「俺、好きな人としかキスしない。」
出会いはマッチングアプリだった。
アプリをやめるきっかけは彼に出会ったからだった。
言うまでもない、初めて会った時から私は惚れていたのだろう。多分、最初は顔に。

彼とは話や趣味がよく合う。お互いに歌好きでドライブに行ったらお互いの声が聞こえなくなるくらい爆音で音楽を流し大声で歌う。
服の趣味も合う。アウトレットに行った時はずっと一緒にレディースの服を一緒に回ってみてくれた。買った服も持ってくれた。きっと、周りから見たらどこからどう見ても私達はカップルだ。
彼のお家にもよく泊まりに行っている。ヤるために行っているわけじゃない。
私はあなたの彼女になりたいから、泊まった時誘われても断っている。いつも、いつも。


でもその日私は様子がおかしかった。彼のお家でお酒を飲んでいた時だった。
彼がよく吸っているiQOSを吸いたいと私が彼の右手に手を伸ばした。
普段タバコは吸わないし、そもそもあまり得意じゃないことを彼も知っている。
だから彼は私が伸ばした手を強い力で掴んだ、やめろ、と。

私はどうしても吸いたかった。
そして彼がトイレに行っている間にiQOSを吸った。
お酒も飲んでいたせいか、頭がとてつもなくクラクラして彼の布団に上半身だけ倒れた。
彼がトイレから帰ってきた。
帰ってきた彼の顔も見れないくらい体が動かなかった。
彼が歩いてくる。私が倒れている上に彼が乗ってきた。
すぐに私の両手を上にあげて押さえつけた。身動きが取れない。
私はその時強く思った。

「あー、キスしたい。」

心の中で思っていただけだと思っていたのだが、言葉に発していたらしい。
返事が返ってきた。


「俺、好きな人としかキスしない。」


同時にいろんな感情が入り混じったのは今でもよく覚えている。
てことは、あなたの好きな人は私ではないってことか。

じゃあどうして今両手を押さえつけて私の顔の近いところにいるの。
今、そんなこと言わないよ。うざい。悲しい。

全ての感情を押し殺して私は返答した。

「へえ、そうなんだ。」

これが精一杯だった。

「ねえ、襲っていい?」

「やめて。」私が答える。

きっと、本当にやめて欲しかった。
大好きなあなたとそういう関係になりたくはない。
でも、私はあなたに触れたかった。その唇に。


そんなことがあっても私達は今もよく会っている。
あの後、私は彼に告白をした。もちろん振られた。
でも想いを伝えることで、私の心のうやむやはきれいに晴れた。
彼にはありがとう、ごめんね。そう言われた。
それでいい。今は友達に戻っているから。

お互いの趣味であるカラオケも行くし、服も見に行くし、釣りだって行くしもちろんドライブも。
自然がお互い好きだから星を見に行ったり、夜景を見に行ったり、朝日を見たりもするあなたと行った場所の空気の匂いや聴いた曲をいつか思い出してもらえるために、たくさんの場所に出かけているのは私の中の作戦でもある。

私が友達だなんて思ってないことに気づかなくたっていい。
あなたにキスしてもらえなくたっていい。
いつか、いつか、あなたが守りたいと思う女性になれればいいから。

いつかあなたが友人じゃなく、キスしたいと思う女性になるから。

どうかそれまであなたの隣にいさせてください。
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