2年前未来が見えないと振った僕を、結婚前にホテルへ誘った君
⚠この純猥談は浮気表現を含みます。
「お風呂入りたい」
付き合っていた頃、恥ずかしがり屋の君が僕をホテルに誘う時の合図だった。
当時24歳フリーターの僕と大学生2年生だった彼女。
2人とも実家暮らし、夜は家に両親がいて2人で過ごすには恥ずかしかった。
だから無いお金をかき集め、バイト終わりに週に1、2回のペースで、ラブホテルで過ごした。
毎回必ず一緒に風呂に入りながら、
「お腹ぽちゃぽちゃしてきてない?」なんて冗談を言うと、
「嫌いになるよ」って顔を膨らませる君が好きだった。
少し不器用で、ベッドでは思わず笑ってしまう様なことすらあったけど、
「好き」って言われたり2人の時にしか見せない姿を見れるだけで、
これ以上ないほど幸福だった。
付き合う前から浪費が激しかった僕は、
「ちゃんとしないと結婚してあげないよ」なんて事あるごとに言われていた。
けれど中々性格は変えられず、彼女に甘えてばかりの生活だった。
3年の月日が経った頃、異変を感じた。
デートの時はいつだって手を繋いでくれた彼女に、
「人が多いから」と手を繋ぐのを拒否された。
めげずに手を握ろうとすると怒られた。
彼女の中の自分が薄らいでいることを感じた。
ホテルに誘っても断られ、でもご時世的なものもあるしなって目を背けたりもした。
4年半が経った時、LINEで別れを告げられた。
「一緒にいても結婚する未来が見れない、嫌いになったわけじゃない」
26歳で非正規社員の僕と、24歳で固い仕事についていた彼女。
ずっと彼女だけを見続けていたから変化には気付いていた。
少しだけ覚悟出来ていたんだろう。
涙は出なかったけど、丁度その頃僕は入院していたので、
窓から飛び降りようか本気で考えた。
ただ、そんな勇気もなかった。
友達に元気付けられて、少しずつ傷も癒えてはいった。
ただその間もどうすれば復縁できるのかを考えていた。
高校生の時にも、振られて復縁を迫った際に「しつこい」と当時の元カノに嫌われてしまったことがある。
「中途半端に連絡せず、一旦関係を断った方が良い結果に結びつく」という言葉を信じて、少なくとも半年以上は空けようと我慢した。
2年が経った。
その間全く連絡を取らなかったわけじゃない。
だけど、LINEで「彼氏が出来た」と言われてからは、
何も言えなくなり自然と間が空いていた。
あの頃の自分よりは成長したと思った僕は、
「ご飯行かない?」と彼女にLINEした。
了承して貰えた。
日程もすぐ決まり、ディナーを予約なんて慣れない事もした。
「久しぶりー!」
彼女は変わってなかった。
あの4年半を過ごした彼女がそこにはいた。
夕食を食べながら直近のたわいのない話をした。
「今、彼氏いるの?」とは聞けなかった。
その答えが怖かったから。
仲間には「いや絶対彼氏いるよー笑」なんて口にして出てきたのに、
内心びくびくだった。
夕食を食べ終える頃、彼女は言った。
「大事な話があるんだよね。」
僕は凍りついた。
一瞬足りとも期待の感情はなかった。
嫌な予感に包まれた。
「どしたん?」
「…来月ね、結婚するんだー」
「…そっかー、そっか…おめでとう」
久しぶりにこんなに心が動いた。
半身がなくなった感じさえした。
そして少しだけ安心もした。
どっかのお偉いさんは「人の恋愛感情はもって3年」なんて言ってたけど、
ばかばかしい、この感情が恋愛じゃないなら何て言うんだ。
「この後どうしよっかー」
彼女は言った。
「うーん、カラオケとかかね…」
2人が良く行った場所を最後の思い出にしようと思い、僕は言った。
「…仕事終わりで疲れてるしなー…お風呂入りたい」
彼女はどんな意図で言ったんだろうか、正直わからない。
性格的に本当にお風呂入りたかっただけかも知れない。
「じゃあラブホ行こー」
「えー」
なんて会話をしながらも、気付けば2人はホテルにいた。
「先に入るから、良いって言ったら来てねー」
あの時と同じってことに嬉しいと思った。
呼ばれて入る。
身体を流し湯船に浸かって後ろから抱きしめた。
「ちょっとお腹出たかもねー」って僕が言ったら、
「2年経ったからね」なんて言われた。
目が合ってキスをしようとした時、
「口はダメだよー」
と彼女は言った。
多分かなり残念な顔をして、僕はほっぺたにキスをした。
行為はしなかった。そんな雰囲気にならなかった。
風呂から上がって「仕事疲れた」なんて言ってるから、マッサージをしてあげた。
寝そうな顔をした彼女の頭を撫でる。
「…寝ちゃうよ」
「…いいよ、1時間経ったら起こすね。そしたら帰ろう」
彼女は良く眠っていた。
忙しそうにしていたし疲れも溜まっていたんだと思う。
多分生涯で1番翻弄され、後悔し、想い続けた女の子の寝顔を見ながら、頭を撫でた。
「あー俺じゃないんだぁ」って事を、ただただ実感しながら。
付き合っていた頃、恥ずかしがり屋の君が僕をホテルに誘う時の合図だった。
当時24歳フリーターの僕と大学生2年生だった彼女。
2人とも実家暮らし、夜は家に両親がいて2人で過ごすには恥ずかしかった。
だから無いお金をかき集め、バイト終わりに週に1、2回のペースで、ラブホテルで過ごした。
毎回必ず一緒に風呂に入りながら、
「お腹ぽちゃぽちゃしてきてない?」なんて冗談を言うと、
「嫌いになるよ」って顔を膨らませる君が好きだった。
少し不器用で、ベッドでは思わず笑ってしまう様なことすらあったけど、
「好き」って言われたり2人の時にしか見せない姿を見れるだけで、
これ以上ないほど幸福だった。
付き合う前から浪費が激しかった僕は、
「ちゃんとしないと結婚してあげないよ」なんて事あるごとに言われていた。
けれど中々性格は変えられず、彼女に甘えてばかりの生活だった。
3年の月日が経った頃、異変を感じた。
デートの時はいつだって手を繋いでくれた彼女に、
「人が多いから」と手を繋ぐのを拒否された。
めげずに手を握ろうとすると怒られた。
彼女の中の自分が薄らいでいることを感じた。
ホテルに誘っても断られ、でもご時世的なものもあるしなって目を背けたりもした。
4年半が経った時、LINEで別れを告げられた。
「一緒にいても結婚する未来が見れない、嫌いになったわけじゃない」
26歳で非正規社員の僕と、24歳で固い仕事についていた彼女。
ずっと彼女だけを見続けていたから変化には気付いていた。
少しだけ覚悟出来ていたんだろう。
涙は出なかったけど、丁度その頃僕は入院していたので、
窓から飛び降りようか本気で考えた。
ただ、そんな勇気もなかった。
友達に元気付けられて、少しずつ傷も癒えてはいった。
ただその間もどうすれば復縁できるのかを考えていた。
高校生の時にも、振られて復縁を迫った際に「しつこい」と当時の元カノに嫌われてしまったことがある。
「中途半端に連絡せず、一旦関係を断った方が良い結果に結びつく」という言葉を信じて、少なくとも半年以上は空けようと我慢した。
2年が経った。
その間全く連絡を取らなかったわけじゃない。
だけど、LINEで「彼氏が出来た」と言われてからは、
何も言えなくなり自然と間が空いていた。
あの頃の自分よりは成長したと思った僕は、
「ご飯行かない?」と彼女にLINEした。
了承して貰えた。
日程もすぐ決まり、ディナーを予約なんて慣れない事もした。
「久しぶりー!」
彼女は変わってなかった。
あの4年半を過ごした彼女がそこにはいた。
夕食を食べながら直近のたわいのない話をした。
「今、彼氏いるの?」とは聞けなかった。
その答えが怖かったから。
仲間には「いや絶対彼氏いるよー笑」なんて口にして出てきたのに、
内心びくびくだった。
夕食を食べ終える頃、彼女は言った。
「大事な話があるんだよね。」
僕は凍りついた。
一瞬足りとも期待の感情はなかった。
嫌な予感に包まれた。
「どしたん?」
「…来月ね、結婚するんだー」
「…そっかー、そっか…おめでとう」
久しぶりにこんなに心が動いた。
半身がなくなった感じさえした。
そして少しだけ安心もした。
どっかのお偉いさんは「人の恋愛感情はもって3年」なんて言ってたけど、
ばかばかしい、この感情が恋愛じゃないなら何て言うんだ。
「この後どうしよっかー」
彼女は言った。
「うーん、カラオケとかかね…」
2人が良く行った場所を最後の思い出にしようと思い、僕は言った。
「…仕事終わりで疲れてるしなー…お風呂入りたい」
彼女はどんな意図で言ったんだろうか、正直わからない。
性格的に本当にお風呂入りたかっただけかも知れない。
「じゃあラブホ行こー」
「えー」
なんて会話をしながらも、気付けば2人はホテルにいた。
「先に入るから、良いって言ったら来てねー」
あの時と同じってことに嬉しいと思った。
呼ばれて入る。
身体を流し湯船に浸かって後ろから抱きしめた。
「ちょっとお腹出たかもねー」って僕が言ったら、
「2年経ったからね」なんて言われた。
目が合ってキスをしようとした時、
「口はダメだよー」
と彼女は言った。
多分かなり残念な顔をして、僕はほっぺたにキスをした。
行為はしなかった。そんな雰囲気にならなかった。
風呂から上がって「仕事疲れた」なんて言ってるから、マッサージをしてあげた。
寝そうな顔をした彼女の頭を撫でる。
「…寝ちゃうよ」
「…いいよ、1時間経ったら起こすね。そしたら帰ろう」
彼女は良く眠っていた。
忙しそうにしていたし疲れも溜まっていたんだと思う。
多分生涯で1番翻弄され、後悔し、想い続けた女の子の寝顔を見ながら、頭を撫でた。
「あー俺じゃないんだぁ」って事を、ただただ実感しながら。