小さい頃に、自慰行為に目覚めた。
性行為を「気持ちよくなれる最高のもの」だと思っていた私は、早くしてみたいとずっと思っていた。

そこから10年ほど経った去年の秋、初めて彼氏とすることになった。
彼氏は私の気持ちを汲んでくれて、枕を敷いたり、体勢を変えてみたり、色々な方法で繋がろうと尽くしてくれた。
でも、どんなに頑張っても痛くて入らなかった。
こんなはずじゃなかったのに、と思った。
行為に、夢を見すぎていたんだ。

それから少し経って、
買った潤滑剤をめいっぱい使ったとき、初めて全部入った。
それでもやっとだった。
痛かったゾーンを超えてぴっちり奥にハマった時は、なんともいえない快感に包まれ、抱き合ってキスをして、幸せだった。
彼もその時はさすがに限界だったのか、少し激しかった。
出たり入ったりする異物感と痛みと、奥に当たるほんの少しの気持ちよさ。
「初めての行為って一体どんなだろう」という考えは、何もかも吹っ飛んだ。
あっという間だった。

でも、事が終わって抜いた時、

「ごめん、ゴムが外れてた。中に残ってる」

そう言って焦った顔でゴムを掻き出した彼氏の顔は、一生忘れられない。

すぐに産婦人科に行こうと彼氏が提案してくれて、アフターピルを飲んだ。
その後無事に生理がきたけど、人生でこんなに生理がくることに幸せを感じたことは無かった。


それから何度かしたけど、ゴムが外れてないだろうかということばかりが頭によぎり、心の底から行為を楽しめなくなった。
こんな不安になるくらいならもうしないことも考えた。
でも彼のことは大好きだし、ハグやキスをしているときは幸せで。
まだ達したことだってないし、皆が言うそこにたどり着いてみたい気持ちもある。

彼に「怖い、イケない」という話をすると、
私の心と体を心配しながら、たくさん話を聞いてくれて、
「何があっても俺は絶対に逃げないから大丈夫」と抱きしめてくれる。
本当に良い彼氏だと思うと同時に、
性行為はあの頃夢見たものよりずっと重いものだと痛感した。


この文を書いている今、生理予定日から3日が経とうとしているが、生理が来ない。
「生理が来ない 妊娠」「中絶 リスク」「妊娠検査薬 いつから」などと調べては、不安になっている。
ちょうど生理と生理の間に謎の出血があり、「今までこんなことはなかった」と不安になっていた矢先だ。
元々心配性な私は、もう毎日押しつぶされそうで怖い。
あんなに痛くて辛い生理を、今強く望んでいる。

もしこのあと生理が来たとしても、これから進んで性行為をする気にはなれないと思う。
彼は「一緒に産婦人科に行こう」と、私の不安を少しでも和らげようとしてくれるけれど。

自慰行為とキスとハグだけでお互い満たされればいいのに、と思ってしまう。


君と一緒にいることも、君とそういうことが出来るのも幸せです。
ありがとう。

でも、怖いです。