ねぇ俺にもつけて」
彼から初めて感じる私への独占欲。私の存在を認めてくれる言葉。
彼から自分のことを性欲ではなく、1人の人として認められた気がした。太ももに垂れるほど濡れた。
前戯もろくにせず、バックで思いっきり突き上げられる。
腰を掴む彼の手の感触が強すぎるはずなのにそれが心地よかった。
どこにも行かないで欲しい、そう言われているみたいだった。

終わった後、頭を撫でられ抱きしめられた。
「好き、ありがとう。」
心臓のちょっと右。そこから広がるように全身が温かくなった。
なんだろう、この世界が透き通って見える感覚は。


「そんな彼とは2ヶ月後、正式に付き合うことになった。こんな紆余曲折しなきゃ付き合うことはできなかったのかな」

なんて世界線を今流行りの歌を聞きながら一人考えている。
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