これはお前が始めた物語だろ
私は彼のことがずっと大好きだった。
どれだけ酷いことをされても、酷いことを言われても。
何をされても、彼を好きでいられた。

彼のためならなんでもできた。文字通り、なんでも。
頑張って貯めたバイト代すら全額渡せるし、どんなお願いでもなんでも聞く。
彼に「死ね」と言われたら、死ぬことだってできるだろう。

普通の人にはできないと思うが、私にはできる。
私は俗にいう「メンヘラ」で「ヤンデレ」だから。


私は本当に彼を愛していた。
SNSのフォローを外されても、好きなままだった。
「めんどくさい」って面と向かって言われても、好きだった。
彼に他に好きな人ができた時も、私の気持ちは変わらなかった。

私はもう一生彼しか愛せないと思っていた。


そんな気持ちが変わるのは、案外簡単だった。

私は彼に少しでも見てもらいたくて、彼がいつも腕にはめていたブレスレットに似たものを買い、同じように腕につけるようになった。

それから数日経ったときに聞いた、彼の友人の言葉。

「今日はあれつけてないの?ブレスレット。あいつ嫌がっとったよ、パクるなって言ってた」

彼の気を引きたくて、買ったのに。
彼とお揃いにしたくて、毎日付けてたのに。

嫌がることないじゃない。
私の想いは、彼にとって迷惑でしかないの?
彼を大好きだった気持ちは憎しみに変わった。

たったこれだけのことで、だ。


私はずっと、彼のためなら死んでもいいとすら思っていた。
でも今は、彼を殺したいほどに憎んでいる。

彼は前言っていた。「お前の言うことは冗談に聞こえないから怖い」って。

当たり前じゃん。冗談で言ってないよ、本当にそう思ってる。
あなたが憎い、って。


お前が始めた物語だろ。お前から言い寄ってきたクセに。
あんなに尽くしてあげたのにどうしてお前が私を嫌うの?
どうして私ばかりがこんなにしんどいの?


全部全部、彼のせいだ。

そう。殺したいほどに彼を憎んでいる。

流石に本当に殺しはしない。犯罪は駄目だから。
その代わり、私が味わった苦痛と同じ、いやそれ以上のものを彼にも味わわせてやる。

私、決めたことは絶対する女なんだよ。


その思いは強いのに、まだ彼を好きな私がいる。

彼が大嫌いで、大好き。あまり共感できない感情だろう。
ああ、私はいつになったら、彼を心から嫌うことが出来るのだろうか。
これだからメンヘラは辛い。ヤンデレはしんどい。

こんなにも憎いのに、彼のためならきっと何でもできてしまうのだ。
これはもう、呪いだ。
 ツイートする
純猥談はユーザーのみなさまからのサポートによって運営していきます。
 サポート会員になる
100円からサポートいただけます
おすすめの純猥談
奥さんをちゃんと愛してて、みんなに平等に優しい彼が好き
夢 さんからの純猥談
つづきをよむ >
可愛くて気が利く女であるために私は彼より先に起きる。
かつどん さんからの純猥談
つづきをよむ >
今はまだ、あの子の代わりでいい。
詩那 さんからの純猥談
つづきをよむ >