子供の頃にした結婚の約束を私だけがずっと信じてた
私と彼は幼稚園からの幼馴染だった。
明るくていつもみんなの中心にいる彼と、
ちょっと強気でガキ大将と喧嘩ばかりしてた私。
家がおむかいさんで、いつも行き交いしてた。
家族ぐるみで仲が良い、幼馴染あるある。
「ずっと一緒にいようね」なんて、子供ならではの結婚の約束もした。
仲の良さは小学校に上がっても変わらず、お泊まりをしたり、学校でもずっと一緒にいるのに放課後も遊んだりするほど。
だけど、それも小学生までだった。
中学生になれば男女別のグループができ、一緒にいればカップルだとからかわれた。
今考えればスルーできたことだけど、思春期の私達はそのまま距離が離れていった。
高校はバラバラになり、親から聞けば、サッカー部で彼女ができたと聞いた。
少し胸がざわめいたのは、これから先きっと、誰にも言わない。
何も話さず、関わらずの高校生活も終わり、私は東京の大学へ行った。
彼への気持ちはとうに気づいていた。
私は今でも彼が好きだ。
結婚の約束をまだ信じているくらいに。
私は彼を忘れるために、もうここには帰らないと心に誓って、
大学生活を送った。
私が大学を卒業して、数日経った後。
私は、実家にいた。4年ぶりに見た我が家は何も変わっていない。母と雑談していると、玄関のチャイムが鳴った。
母が玄関へ行き、「まあ!大きくなって」と言う声が聞こえて、少し胸がチクリとした。
一番会いたくなかった人の名前が上がった。
「幼馴染くん来たわよー」という声が、部屋に響いたのだ。
久しぶりに見た彼は、少し焼け、顔つきも前に見た時よりも断然かっこよくなっていた。
あんなに仲が良かった私達も、今顔を合わせればただ気まずいだけなのだけど。
「東京行ってたんだって?すげーな」
数年ぶりに聞いた声は、とても低くなっていた。
「久しぶりなんだからもっと話してきなさいよ」っていう母に押し切られ、2人きりで部屋で話すことになった。
彼を部屋に入れるのも何年ぶりだろう。
彼はとても気まずそうだった。
部屋に入ってすぐ、彼は飾ってるぬいぐるみを見て「可愛いね」と言った。
ああ、覚えてないんだ。
その時に初めて私は、彼に失望した。
そうして椅子に座り、彼が口を開いた。
「今日、報告しないといけないことがあってさ。」
彼には今、3年ほど付き合っている彼女がいるそうだ。
報告することなんて一つしかない。多分、きっとそうだ。
いやだ、聞きたくない。
「結婚すんだ。今度。」
彼は嬉しそうに笑った。
何年かぶりに見る、昔から変わらない笑顔だった。
「そっかあ。おめでとう。」
この時の私は笑えてただろうか。
うん、多分笑えてた。
私はもう、作り笑いも上手にできる汚い大人になったから。
多分、君は気づいてないよね。
私がまだ、君から貰った誕生日プレゼントを全てこの部屋に飾っていること。
君がさっき「これ可愛いね」って言ったぬいぐるみも、君がくれたものだってこと。
幼馴染だからと呼ばれた、彼の結婚式はとても素敵だった。
奥さんは綺麗な人で、私なんかに比べものにならないくらいに。
今も好きかと言われれば、多分違う。
私にはもう、結婚も視野に入れてお付き合いをしてる人がいるし、その人のことが大好きでたまらないから。
結婚式のあと、
なんだか未練がましいし奥さんにも申し訳ないから、彼に貰ったものを全て燃やした。
涙が出たのは、
あの結婚の約束なんて信じてたせいだ、多分。
明るくていつもみんなの中心にいる彼と、
ちょっと強気でガキ大将と喧嘩ばかりしてた私。
家がおむかいさんで、いつも行き交いしてた。
家族ぐるみで仲が良い、幼馴染あるある。
「ずっと一緒にいようね」なんて、子供ならではの結婚の約束もした。
仲の良さは小学校に上がっても変わらず、お泊まりをしたり、学校でもずっと一緒にいるのに放課後も遊んだりするほど。
だけど、それも小学生までだった。
中学生になれば男女別のグループができ、一緒にいればカップルだとからかわれた。
今考えればスルーできたことだけど、思春期の私達はそのまま距離が離れていった。
高校はバラバラになり、親から聞けば、サッカー部で彼女ができたと聞いた。
少し胸がざわめいたのは、これから先きっと、誰にも言わない。
何も話さず、関わらずの高校生活も終わり、私は東京の大学へ行った。
彼への気持ちはとうに気づいていた。
私は今でも彼が好きだ。
結婚の約束をまだ信じているくらいに。
私は彼を忘れるために、もうここには帰らないと心に誓って、
大学生活を送った。
私が大学を卒業して、数日経った後。
私は、実家にいた。4年ぶりに見た我が家は何も変わっていない。母と雑談していると、玄関のチャイムが鳴った。
母が玄関へ行き、「まあ!大きくなって」と言う声が聞こえて、少し胸がチクリとした。
一番会いたくなかった人の名前が上がった。
「幼馴染くん来たわよー」という声が、部屋に響いたのだ。
久しぶりに見た彼は、少し焼け、顔つきも前に見た時よりも断然かっこよくなっていた。
あんなに仲が良かった私達も、今顔を合わせればただ気まずいだけなのだけど。
「東京行ってたんだって?すげーな」
数年ぶりに聞いた声は、とても低くなっていた。
「久しぶりなんだからもっと話してきなさいよ」っていう母に押し切られ、2人きりで部屋で話すことになった。
彼を部屋に入れるのも何年ぶりだろう。
彼はとても気まずそうだった。
部屋に入ってすぐ、彼は飾ってるぬいぐるみを見て「可愛いね」と言った。
ああ、覚えてないんだ。
その時に初めて私は、彼に失望した。
そうして椅子に座り、彼が口を開いた。
「今日、報告しないといけないことがあってさ。」
彼には今、3年ほど付き合っている彼女がいるそうだ。
報告することなんて一つしかない。多分、きっとそうだ。
いやだ、聞きたくない。
「結婚すんだ。今度。」
彼は嬉しそうに笑った。
何年かぶりに見る、昔から変わらない笑顔だった。
「そっかあ。おめでとう。」
この時の私は笑えてただろうか。
うん、多分笑えてた。
私はもう、作り笑いも上手にできる汚い大人になったから。
多分、君は気づいてないよね。
私がまだ、君から貰った誕生日プレゼントを全てこの部屋に飾っていること。
君がさっき「これ可愛いね」って言ったぬいぐるみも、君がくれたものだってこと。
幼馴染だからと呼ばれた、彼の結婚式はとても素敵だった。
奥さんは綺麗な人で、私なんかに比べものにならないくらいに。
今も好きかと言われれば、多分違う。
私にはもう、結婚も視野に入れてお付き合いをしてる人がいるし、その人のことが大好きでたまらないから。
結婚式のあと、
なんだか未練がましいし奥さんにも申し訳ないから、彼に貰ったものを全て燃やした。
涙が出たのは、
あの結婚の約束なんて信じてたせいだ、多分。