遊び終わったんじゃなかったんですか、私、処女だったんですよ。
高校を卒業しても処女だった。


特別大切にしていたわけではないが、私の高校では付き合っていても最後までしていないカップルが大半だった。大学生になって経験者が増え、少しずつ自分は少数派の人間になっていく。
飲み会の場で当たり前のように聞かれる経験人数。
人数に比例してステータスが上がっていく。
自信満々に2桁の数字を答える友達の横で、未経験だなんて言えなくて「…ひとり」としょうもない見栄を張る日々。


初めては大切な人が良い。純粋な頃の私が今の私の首をゆっくり締めていった。
もう疲れた。変な気を遣われることも、正しいと思っていた自分を遠回しに否定されることも。


そんな矢先、バイト先の8個上の先輩にバイト終わりにご飯に誘われた。
良い感じにお酒も入り愚痴をこぼすと、「俺はもう結婚適齢期ですっかり遊び終わってしまったな」と先輩は笑った。
終電の時間が迫る。気付けばすぐにお店を出ないと電車に間に合わない時間になっていた。


「もう1杯頼んで良い?」
帰ろうとする私に先輩は言った。

それってつまり、そういうこと?
え、遊び終わったんじゃなかったんですか?
私、処女ですよ。初めてが彼氏じゃない男の人なんて有り得ないんですよ?

そんな気持ちとは裏腹に、私から出た言葉は「もちろんです」だった。


その後の記憶は曖昧だ。
ふらふらしながら2人でラブホに入りそのままセックスした。
初めてでもそれっぽく喘ぎ声は出せるのだな、と妙に冷静になったことだけ覚えている。


後日何度かご飯に誘われたが、このままセフレコースか、と悟ってしまった。
それきり先輩と2人で会うことはなく、そのまま逃げるようにバイトも辞めた。


先輩の、ヘビースモーカーなのに一緒にいると絶対煙草を吸わないところも、終電に間に合わない時間に呼ばれて一緒にだめになってくれるところも、たまらなく愛おしかった。
未だにバイト先の近くを通ると、先輩のことを思い出して苦しくなるから、ひとりじゃ歩けない。


緊急事態宣言が明け、さっそく友達が飲み会の計画を立てている。
経験人数を聞かれて「ひとり」と答える私が目に浮かんで、また苦しくなる。
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