別の部署で働く彼との出会いは、マッチングアプリだった。
⚠この純猥談は浮気表現を含みます。
別の部署で働く彼との出会いは、マッチングアプリだった。

彼とは、すれ違い様に「お疲れ様です」の一言を交わすのみの関係だった。
唯一の繋がりは“同期”だったことだが、それもただ、同じ名前のカテゴリーに分類されているだけに過ぎない。
一度あった同期メンバーでの飲み会も席は遠く、会話をする事はなかった。

「気づいてた?」

アプリからの通知を見た私の頭の中には、マイナスの感情しかなかった。
羞恥・焦燥・狼狽。
相手からのアクションで無視をするわけにもいかず、なし崩し的にメッセージ交換がはじまり、意外と共通の趣味があることで話が弾んでしまった。

“共通の趣味”は罠だ。
警戒心も早々に薄れた私は、その週末、彼に誘われ初めて一緒に食事をした。
それから毎日連絡を取るようになり、2回目に会った時には、私はもうダメだった。
仕掛けてから溶解まで、彼の計算通りである。

渋谷のラブホテルでセックスをしたその日、私は、彼の“同僚以上”に昇格したつもりが、
“名前のない何か”に降格してしまったのだ。
それはセフレというのかもしれない。でも、その名詞で関係を呼称しない限りは、セフレとも言えない。
だから、もしかしたら、もっともっと酷いものだったのかもしれない。
もちろん、そこにうす甘い期待もあったが、熱いシャワーを浴びながら「ああ、これは」と目を瞑った。

身体の相性はよかった。
その後、何度かセックスをしたが、どれも心の結びつきが無いにしては及第点の快楽だった。
そんな中でも、こちら側は常にこの関係は良くない、という信号を発信していたが、彼はひらっと交わして、潰して、その度に「ごめんね」と言いながらそんな思いをゴミ箱に捨てるのだ。

うんざりして夜中に一人泣いてみたりするのだが、だからといって捨てられた思いを掘り返して再度突きつける勇気もない。
そんな関係、私から捨てられればよかったのだが、心の中は「でも」が積もっていくばかりだった。

その関係が続いた半年後。
最後は、二人して会社を休んで朝から晩までの耐久セックスだった。
終わらせたわけじゃない。これを最後に、自然と尽きたのだ。
彼と私の糸は千切れて、きっと、そういう取り決めになっていたものが、とうとうやって来たのだ。
俗物的に言えば「ヤリ倒した日」で、これ以上ないほど、下世話な情緒で溢れた最悪の幕切れだった。
この関係にはぴったりの、この上ない陳腐なエンディングだろうと思う。

随分後から、彼にはあの時恋人がいて、私以外の“何かの関係”の女性もいた事を知った。
今も私は同じ会社で働いている。お互い滅多に関わらることのない部署だ。
恐らく、もう二度と言葉を交わす事もないだろう。

濡れていたものが乾いただけ。それだけなのに。
一度だけ、捻れた私のブラジャーの紐をそっと直してくれた。
後ろを向いていて彼の表情はわからない。
私はこれを彼の唯一の優しさだったと、夢のような出来事だったと、キラキラと語れるほど若くないのだ。


ここまで書いておいて、今更良い話で終わろうとするなんて。
彼にとっては、マッチングアプリで出会った同僚とヤリ倒しただけ。ただそれだけの話。


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